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【3】 誰かにプロポーズされたくて頑張ってるのに、お願いされるのは3P

1000日後に結婚している夫婦のお話
前回からのつづきです

▼ 前回の修羅場はこちら



<7日目> 自宅にて

イケメンと再会し、連絡先を交換して、修羅場を尻目に撤収した翌日。

意外なことに、彼からもう連絡がきた。

嘘じゃない。いろんなサイトの記事とか書いてるから。

こんな何気ないやりとりで淡白にLINEが終了。

あの手の女に飢えてないタイプは自分から連絡してこないだろうと思ってたのに、こんなにグイグイ来るなんて意外だった。

私は自分のことを何ひとつ話していないし、彼の興味を惹くような美貌もスタイルも持っていないのに…

ヤレれば誰でも良い雑食タイプなのかな。

まぁ正直、当時は私も「結婚できれば誰でも良い」くらいの勢いで婚活をしていたし、その息抜きになる遊び相手も探していたから、お互い様ではあるんだけど。


そんなわけでその日の夜も、私は街に出掛けていた。

実は前日の夜に知り合った証券会社の男の子2人が、また会いたいと連絡をくれていたから。

居酒屋で3人で飲み、出張兼旅行で来ていた彼らが一度ホテルの部屋に戻ると言うのでついていくと、案の定セックスを打診された。

ずっと誰かにプロポーズされたくて頑張ってるのに、お願いされるのは3Pかー…。

絶望感を感じながらも、こんなことで証券会社とのコネを失いたくはないと思い(また飲み会をする約束をしていた)、「今から女友達と相席店に行く約束をしてるから、それが終わって暇だったらまたみんなで飲もうよ!」と言って躱した。

彼らは「約束ね!」と再三私に言ったけど、その約束を破ったのは彼らだった。


友達と合流して相席店へ向かう私を見て、彼らは「じゃあ俺らも相席行って時間潰しとくわ!」と言った。

私たちが入店してすぐに、彼らも同じ店に入って来た。
私と彼らは相席にこそならなかったものの、互いが確認できる位置に座り、それぞれ別の異性と相席する形になった。

でも、彼らは約束していた24時になっても、私の方に目配せひとつしなかった。
スマホを目の前に置いているのに、「約束通り飲み直す?」という私の連絡もすべて無視。

理由は明白。そこで相席をした女の子たちのほうが、圧倒的に若くて可愛かったから。

べつに彼らとまた飲みたかったわけじゃない。
旅先で知り合った女に3Pを打診してくるような痛い男たちと仲良くしたかったわけでもない。

そうではなくて、"婚活中のアラサー"という絶妙なポジションで、自分の市場価値を見て見ぬふりしながら懸命に活動していた当時の私にとって、彼らのあからさまな行動はものすごくショックだった。

若くて可愛い女の子たちと話し込みながら、必死で私の視線に気づかないフリを続ける彼らの様子を見ていると、「さっき依頼された3P、今からする?^^」と言いながら目の前に立ちふさがってやりたいと思ったけれど、虚しくなるだけなので黙ってその場から撤収した。

そうして彼らに「帰るね」とLINEを送ったものの、その日の夜に既読がつくことはなかった。

私は勘違いしていたみたいだ。
てっきり、自分が男を選ぶ側、誘いを躱わす側なんだと。

もうすっかり躱される側になっていて、選ばれなかった結果、こんな虚しい思いをしている。

べつに全然好みじゃない、ただノリが良くて楽しかっただけの、どうでもいい男2人に、こんなに心を掻き乱されるなんて…

こんな世界、アラサーになるまで知らなかったなぁ。

星の数ほど相席店に行ってきたけど、みんなこちらを連れ出すことに必死で、一緒に外に出ることを喜ばぬ者はいなかった(帝)

そう考えると帰り道に涙が出てきて、見て見ぬフリをしていた自分に対するコンプレックスが爆発してきて、どうしようもない気持ちになった。

そのときだった。

家に帰り着くとほぼ同時に、スマホの通知音が鳴った。

あのイケメンからだった。

間が良いのか悪いのか、3日ぶりの連絡がこれだ。

私は衝動的に電話をかけた。

イケメンは意外にも、すぐに電話を取ってくれた。

私「ごめん、急に電話して…いま大丈夫?」
イケメン「あぁ…ちょっと待って、外に出るから…」
私「ごめん、誰かといた?」
イケメン「いや、彼女と同棲してるから。コンビニ行くって言って外出てきた」

おぉ…彼女と同棲してるのにこんなに頻繁にLINEを送ってきてたんだ…

と少しびっくりしたけれど、まぁ先日の修羅場を目撃していたので、彼のクズっぷりにはもうそこまで驚かなかった。

私「急にごめん、今ものすごい落ち込んでたから、なんか話したくなって…でも彼女が心配すると思うしもう切るよ。ごめん、同棲してるの知らなくて」
イケメン「大丈夫だよ。何があったか話してみて」

イケメンはかなり年下なのに、意外にも落ち着きがあって聴き上手だった。
声が低いせいかもしれない。

私「実は今日、ものすごくショックなことがあって…あなたには無いでしょう、こんなに自己肯定感を削られること。コンプレックスなんて無いでしょう…」

そこで突然電話が途切れた。

さすがに面倒臭かったのかな…と心配になったけど、どうやら私がマンションのエレベーターに乗ったせいで通信が途切れてしまったらしい。

すかさず彼に連絡する。

さすがにこれ以上は甘えられない。

そう思って気持ちを切り替えようとすると、すかさず彼から電話がかかって来た。

イケメン「ごめん、なんか急に切れた。あるよ、俺だって凹むこと。何があったの?」

そうして私は今夜起こったことをぶちまける場所を得られた安心感で、少し涙ぐみながらことの顛末を彼に語った。

こんなことを言うと失礼だけど、正直「婚活的にナシ」だと思ってる相手だからこそ、こんな下世話な話を包み隠さずできたんだと思う。
私は彼に婚活の愚痴を溢すかのごとく、知り合って間もない男のホテルに入ってセックスを打診されたこと、それを断りまた飲む約束を取り付けたこと、目の前で無言でその約束を破られたこと…なんかをくどくどと聴かせた。

1時間くらい話していたと思う。イケメンはアラサー婚活女の生産性のない話をうんうんと優しく聴いてくれていたけど、最後に本題とばかりにこう言った。

イケメン「少しはスッキリした?じゃあ、今から会おうよ」

時間はもう2時を過ぎていたけど、私は「うん」と即答した。

雨の中、外で傘をさして棒立ちし、興味のない話を1時間も聴いてくれた彼の誘いを、断る理由がなかった。

このイケメンと会って、今日の記憶を上書きしよう。

そう思って、彼の打診を受け入れた。

▼ 電話のあと、待ち合わせをした際のやりとり

非常に生々しい

タクシーを降りると、待ち合わせ場所にイケメンが立っていた。

さっき私との約束を破った証券会社の2人なんか、足元にも及ばないくらいのドイケメンだ。

イケメンは私が駆け寄るなり自分の傘に入れて、肩を抱いてくれた。

そしてそのまま「歩こう」と言って、川沿いの道を歩き始めた。


イケメン「ホテルでいい?」
私「え、うん」

愚痴の電話に長時間付き合ってもらった手前、いやそんなの無くても、私には断る理由がなかった。

イケメンと遊んで、今日の嫌な記憶を上書きしよう。

そう思って、彼と手を繋いでピンクの外壁の古いホテルに入った。



この連載は、私が夫と出会ってから夫婦になるまでの1000日間を綴ったドロゲス生モノ婚活エッセイです。

あまりに生々しい内容のため、6月1日以降は公開3日以内のエッセイを残して過去記事を有料コンテンツにするので、最後まで無料で読みたい人は記事が公開されて3日以内に読むようにしてね!

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-【4】へつづく -


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