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情報オリンピック銀賞のレッドコーダーが、スポーツでも日本代表を経験し、なぜCloudbaseを選んだのか

【プロフィール】
岩井 龍之介(いわい りゅうのすけ)
Cloudbase株式会社 エンジニア
京都大学卒業後、メルカリに入社。メルカリでは、Microservices Platformチームに所属し、社内のCI基盤の刷新・セキュリティの強化に従事。
2023年1月よりCloudbaseにジョインし、主にデータ基盤部分の機能開発を担当。


この記事はCloudbase株式会社CEO岩佐が社員に対し、入社理由やキャリアについて質問した内容をまとめたものです。

競技プログラミングとスポーツの二刀流。そこへ行き着くまでの道のり

ー まず自己紹介をお願いします。

Cloudbaseに今年の1月から入社し、ソフトウェアエンジニアとして働いている岩井龍之介(以下「龍之介」)です。Cloudbaseに入社してからは、リソースマップと呼ばれるクラウド上のリソースの状況を可視化する機能の開発や、複数のクラウド上での脆弱性スキャンを共通化するための基盤の設計などを担当しました。最近は、今話題のAIを社内で活用していくためのAIラボの立ち上げにもチャレンジしたりしています。

ー Cloudbaseのことはどのようにして知りましたか。

CEOの岩佐や社員の成瀬とは元々大学の同じ学科の同期だったので、その繋がりでCloudbaseという会社については色々話を聞いていました。一度岩佐・宮川小川の3人と一緒にご飯に行く機会があり、そこで3人に実際に詳しく話を聞いてみて「おもしろそうなサービスやってるな」と思って副業を始めました。

ー 副業や入社の決め手も気になりますが、まず龍之介自身について聞きたいなと思います。小中高を振り返ると、どのようなことをしていましたか。

中高でパソコン研究部に所属していたので、プログラミング自体は中学1年生の頃からしてきました。そのきっかけになったのは、小学生の頃にゲームがすごく好きだったことです。スマブラとかマリオとかばっかりやっていて親にはよく怒られていました。笑 幼心に将来は何かのゲームを作りたいなと考えるようになり、確か10歳の二分の一成人式の時も、将来は「任天堂に入ってゲームクリエイターになりたい」とみんなの前で発表した覚えがあります笑
中学に入学すると、ゲームが作りたいという理由で、「ゲーム作ってます!」と謳っていたパソコン研究部に入部して、その後は文化祭とかで実際に作ったゲームを展示していました。でも、ゲーム作りは、1人でやることに限界があるなと感じてからは、パソコン研究部で先輩に薦められた競技プログラミングを始めました。そしたら、それにどハマりして中高はずっとプログラミングをやっていました。

ー 小学生の時はずっとゲームをやりながらも、灘中学校に合格されたそうです!

ー 競技プログラミングでは結構良い成績を出されていたと聞きましたが、記録はどうでしたか?

競技プログラミングは中学3年の時に始めて、その年の日本情報オリンピックに出場したら、まさかの本戦で銀賞を取ってしまったんです。高校1年の時も同じく銀賞でした。
競技プログラミングは昔から海外のサイトでCodeforcesやTopcoderなど色々なコンテストが開催されています。今は日本にもAtcoderがあるのですが、僕がやっていた当時はAtCoderもできたばかりだったので、僕は海外のコンテストにオンラインで出場して、問題も英語で出されるような状況でやっていました。一番熱中していた時はいつ何時も競技プログラミングのことを考えているような感じで、学校の授業中はパソコンを触れないので、家で問題文を紙に印刷して授業中に解法を考えて帰ってから実装するみたいなこともしていましたね。笑
競技プログラミングの強さを表すものにレーティングというものがあって、そのレーティングにはそれぞれ色がついているんです。大体一番上が赤色になっていて、これはレッドコーダーと呼ばれるものなのですが、コンテストの出場を繰り返した結果Codeforcesで一瞬赤になったこともありました。

ー 日本で数十人しかいなかった最高ランクに遂に到達したんですね!本当にすごいです。

ー 運動でも日本代表になった経験があるんですよね。

大学に入ってから、オリエンテーリングというマイナーなスポーツを始めました。元々、アウトドア系が好きで、そういうスポーツが何かないかなと思っていたところ、オリエンテーリングに出会いました。これは地図とコンパスで自分の現在地を把握しながら、森の中の指定されたポイントをいかに早く回れるかを競うスポーツです。これにも大分はまって、大学2年のときはジュニア世界オリエンテーリング選手権に日本代表として出場しました。

ー 情報オリンピックでの銀賞獲得、Codeforcesでのレッドコーダー、オリエンテーリングの日本代表という数々の凄まじい経歴を実現できた、その根本にあるものは何でしょうか。

振り返ってみると、”自分の成長を実感できる”ということが根底にある強い原動力になっていたと思いますね。
何かを始めた時というのは、出来ることが増えて、色々なスキルが身につくと同時に、できなかったことができるようになっていく、という体験ができると思うのですが、それがとても好きなんです。その「できるようになっていく」という感覚を追いかけてるうちに気づけば、というのが全部に共通するところかなと思います。

「成長」を感じられたメルカリからCloudbaseに転職。新たに期待する「成長」とは。

ー できることが増えるという楽しさの連鎖を極めていった結果なんですね。龍之介は卒業後メルカリに就職しましたが、選んだ理由を教えてください。

複数の会社でインターンをした上で、メルカリは組織全体としての技術力や開発力が高く、組織や開発に関する多くの部分が「仕組み化」されていると感じたことが大きかったです。基本的にインフラが全てがコード化されており、マニュアルでの操作を防ぎ必ずコードを通した変更しかできないようになっているところに感銘を受け、学べることが多そうだなと思いました。
またインターンの配属の際は普通に日本語のチームを考えていたのですが、人事の方に相談したところ「今インターンできるのが英語のチームしかない」と告げられ、”Go Bold”の精神で飛び込んでみることに決めました。インターンの最初は原稿を読んでいましたが、最後にはそれなりに英語を喋れるようになっていました。この経験を通して「意外と挑戦したらできるものなんだな」っていう気づきとか、インターンの前には考えもしなかったですが「英語喋れるの楽しいな」という風にも感じていました。
そんな風に英語を徐々に喋れるようになっていくという過程がすごく楽しく刺激的だったのが決め手になり、最終的にメルカリを選びました。

ー ここでも、技術力や英語力で「過去の自分よりも成長する」ということが鍵になっているのですね。それでは次にメルカリをやめて、なぜCloudbaseを選んだのかを教えてください。

元々転職を積極的に検討してたわけではなく、むしろメルカリの環境や英語を喋れる環境にすごい満足していて、もう2.3年はメルカリでやろうと思っていました。
でも岩佐や成瀬の話を聞いてCloudbaseで副業を始めて、なかなか他ではできないような面白い開発タスクを任されることが多く、次第にここでフルコミットして様々なことにチャレンジしたいなという気持ちが強くなってきました。メルカリでお世話になった人事の方やチームのメンバーに申し訳ないという気持ちはとても大きかったですが、一方でワクワクが抑えきれず、色んな葛藤の末に泣く泣く転職を決めたって感じです。

ー 入社前と入社後で感じたギャップはありますか。

ギャップについては特になくて、期待してた通りの面白い開発に携わらせてもらってるなと感じています。
副業時代と違うのは、普段の業務でメンバーと色々ディスカッションしたり、お客さんと実際話していく中で、課題や取り組みたいことが日常的にどんどん広がっていくというところですね。日々やりたいことが雪だるま式に増えていく中で、有限な時間をどこに使うのか、どれも大事なタスクではありつつも取捨選択をしていかないといけないというのが難しく、時にはつらいところかなと思います。

ー 今まで営業の場面に出るという仕事は少なかったと思いますが、やってみてどうですか。

正直、とても緊張します。失礼なことを言わないかなとか、鋭い質問が来たときに的確に答えられるのかなという不安はありつつも、エンジニアとして商談という実際に契約が成立するかどうかの場に出させてもらうことは、とても貴重な経験だなと思っています。今の会社のフェーズだからこそ出来ることでもあると思いますし、普段の開発とはまた違った刺激をもらっています。

ー 入社から2ヶ月が経ちましたが、入社してよかったなと感じることなんですか。

やはりこのフェーズの会社ならではのスピード感、やること山積み感が楽しいですね。前職では会社の規模や全社の技術基盤を担うチームだったこともあり、どうしても他のチームとの調整やサポート対応が業務の多くを占めていたのですが、今はコードを書いている時間、プロダクトについて考えている時間が圧倒的に多いです。時間の流れを忘れて夢中でコーディングしていることもしょっちゅうで、不必要なミーティングは極力削るという社内文化のおかげもあり、開発者が開発に集中できる環境が整っていると感じますね。

ー Cloudbaseの開発のどんなところが好きですか。

Cloudbaseというサービス自体が結構特殊で、お客様にWebアプリを利用してもらうだけではなくて、お客様のクラウド環境にアクセスさせて頂き、その結果を加工する「裏」のアプリケーションが存在しており、そこがサービスの肝になっています。なのでシステム構成もフロントエンドのUIとバックエンドのAPIという構成はもちろんありつつも、それ以上に多くのコンポーネントがバックエンドで動いているんですね。
まず大前提、お客様の社内システムの構成情報という最重要機密を扱うわけなので、アクセス権限やデータの経路、管理方法などに最大限の注意を払って設計する必要があります。また今ご利用頂いているお客様は会社の規模に伴って社内システムの規模も非常に大きく、データサイズも膨大なため、それを扱うシステムもそのデータ量に耐えられる設計にする必要があります。サービス開発では基本的にユーザー数に比例してデータの量が増えるため、リリース初期はデータ量やパフォーマンスについてあまり気にしなくていいことが多いのですが、Cloudbaseの開発ではここも初期からケアしないといけないというのは、難しくもあり面白いところでもありますね。
またCloudbaseは複数のクラウドプロバイダーに対応しているため、バックエンドのコンポーネントも基本的にはクラウドごとに開発する必要があります。普通にやるとコンポーネント数×プロバイダー数でどんどん開発工数が増えてしまうところを、いかに共通の基盤に統合して開発者の生産性を担保するかというのは、プラットフォームエンジニアとしての腕の見せどころかなと思います。
長くなってしまいましたがまとめると、セキュリティの知識は前提として、大量のデータを捌くためのパフォーマンスチューニングやプラットフォーム設計のスキル、クラウドサービスの詳細な仕様に関する知識など、幅広い知識や経験が要求されるところが1エンジニアとして挑戦しがいのある環境なのかなと思います。

ー 2ヶ月の副業期間も含めて、一番やりがいを感じた仕事のエピソードを聞かせてください。

入社前の話になってしまうのですが、やはり入社のきっかけとなったリソースマップの開発が自分としては一番思い入れがあります。
リソースマップは、僕が原型となる部分のロジックとプロトタイプを作って、僕以外のフルタイムのメンバーにそれを実際にプロダクション環境に乗せる作業や、UI/UXの作り込みを整えてもらって、ようやく完成しました。リリースされた時にはUIも自分の作ったものとは比べものにならないくらいきれいになっていて、自分の成果がチームの力と合わさってこのように世に打ち出されていくんだなと、チームで働くということの面白さを実感した貴重な経験でした。

ー 今、Cloudbaseで使っているリソースマップの機能は龍之介が副業期間に提案してくれたもので、当時から大きなインパクトを与えてくれました。

ー 苦労していることは何ですか?

開発を進めるにあたってのデバッグやエッジケースの考慮が一番難しいと感じます。お客様の環境によってシステム構成は千差万別なので、データの規模感であったり入ってくる値の範囲について、様々なケースを考慮しつつどの場合でもエラーが発生しないように実装する必要があります。機密情報を扱うため開発にあたってお客様のデータを直接確認することもできない中で、どうやってシステムの安定した動作を担保しながら開発していくかというところは、未だ解決方法が見つかっていない難しい課題になっています。

Cloudbaseの未来を切り開いて、非連続な成長を目指す

ー 過去と現在についてお聞きしたので、次は未来のことを聞いていきます。挑戦したい仕事やポジションについて教えてください。

今と同様、前線でバリバリ開発していきたいです。開発力で会社の未来を切り開いていく、Cloudbaseのバリューの1つであるUnlockを自ら実現していく存在でありたいですね。今はまだ機能的に足りてないところが多いので、その機能を一つ一つ実装していくフェーズではあるのですが、徐々にコンポーネントが揃って色んなデータが取れるようになったときに、そのデータをどう組み合わせてお客様にどのような形で提供できるか今からワクワクしています。プラットフォームエンジニアリングやAIの活用を通して、そこに最速で辿り着くために自分がUnlockしていけるところがたくさんあると思っているので、今後も楽しみながら取り組んでいきたいです。

ー 龍之介の人生を振り返って一貫していた「過去の自分と比較して成長し続ける」は今のCloudbaseで実現できていますか。

そうですね。セキュリティの分野は今まで腰を据えて取り組んできた分野ではなかったので、専門家の仲間の知見も吸収しながら日々全力でキャッチアップしています。また前職のPlatformチームで培ったノウハウを実際の開発で応用していく中で以前に比べてできることが広がっている感覚もあり、楽しいです。
周りの環境を見ても、プロダクトやお客様の案件の状況が一日一日で大きく変わったり、新しいメンバーが毎月のペースでどんどん増えている現状があり、個人だけでなく会社としての成長も日々感じられるのがすごく面白いなと思います。

ー それでは最後に、この記事を見てくれてくださっている方々、Cloudbaseに興味を持ってくださっている方に向けて、メッセージをお願いします。

セキュリティというのは「技術の総合格闘技」と呼ばれることもあります。アプリケーションからDB、ネットワークやOSレベルのインフラに至るまで幅広い技術の知識と経験を要求される分野で、Cloudbaseはこれまでにない新しいプロダクトを作ることに挑戦しています。技術的にも難しいところが多く、やることは山ほどある中で、できるかわからない問題に1つ1つ立ち向かいながら1歩ずつ前に進んでいく日々です。そういう環境で難しい課題にうーんと頭を抱えながら楽しんで取り組める人、難しい問題を解決していくことに面白さを感じる人と一緒に挑戦していけたらいいなと思います。

ー ありがとうございます!是非そのような方と一緒に働いていきたいですね。Cloudbaseに少しでも興味あるという方は是非、龍之介のTwitterカジュアル面談でお話しましょう。9人目社員の岩井龍之介のインタービューでした!ありがとうございました。

編集:Madoka Nishimura, Koharu Fujimura

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