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フジコヘミングさんの訃報に接して。

ピアニストのフジコヘミングさんが亡くなられた。
音楽に詳しくない方でも名前は知っておられるだろう。

60歳を過ぎてブレイクされ、リストのカンパネラで音楽界に衝撃を与えた方だ。
年齢なんて関係ないじゃん。
まだ私にもやりたいこと、できるかもと、すごく勇気をもらった。
若かりし頃、ピアニストとしての道を進んでおられたとき、風邪をこじらせて一時聴力を失われ一線から退き苦難の人生を送ってこられた。
その人生が滲み出るような音で聴衆の心を掴んだ。
なにも知らない50代の漁師さんが、カンパネラを聞いて一念発起、練習を重ねて60歳で弾けるようになったという話をご存じの方もあるだろう。
若くもない、容姿淡麗でもない、でも彼女の生きてきた苦難の人生が、紡ぎ出す音は、自分の人生だからやりたいことやればいいじゃない。人生は一回きりよ、と背中を押してくれた。
60歳を過ぎてピアノ教室を開こうと思ったのはフジコさんの影響もある。
一言で言ってかっこいい女性。
生き様もそうだけど、名言も数々ある。
機械じゃないんだから間違えたっていいのよ。ガタガタのカンパネラがあったっていいじゃない。
これは救われましたねえ。
懸命にやってれば、それでいい。
フジコさんの足元にも及ばないけどガタガタのリストでもいいって言ってもらえたようで気が軽くなり、その結果練習にも励みが出た。
また、ある日の演奏会で、愛の夢を弾くはずだったが、練習できてないので今日は弾きません、と言われたとか…
自分を貫かれるかっこいい女性だと思った。
90歳を超えて尚活動してらして。70で引退と考えていたわたしとは根性からして違う。
きっと追悼のドキュメンタリーや、演奏会の様子も放送されると思うので是非一度見ていただきたい。
坂本龍一さん、小澤征爾さん、そしてフジコヘミングさん、音楽界は大きな逸材を失った。
止まった時計のネジを自分で巻き直せというようなメッセージを奏でる音だと新聞に書いてあった。
ホントに、勝手にもう年だし…と二の足を踏んでいたことに挑戦できるきっかけを与えてくれたフジコさん。
謹んで御冥福をお祈りします。
なんだかニヤリと笑ったフジコさんのチャーミングな顔が浮かびます。

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