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平家物語から「敦盛」の笛The tale of the Heike :The death of Atsumori


「あないとほし 。この暁城の内にて管絃し給ひつるはこの人々にておはしけり 。当時御方に東国の勢何万騎かあるらめども軍の陣へ笛持つ人はよもあらじ 。上臈はなほも優しかりけるものを 。」とてこれを取つて大将軍の御見参に入れたりければ見る人涙を流しけり

“Oh, how awful! At dawn today, within the fortress, you could hear men making music, and obviously he was one of them! We boast in our army from the east warriors by the tens of thousands, but I am certain not one of them brought a flute with him into battle!These noble gentlemen are so refined!” Kumagai went to present himself before Yoshitsune, and the sight of the head drew tears from every man present.

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、熊谷次郎直実と平敦盛の段は取り上げられなかったらしい。でも私は平家物語の中でとても好きな場面の一つです。

 源氏方の熊谷次郎直実が、海岸に逃げようとしていた平敦盛を呼び止めて取り押さえ首をはねようとしたところ、薄化粧した美麗な若者は実子の小次郎と年近く見えた。敦盛に憐れを覚え助け参らせようとしたものの、味方の軍勢が現れ、なくなく敦盛の首を落とした。そのとき敦盛が錦の袋に入れた「笛」を腰につけているのを見つけた。「戦場に笛を持ち込むとは、貴公子とは洗練されたものであるなぁ」と熊谷は感嘆した。この笛(「小枝」という)は、笛の名手であった平忠盛が鳥羽院から拝領し、経盛、敦盛と受け継がれた由緒あるものだと分かった。戦の無常を感じその後熊谷は出家を決意したという。

 英訳版では「笛」を「flute」、「貴公子はやはり優雅なことよ」を「These noble gentlemen are so refined!」と訳している。もし貴公子の敦盛が西洋人でしたら、どんな音楽を奏でたのでしょうね。優雅でちょっともの悲しいバッハのフルートソナタが思い浮かびました。

◎Bach - Flute sonata in A major BWV 1032

https://www.youtube.com/watch?v=4QVhdV_AtkI

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