【読書ログ】コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル


書籍情報

タイトル:コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル
著者:メン獄
ジャンル:コンサル、仕事術
オススメする読者層:ビジネスパーソン全般

外資系コンサルティング会社で12年間、アナリストからシニアマネージャーまで駆け抜けたメン獄さんのサバイバル記録です。コンサル業界特有の過酷な経験談と、そこから抽出したサバイバル術が記されています。仕事術としての学びを得られるのもそうですが、大変な思いをしながら生き延びてきた綺麗事抜きのリアルな体験談に勇気も貰える一冊です。

要約

アナリスト編からマネージャー編までの全3部構成です。以下では各部よりそれぞれご紹介したい箇所を要約しています。

”速い”はそれ自体が重要な価値である

Webデザインに近い領域から、AIを使った解析業務など、時代の流れの中で、コンサルティング会社の事業は多角化しました。このような状況の中でもコンサルタントがコンサルタントたる所以として筆頭に挙げられる核心的要素について、著者は「速度」であると考えています。

✔ ボールが来る場所に走る
仕事の速度の本質は、物理的な作業スピードもさることながら、次に何が起こるのかを予測して仕事を行う”先読み”にこそあるといえます。

ボールが飛んで来る所を予測し、予め体をその場所に移動させてボールをキャッチするが如く、日々次の業務を予測しながら行動することで、仕事は圧倒的に速くなります。

✔ 仕事の段取りを先につける
仕事の依頼があったときに、闇雲に作業をはじめてしまうと必ずと言っていいほど失敗します。本来的には要望や指示は細かく出すべきですが、重要な立場にいる人は皆多忙で、アバウトになりがちです。仕事の依頼が来たら以下の5つのチェック項目を意識しましょう。

1.その仕事の目的はなんなのか?
2.仕事のインプットとアウトプットは明確か?
3.作業手順は明確か?
4.提出前に誰の確認が必要な仕事なのか?
5.タイムラインと優先順位は明確か?

✔ 品質担保の手順を必ず持つ
そもそもミスをする人はなぜミスをしてしまうのでしょうか?セルフチェックは形式的にしているものの、その確認作業が主観的すぎるということが考えられます。ある一つのチェックにより、どのようなミスを減らしたいかという目的意識が希薄だとミスは減りにくいです。

「何のミスを減らしたいのか」という目的から、どうしたら減らせるのかの具体的な方法・手順を考え、それを自動的・機械的に適用することが品質担保には必要になります。

「変化」を起こすから価値がある

コンサルタントの仕事は、ただ与えられたタスクを終わらせることではなく、変化を起こすことに肝があります。コンサルタントがクライアントに売っているものは、事業全体に対する「変化」です。

現場のクライアントと良い関係を築けていても、なぜか進行がうまくいかないPJがあります。毎日コミュニケーションをしており、意思疎通もできていて、かつ会議の雰囲気も良く和やかです。しかし進捗が常に遅延状態にあります。

良くある原因として、意思決定権を持つクライアントとの意思疎通を怠っているケースがあります。クライアントの企業も複数の部署で構築されており、意思決定の規模が大きくなればなるほど関連する部署の数は増えていきます。

クライアントを「変える」ために、今自分が働きかけるべき人や部署はどこにあるのかを把握し、関連性を積極的に開拓していく動きをしましょう。

また、対面しているクライアントをかえるには、「もし〇〇さんが社長であれば、今の業務のやり方をどう変えますか?」「本当はどのような仕事の仕方をしたいですか?」といった質問により、糸口を見つけられることもあります。

チームを率いる立場になったら必要なこと

マネージャーのように、チームを率いる立場になった場合に必要なことは、PJを勝利に導けることです。PJや顧客にもよりますが、概ね以下の点に帰結します。

・ スケジュールの遅延、品質面の瑕疵なく、予算内でPJを完遂させること
・継続の案件が獲得できる、または将来性のある関係性を築けたこと
・ チームメンバーのロイヤリティを維持し成長させ、社内で成長させること

よくチームのみんなと一緒に考え、寄り添いあうマネージャーになりたいと言う人がいます。しかし会社やクライアントが求めているのはシンプルにPJを勝利に導けるマネージャーであり、なにも一緒に負けて、哀しみを分かち合うマネージャーではありません。

マネージャーであるからには、どんな手段を用いても勝たなければなりません。社内に人がいないなら外部の業者を自分で連れてくる。ツールがなければ自分で探すか、作る。手段を択ばないとはそういうことであり、総力戦です。

感想

仕事の基本動作

本格的に働き始めてから10年以上になるのですが、”速さを重視すべし”、”とにかく素早く着手せよ”といった教えは根幹をなす重要な要素と常々感じます。

仕事であまり良くない局面が訪れてしまうのは、大概が余裕を持ったスケジュールで仕事を遂行できなかった場合です。また、特に仕事にこなれてきて、「その気になればすぐ終わらせられる」というような心理状態になった時も極めて危険です。

そのために、仕事を速くするための手段は常に追求し続ける価値があるように思います。本書で紹介されているような先読み、段取りの他、地味ですがPCやOfficeのショートカット、過不足なくやり取りできるコミュニケーション能力等は、変な癖がついていないかも含めて常に点検しておいて損はありません。

如何にして変えるか

変化を拒むのは人の基本習性と言っても良いように思います。自分も油断すると「問題が起きてるわけじゃないし、しばらく今のままでいいか」と考えてしまいがちです。

やり方を変えると今までとは予期せぬ事象に見舞われやすいです。例えば仕事のうえで管理資料を作り変えると、慣れるまでかえって工数が増えたり、チェックすべき箇所が変わって当面はミスが増えたりします。

中小企業診断士業務で中小企業の経営相談に乗ることがありますが、やはり組織は長年やってきたやり方を変えるのには相当な抵抗を覚えることが多いです。

そんな中でも如何にして変化を起こすかがある種の腕の見せ所です。「変えるべし」と口で言い続けるだけではなかなか実現しません。変化を起こすことは容易ではないことを自覚のうえ、「まずはやって見せる」「相手をその気にさせるようなコミュニケーションを取る」など、あらゆる手段をストックしておきたいところです。

部分最適から全体最適へ

立場上、職種や業界問わず様々な立場で仕事をします。プレイヤー、マネジメント、営業、経理、経営企画的な立場などなど。

その時々で自分の役割を意識しますが、色々な人と一緒に仕事をすると、その人がどの程度の目線の高さで、どういうことに注視して仕事をしているかを実感できます。

自分の領域で問題が起きないことに全神経を注ぐ人、こぼれそうなボールを拾いにいく人、自分の手柄をアピールするのに全力を注ぐ人、常に問題解決に目線を向けている人など。

決して仕事のやり方に正解があるわけではないのですが、意識が狭い範囲に留まったまま仕事をし続けると、短期的にはうまくいっていても、いずれ大きな環境の変化があったときに対処しにくくなるように思います。

また、どうせなら広く見渡して仕事をした方が楽しく、前向きな味方も増えていきます。意識が問題解決寄りで目線が上向きな人と一緒に仕事をすると、またこの人と仕事をしたいなと思いますし、自分もそう思ってもらえるような仕事をしたいところです。

独立していると自分の仕事を手放したくない、といった感覚になることもあるのですが、しっかりと役割を果たして仕事を終えたならば、また別の機会にも恵まれやすいようにも感じます。長い目線で、より価値を残していけるような振る舞いをしたいところです。

最後までお読み下さりありがとうございます!

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