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ドライブマイカーに散りばめられた美しさたち


ドライブマイカーという映画について

ドライブマイカーという映画はドライブマイカーという短編小説詩集の一番始めの物語である。映画ではその短編小説集に盛り込まれたその他の話と関連づけられ作成されている。


映画ドライブマイカーの魅力

ドライブマイカーの魅力はなんといってもそこら中に散りばめられた美しいものたちである。

ビデオの回し方

まずは計算され洗練しきったビデオの回し方である。余白や尺の取り方、撮影技巧が陳腐ではなく洗練されている印象を受けそれが観る側を心地よく映画に惹き込む。

ファッション

次にファッションだ。特に霧島れいかが演じる主人公の家福悠介の妻、家福音は筆舌しがたい。弛んでいない、だが痩せすぎていないほっそりした体をふわっと包む優しい色味の服たち。儚げだがどこか芯があり、声には優しさのなかにゆらながさのようなものが感じられた。髪はセミロングでぱつっと切り揃えられており、暗めの髪色でツヤがあり40代ならではの大人の色気が出ていた。         また手話を使う韓国女優の役として出ていたパクユリムという女優も真っ直ぐに人の心に入り込むことを容易にたらしめるような抜群な透明感のようなものを纏っておりそれが非常に美しかった。

言葉たち

最後にこれを語らずして映画ドライブマイカーを語れずというのが、言葉たちだろう。この映画は紡がれた言葉たちと共に物語が進んでいく。どの会話の言葉も無駄がなく、神経を研ぎ澄ませ一語一句聴き逃さないようにしてもらいたい。劇場にいた全員が心に一つ言葉を突き刺して帰っただろうと思うほど、全ての言葉たちは美しかった。


最後に:ドライブマイカーを見て

美しさというものを画面いっぱいに観ることができた映画だった。その美しさに魅了されると同時に自分が誰かをうまく魅了できないところに歯痒さを覚えた。

村上春樹が好きな人であれば上映時間まるまる最初から最後まで楽しめるものになっているので、ぜひ劇場で見ることをおすすめしたい。


cloudy


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