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同人誌装丁の備忘録 / 2021

はじめに

前回の記事からやや時間が空いてしまいました。個人用のまとめ程度のつもりだったのですが、思っていた以上にたくさんの方の目に留まったようで恐縮です……!
わたしは基本的に本文執筆以外の作業を外注しがちなので装丁に関してあまり参考になる部分は少ないかと思いますが、すこしでもお役に立てているようならなによりです。

今回は同人誌装丁のまとめ2021年編ということで、2021年に製作した同人誌4冊について取り上げていきたいと思います。
他にも頒布はしていない小冊子やら個人宛の製本はしているのですが、データが手元に残っていなかかったため頒布物に限定し、感想も4冊まとめて記載のかたちにしています。


春(1冊目)

1年をかけて4冊の同人誌を制作したことで少しずつ同人誌作りにも慣れ、脱稿時の原稿ランナーズハイを味わいながら2021年は「2020年よりは本を作りたい」をモットーにしていました。
その分無茶なスケジュールを組んだりしていたな……というのも否めませんが、結果として2020年同様に季節に1冊程度のペースで発行ができました。

そういうわけで2021年1冊目の同人誌がこちら。

女王蜂

「喪失」をテーマにした短編集だったのでしっとり暗めに仕上げていただきました。2020年に出した『ファム・ファタル〜』の設定を組んだ続編、あるいは精神的パラレル本のためほんのりリンクしたような装丁にしていただいております。
実物の写真はこちら。

実物写真

仕様は下記の通り。
箔押しを2種類使用したことでばっちりぎらぎら出すごく綺麗です。実物には帯もつけていたので、また印象が変わって見えます。


仕様
A6文庫本サイズ / 本文132p / 小口染(黒)
カバー:キュリアスIR_パール_103K
 ∟ マットPP加工 / 箔押し加工(①アバロンセレクト / ②HK038)
表紙:みすず紙_流水_並口
 ∟ マットPP加工
本文:淡クリームキンマリ_70K
遊び紙:タントセレクトTS-1(布目)_N-52(あか)_100K
:コート135kg / マットPP / フルカラー印刷
表紙イラスト:壱師社 さん
装丁itmk さん
印刷STARBOOKS

箔の場所などに関しては装丁をご依頼したデザイナーさんと相談して決めていることが多いのですが、なにぶん優柔不断なもので決めきれない…! となった結果複数箇所箔押ししていることが多いです。
自分が自分のために作っている本なので、自分の好きなようにやれることはどんどん盛っちゃおう!派です。
装丁は『ファム・ファタル〜』に引き続きitmkさんにご依頼させていただきました。今回から小口染をすこし取り入れているのですが……一気に本の雰囲気が変わります。厚みがあればあるほど良さが出るのかな、と感じるため小説同人誌は特に映えるのではないでしょうか。
余談ですが、刊行を原作ジャンルの周年記念(2021年で発売4周年でした)に合わせてこちらの夢小説本を刊行したのですが、お祝い感が……全くなかったな……とは思っています。
まあ、4(し)だしあながち間違いではないのかもと思っています。


夏①(2冊目)

2021年は自分でもバカな原稿スケジュールを組んでいた自覚がありますが、6月に2冊発行して7月にもWebオンリーで1冊頒布して……みたいな感じだったので、その後の燃え尽き症候群がすごかったです。もう二度とやりません。

2021年2冊目の同人誌がこちら。

君は無慈悲な僕の偶像

校正作業が上記の本と同時だったので、頭の切り替えがなかなかできなかったですね……。
実物の写真がこちら。

実物写真

正面からの写真だと伝わりにくいですが、背表紙部分にも箔押しがかかっていて綺麗です。印刷所さんから「箔押し部分が細かいため潰れる可能性がある」というご連絡は事前にいただいていましたが、まったくそんなことはなく…! 細部までばっちりキメていただいております。
仕様は下記の通り。


▼ 仕様
A6文庫本サイズ / 本文100P / 小口染(藍)
カバー:キュリアスIR_パール_103K
 ∟ マットPP加工 / 箔押し加工(HK038 ブラック)
表紙:ファンタス_ブラック_200K
本文:淡クリームキンマリ70K
遊び紙:キュリアスメタル_インク_84K
表紙イラスト・装丁:若瀬紺 さん
印刷所STARBOOKS

表紙イラスト・装丁は『R.I.P.』制作時にご縁をいただきました若瀬さんに引き続きご依頼させていただきました。
とても丁寧にヒアリングしていただけて、もうそれだけでも嬉しかったのですが……「執着と純愛」と言っていただけたことが、わたしのなかですとんとはまるべきところにはまったような形容で思い出深いです。
装丁とイラストをお一人の方にお願いすることで、タイトルに箔押しをするだけではない良さを毎回知ることができているなあと思いますね。


夏②(3冊目)

そして夏の2冊目、7月のWebイベント合わせで発行させていただきました。
さすがにこのころになるとスケジュール的に厳しくて半泣きになりながら原稿をしていた気がします。極論フルタイムの労働後に原稿って、実際ほとんど頭回っていないなと思うので……。

そういうわけで、2022年3冊目の同人誌がこちら。

あげくの果ての花葬


お察しの通り同じジャンルでずっと同人誌(夢本)を出しています。
今回は2021年7月24日にpictSQUAREで開催された夢創作オンリーイベント合わせでの発行でした。
わたしは事前に発行日を決めて先に印刷所さんに連絡を入れて締切を作るタイプなのですが、同人者によって色々な締め切りの作り方があるみたいですね……?
閑話休題として、実物の写真がこちら。

実物写真

箔押しタイトル、バッチリキマるので何回やっても脳内分泌物質がドバドバ出ている気がします。箔押しがしたくて製本しているまである。
帯も合わせて作っていただいて、実物はより洗練されたイメージに。
仕様は下記の通りです。


▼ 仕様
A6文庫本サイズ / 本文90P
カバー:キュリアスIR_パール_103K
 ∟ マットPP加工 / 箔押し加工(リフレックスレッド)
表紙:ミランダ_黒_170K
本文:淡クリームキンマリ_70K
遊び紙:クロマティコ_レッド_59K
:しこくてんれい白90kg / フルカラー印刷
表紙イラスト:猫箸 さん
装丁ヱレキテルワークス さん
印刷所STARBOOKS

表紙は猫箸さん、装丁デザインはヱレキテルワークスさんにご依頼させていただいております。
ここまで書き漏れてしまっていましたが、帯類は基本的にプリントオンさんで作成しています。STARBOOKSさんでは帯印刷ができないようなので……。
とは言ってもカバーだけ、帯だけの印刷ができる印刷所さんは他にもありますし、印刷所によっての特色があるので色々試してみたい気持ちはありますね。


冬(4冊目)

季節はあきまして、というのも上半期での怒涛の連続製本で完全に燃え尽き症候群を発症していました。2021年4冊目の本は12月、これまたWebオンリー合わせでの発行でした。Webオンリーは参加の敷居も低いですし、締切を作るモチベとしてはもってこいだなと思います。

そういうわけで、4冊目の同人誌がこちら。

ever after wonderland
実物写真

今までホログラム系の箔ばかり使用していたので、この時初めて金箔を使用したような覚えがあるのですが……金箔はまた違った豪奢さがあって良いですね。箔押しフェチみたいなことになっている。
仕様については下記の通り。


▼ 仕様
A6文庫本サイズ / 130P
カバー:キュリアスIR_パール_103K
 ∟ マットPP加工 / 箔押し加工(赤金)
表紙:ファンタス赤_200K
 ∟ マットPP加工
本文:淡クリームキンマリ_70K
遊び紙:(前)アストロブライト-FS_ストロングピンク_54.5K
    (後)フローラルノート_90KN ※コスモテック×STARBOOKSコラボ遊び紙
表紙イラスト:めろき さん
装丁ヱレキテルワークス さん
印刷所STARBOOKS


表紙はめろきさん、装丁は引き続きヱレキテルワークスさんにご依頼させていただいております。
このときはちょうどSTARBOOKSさんがコスモテックさんとプレミアム遊び紙コラボをされていた時期で、絶対に同人誌に使いたい!と意気込み後ろ側の遊び紙に使用しています。
箔押し面を内側にすることで最後に箔が押された遊び紙で終わるようにしました。ジャンルがジャンルだったため「フローラル」……絶対使いたくて……また同じような機会があれば是非使用してみたいですね。箔押し遊び紙、すごく良かったので……(※現在は取り扱いは終了されているようです)


まとめと感想

そうこうして2021年も4冊の同人誌を刊行できました。
同人誌につける同人誌(?)やら、個人宛に送った本やらの作業を合間合間で進行していたために秋口あたりがすこしスローペースでしたが、おおむね目標は達成できたかな〜!と思っています。
あまり複数の印刷所を使用しない(慣れるまでに時間がかかりスムーズにできないので)のですが、それぞれの印刷所ごとの良さがあると思うので今後は他の印刷所も使用してみたいですね。
冒頭でも述べたとおり、わたしは基本的にデザイン関係は外注しているのでコストがかかる分作業時間を確保している(時間を買っている)やり方ですが、同人者の数だけやり方があっていいかな、とは思っています。
外注もメリット100%ではありませんし(自分の領分ではないところのミスが発生したときに対応が遅れる、それによって入稿が伸びる……等)やっていくうちに自分に合ったやり方が見つかるような気はしています。
そういった意味でも同人活動は奥深いですね。
2022年のまとめは、年が明けたころにまとめられたらいいなと思っております。あとは需要があれば組版などもまとめたい気持ちはすこしだけ。

ここまでお読みいただき、ほんとうにありがとうございました!