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【5】 あのイケメンは婚活的にかなり有用だ!

1000日後に結婚している夫婦のお話
前回からのつづきです

▼ 前回のお話はこちら



<20日目> 夕暮れどきの繁華街にて

金曜日。
この日は婚活中の女にとって、1週間で1番がんばらなければいけない日だ。

なぜなら仕事帰りの若いサラリーマンが、街に溢れ返っているから。

平日仕事のサラリーマンは、土曜や日曜より金曜に飲みに出る率が高い。

それもスーツ姿で会社の同僚とやって来るので、2割増しでカッコよく見える。

土日に比べて都心からの観光客(婚活的に無意味な相手)も少ないし、婚活の成果が最も得られやすい曜日、それが金曜日だ。

そんなわけで私はこの日も婚活仲間の女友達とキメキメで街に出掛けていた。


すると夕方、仕事終わりの時間帯に、例のイケメンから今夜会えないかと誘いのLINEが届いた。

私は夜中まで相席店やバーでハンティングに勤しむ予定だったので、「深夜なら会えるかも」と返事をしたんだけど、イケメンは即レスで「待ってるね」と返してきた。

金曜日の夜って、彼女と過ごすか、遊ぶにしても1番お気に入りの子を選ぶもんなんじゃないんか?

あのイケメン、私みたいな特に可愛くもない妙齢の女を週末にブッキングするなんて、意外と遊び相手が少ないのか…

そんなことを考えながら、女友達と予定していた相席店に入り、たくさんの男性と相席した。


で、そこで気付いたことがある。

深夜にイケメンとホテルに行くことが確定した状態でハンティングに行くと、どんな男性と対面しても、心穏やかに楽しく過ごすことができる。

相席店で相席した男性が50代のクソおじでも、バーでナンパしてきたブサイクが信じられないほど上から目線でも、「イケメンが待っている」というアドバンテージが私の心にとんでもない余裕を与えてくれていた。

イケメンの効力、すごい

普段なら相席店で好みじゃない男性と対面したら迷わずチェンジボタンを押すが、この日は一切そんな気持ちにならなかった。

ただただ楽しい。ただただ笑顔。
どんな男性にも軽快な返しができる。

その結果、その日の私はすごくモテた。

これはいい、あのイケメンは婚活的にかなり有用だ!

そう思ったのを覚えている。

(ちなみにその時期から、私は彼のような人材を自分の周りにキープする戦略を「イケメンパラダイス」と呼んで、自分の婚活戦法のひとつにしていた)


1時頃になって、ハンティング活動に満足した私はようやくイケメンに連絡した。

私「終わったよ!この前のホテル来れる?」

そこは初めて行ったラブホじゃなくて、2度目に会ったシティホテル。
まだ完成したばかりでものすごく綺麗な上に、1階にセブンイレブンが入っているので、私は結構気に入っていた。

彼とセブンで待ち合わせ、ホテルに入って一夜を過ごす。

私「今日は帰らなくていいの?彼女心配するよ」
イケメン「実家に帰るって伝えてきた。だから今日は帰らなくても平気」
私「そうなんだ…」

私は少し罪悪感を感じたけれど、イケメンの彼女の情報を何も知らなかったので(名前も年齢も職業も顔も詮索しないようにしていた)、あくまで自分と彼の2人の関係だと思って、彼との時間を楽しむことにした。


初めて彼と朝を迎える。

イケメンの寝顔の破壊力はすごい。
彼の寝顔は私がこれまで一緒に眠ってきたどの男性よりも綺麗で、まるで彫刻か絵画のようだった。

そのホテルのチェックアウト時間は11時だったので、どうせなら一緒にお昼を食べようと提案し、ホテルの近くのオシャレな定食屋に向かう。

私とイケメンは

① 出会った日(8/15)
② 再会して連絡先を交換した日(8/22)
③ 初めてラブホに行った日(8/25)
④ シティホテルに行った日(8月末の某日)
⑤ 今回(9/4)

と、すでに5回も会っていたけど、1度も一緒にご飯を食べたことが無かった。

なのでこの日は新しい試みで、少しだけ楽しかったのを覚えている。

2人で定食屋に行き、別々の定食を頼んで、初めて人間らしい会話をする。

彼は彼女の話をほとんどしない人だったけど、「今月末で同棲を解消する」ということだけはポツリと呟いていた。

私は「ふーん」と返しつつ、(こんなクズがフリーになったところで私には関係ないけど、遊べる頻度が増えるのはありがたいな…)と思った。


ランチを食べてさぁ解散かと思いきや、彼は意外にも「カフェに行きたい」と言い出した。

どうやら近くにお気に入りのカフェがあるらしく、得意げに連れていかれたけれど、私は内心「この店もきっと彼女と来てるんだよな…それなのに悪びれもせず…さすがクズ」などと思いながら心の中で拍手を送っていた。

カフェを出て、「化粧もしてないし、もう帰る」という私に、彼は「今夜も一緒に過ごせない?」と言った。

イケメン「実家に泊まってくるって彼女に伝えてるから、いま帰ると変だし…」
私「え、じゃあ2時間くらい街ブラして夕方に帰ればいいんじゃないの。あなたの実家、市内でしょ」
イケメン「そうだけど…こしきちゃん、何か予定あるの?」
私「まぁ…夜また友達と相席行くけど…」

なんでこんなに連日一緒に過ごしたがるんだろう。
彼女との関係が終わりかけてる感じはするけど、そんなに帰りたくないのか…


なんだか可哀想になったので、私は一旦彼をそのへんのベンチに残して自宅に戻り、身支度を整えて再度合流することにした。

すると彼は2時間近くもの間、ずっとそのベンチに座って待っていたらしい。

その姿がますます可哀想で、私は近くのホテルの40平米ほどあるスイートルームを取ってあげることにした。(コロナ期間中だったからか、普通に1万ちょっとで取れた)

これまでラブホ代やコンビニ代は彼が支払ってくれていたので、シティホテル代は私が支払う担当に。

部屋に入ると、彼は「広いねぇ」と言って少し喜んでいたけど、私が1時間ほど休憩してすぐ街に遊びに出ると言うと、少しだけ淋しそうな顔をした。

彼は私が居ない時間の暇つぶしにと近くで本を買ってきていて、「これ読んでるから、ゆっくり遊んできていいよ」と言ってくれたけど、

なんだか私は彼を置き去りにすることに罪悪感を感じてしまって、"土曜の夜"という婚活的に超重要な時間を心ここに在らずで過ごすことになるのだった。



この連載は、私が夫と出会ってから夫婦になるまでの1000日間を綴ったドロゲス生モノ婚活エッセイです。

あまりに生々しい内容のため、6月1日以降は公開3日以内のエッセイを残して過去記事を有料コンテンツにするので、最後まで無料で読みたい人は記事が公開されて3日以内に読むようにしてね!

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-【6】へつづく -


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