同人誌装丁の備忘録 / 2020
はじめに
同人誌というものを作りはじめて、実のところまだ2年程度になります。
二次創作自体には小学生のころからすでに親しんでいたような記憶がある(もっとも、それが二次創作というものだとは理解していなかった)のですが、自分が創作する側になったのは中学生くらいになってからです。
とは言っても活動自体は個人Webサイトが中心であり、当時はpixivも今ほど主流ではなかったためどちらかといえば内輪で楽しむようなもの、という感覚でした。
そんなわたしが二次創作(わたしが夢創作を主として活動しているため、ここでは夢創作を中心としてお話しします)への見方を改めたのは、実のところTwitterの影響が大きいです。
Twitterで夢創作を中心に活動している人がいることや、今は夢創作のひとつのかたちとして主流となりつつある「夢絵・夢漫画」の存在を知りました。また、夢本という同人誌の形態があることも初めて知り、「すごいなあ」とは思いつつも自分が作ることはないだろうな〜くらいの気持ちだったように思います。
昨今、個人が同人誌を作るハードルはとても下がったように感じています。
1冊から制作を請け負っていただける印刷所さんや、先人の方々の記録で「わたしも作ってみたい」という思いが叶えやすくなったこと、コロナ禍におけるリアルイベントの減少・WEBイベントの盛り上がりや印刷所の支援という点も大きいのかもしれません。
執筆環境
iPadを中心とした同人誌データ作成に関しては先人様方のnoteや記事が多数あがっておりますので、そちらを掲載させていただきます。今回の記事はあくまで同人誌装丁についてのため……。
春(初めての同人誌)
2020年は1年間で季節に1冊本が出したいな〜というすでに発想が無謀な目標を立てた2019年のわたしさん。原稿活動を目的に購入したiPadがただのAmazon prime癒着ただの映画を見る板になりつつありながらも、過去に個人Webサイトへ掲載していた連作夢小説を加筆修正・一部書き下ろしするかたちで2020年3月30日に初めての同人誌を作りました。
入稿はSTARBOOKSさんをご利用しております。その節は大変ご迷惑をおかけしました……。
STARBOOKSさんを選んだ理由としては、Twitterでのクチコミが大きかったように思います。今思えばとても丁寧にやりとりをしてくださるので(不備などもこまめに連絡していただける、お客様ノートから制作進捗の可視化ができる)はじめての印刷所さんがSTARBOOKSさんで本当によかったと思っています。
その本がこちら。
写真が壊滅的に下手なので伝わりにくい。何をとち狂っていたのか、このときのわたしは浅学にも満たないかじり知識で原稿に取りかかったため装丁の「そ」の字も頭にないなか全部自分でやろうとしていたようです。
仕様に関しては下記の通り。
クリア(グロス)PPとホログラム箔は定着率が〜とかまるで気にしていないこの装丁。色んな意味で初心者だったんだな……ということがよくわかります。
とにかく「本棚にそのまま置いておいても違和感がない」「市販の本みたいにしたい」という思いがつよく、クリアPPを選んだ記憶。
初心者が最初から箔押しなんてするもんじゃなかったなと今では思っていますが、初めての本で箔押しを体験してしまったせいで、今では箔押しをしない本をつくらなくなってしまいました。業。
イラストは以前からご縁をいただいているフォロワーさんであるえんじさんにお願いしております。
このときの学び
夏(2冊目の同人誌)
こうしてはじめての同人誌制作を終えたわたしは「同人誌を作るのは楽しい!」となれたわけですが、やはりデータ制作の壁は大きく、2冊目以降は装丁やデザイン関係を外注するようになりました。
デザインや装丁などをすべて自分で行われている方もいらっしゃいますし、そのような方々のすごさを実際に同人活動を始めてから痛感しているのですが……外注することの利点としては「本文に集中できる」「完成したデザイン・装丁データを見ることで自分自身のモチベーションにできる」ことが大きいと感じています。
あれもこれも、と1人で行おうとすると時間確保や心の余裕もなくなり、自分にできるそのとき1番良いものを書き上げることが出来なくなってしまうことを痛感しました。
そのため、2冊目では初めて同人誌の装丁デザインを受け付けられている方へご依頼をさせていただくかたちを取りました。
そして完成した本がこちら。
お誕生日合わせで個人Webサイト再録+書き下ろしのかたちで製作しました。
なんやかんやいいつつ創作の主体は個人サイトのままです。
仕様は下記の通り。
お誕生日本なので豪華にいこう! とデザイナーさんと相談させていただき、箔を2種類使用しています。
ゴージャス感たっぷりで今でもお気に入りです。写真だと伝わりにくいですが、カバーの表2/3部分に透明箔の箔押しがされています。
表紙イラストに関してはTwitterにてご縁をいただいているkamcaさんにご依頼させていただきました。
装丁はBobbin worksのitmkさんへご依頼させていただいております。
装丁を外注することで作業時間の確保・モチベーションのアップにつながることは2冊目での作業を通して痛感しました。
以降も基本的には外注が中心となっています。専門のスキルを持つ方にお願いすることは理にかなっているかな、と個人的には考えていますし、初めてであればあるほどそういった方のお力を借りることを考えても良いのかなと思います。
自分でやってみたい気持ちが全くないわけではないのですが、やはりまだうまく余裕が作れないな〜というのが正直なところ。
このときの学び
秋(3冊目の同人誌)
外注によるモチベのあげかたも学習し、3冊目は表紙イラスト・装丁をすべて同一の方にお願いしました。
※ このときはwebサービスのSKIMAを利用しています。
そして3冊目は初めてのイベント合わせでの同人誌製作・全編書き下ろしの夢小説本でした。pictSQUARE内で開催のオールジャンル夢創作オンリー「You Make Me」にて頒布する予定での制作。
リアルイベントも参加してこなかった出不精ですが、オンラインイベントにはオンラインイベントの良さがありますね。
ピクスクイベント参加に関することは趣旨から外れるため割愛させていただきます。
出来上がった本がこちら。
実物写真を見てもいまいち分かりにくい(写真が下手!)
この本自体がフランツ・グリルパルツァーの「接吻」を元ネタとした「キス(Lip)」と「死(R.I.P./Rest in Place)」を元ネタとしたセルフアンソロジーのような本でした。
仕様については下記の通り。
この本では装丁と表紙イラストを同じ方にご依頼させていただいたことで、装丁を意識したイラストに仕上げていただいております。
わたしは別々の方にご依頼することが多いため(ご依頼した方の負担も大きくなってしまうため)、今回の本の制作を通して「イラストをさらに映えさせる装丁」について考えることができた気がしています。
素敵な表紙イラストを素敵なデザインでさらに高めて素敵な見映えの本にしたい〜! と思うと自ずと中身も頑張らなきゃ……となります。
今回は透明箔を本のテーマに合わせて唇付近にも配置していただいており、本を傾けると瞳のハイライトと唇がギラギラ煌めく仕様です。シルバー印刷も豪奢になってとってもすごい(小並感)
また、「ファンタス紙」という特殊紙を用いることで装丁の幅広さを感じることができました(こちらの装丁は若瀬紺さんにご提案いただいております)
ファンタス黒の反射する表面に遊び紙のミランダしんくが鏡面のように映り込む……という実物でしか味わえない良さ!
イラスト・装丁ともに若瀬紺さん(山田せらさん)へご依頼させていただいております。
このときの学び
冬(4冊目の同人誌)
なんとか年間目標の季節に1冊……は達成できました。
ちょっとはこなれてきたかな!? という慢心(…)のもと、印刷所さんを変えて同人誌を作ってみたいな〜とも思うようになり。
4冊目の制作はプリントオンさんを利用しました。Twitterのクチコミなどでも「装丁にこだわれる」というプリントオンさんのつよみを目にしていたため……。
とは言っても自分自身が文庫本サイズ以外で夢小説本を出すつもりがまるでなかったため、そんなに特殊な装丁は利用しなかったように思います。
出来上がった本がこちら。
続編が出る前に出さないとまずい(据え置きゲーム特有の発想)ということで書き上げた本ですが、今回はプリントオンさんの文庫本セットを利用することで帯をつけてみました。
すごく市販の文庫本ぽい……!! と届いてから感動したことは今でも覚えています。お陰で帯を付けることにも少し目覚めました。
仕様については下記の通り。
はじめてのプリントオンさんの使用なのでSTARBOOKSさんとの違いを書くと、プリントオンさんは作業進捗の表示の程度がSTARBOOKSさんほど細かくはないので届くまでのどきどき感があります。
あとは細かい不備の連絡は来ない仕様。ミスがないか不安でした……主に本文PDF。
また、本文ページ数の変更などの細やかな変更がSTARBOOKSさんはお客さまノートから発注後も行えますが、プリントオンさんは仕様を変更する場合は一度キャンセルする必要があるため注意が必要。しっかりページ数や装丁などが決まってから発注をかけた方が安全です。
(その節は度重なるキャンセルでご迷惑をおかけしました)
表紙イラストは1冊目に引き続きえんじさま、装丁デザインは2冊目に引き続きitmkさまにご依頼しております。
このときの学び
2020年まとめはひとまずここまで。
また折を見て2021年編や組版についてもまとめられると良いな、の気持ちです。