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読書会で紹介されて読んでみた本(読書記録その30)

 大型連休が終わりましたね。私は明日から仕事ですが、あまりにも連休が長いと仕事したくなくなりますね。来年は(今の仕事を続けているとすれば)おそらく8連休止まりです。正直それでいいです(笑)
 今回は私が過去に参加した読書会で紹介されて、実際に読んでみた本を紹介します。


読書会で紹介されて読んだ本

  • 『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

  • 『ばにらさま』山本文緒

  • 『信仰』村田沙耶香

  • 『むらさきのスカートの女』今村夏子

  • 『現代思想入門』千葉雅也

  • 『21世紀を生き抜く3+1の力』佐々木裕子

  • 『2040年の未来予測』成毛眞

  • 『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子

  • 『ルビンの壺が割れた』宿野かほる

  • 『働き方2.0vs4.0』橘玲

  • 『方舟』夕木春央

  • 『運転者』喜多川泰

  • 『バカになるほど本を読め!』神田昌典

  • 『うたうおばけ』くどうれいん

小説のみですが紹介します

『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子

 『木曜日にはココアを』でお馴染みのマーブル・カフェ。定休日である月曜日に、東京に来ていた京都の老舗茶屋・福居堂の跡取り息子・吉平が抹茶を試しに出すイベント、その名も「マッチャ・カフェ」から始まるご縁の物語。1月から12月まで、主人公を変えて描かれている。
 縁はどこで繋がりどこに向かうのかはわからないこと、縁とは脆いもので何か不都合が生じるとあっけなく崩壊すること、そして縁はひとたび繋がれば温かいものであること。そのことが「知らない誰かの手がここにたどりついたなら、この手の向こうにもまた、知らない誰かがきっといるのだろう。」(10月)、「縁って、実は脆弱なものだと思うんです。どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうくらいに。」(12月)という言葉とともに綴られている。
 個人的に印象に残ったのは9月に出てくる、1ヶ月で千景という女の子にフラれてしまった孝晴という大学生が気付いたこと。
 「つきあっている間、僕はずっとビクビクしていた。千景ちゃんに気に入られる自分であろうとして、一緒にいて自信の持てない相手に必死になってひたすら消耗した。やっとわかった。それは自分が輝くための努力とは違うってこと。」
 これを大学生の段階で気付けているからまだいい。30過ぎた社会人になってから気付くともう自己嫌悪にしかならない。
 縁はどこに転がっていて、何がきっかけになるかわからない。だからこそ今の自分に何ができるか、そして何をするのか。

『むらさきのスカートの女』今村夏子

 近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉(=黄色いカーディガンの女)は、彼女と「ともだち」になるために自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し、成功する。
最初のうちは順調だったが、備品の盗難が顕著になってから不穏な空気に…。
 ハッキリ言って登場人物みんな腹黒い。結局なんだったのか…、読了後のモヤモヤがスゴい。

『方舟』夕木春央

 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともにそこで夜を越すことになったが、翌日の明け方に発生した地震により扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き水が流入しはじめ、いずれ地下建築は水没する、と困り果てる矢先に殺人が起こった。
 だれか一人を犠牲にすれば脱出できるが、犯人が犠牲になるべきだと考え、タイムリミットまでのおよそ1週間で殺人犯を見つけるため、考えを巡らすが…。
 切羽詰まった中で起こる事件と、それぞれの葛藤に苛まれる様子が鮮やかに描かれていて、こちらも時間に追われている感覚になる。
 最後の最後に出てきた斜め上にぶっ飛んだ大どんでん返しに唖然とすること間違いなし。

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

 とある会社の中の人間関係のお話。罪滅ぼし、好き嫌い、働くこと、休むこと、昭和の価値観、現代の価値観……、いろいろなものと人が混ざり合っているからこそ、さまざまな感想と感情が出てくるということが書かれている本。
 現代の働き方についての言及も入っているのかもしれない。食事に無頓着になるほど仕事をしているのも、自分の体を大切にしすぎるのもどうなのか、そんなこともそれ以外の他のことも言いたいのでは?と思える。
 あえていえば、いじめられていたのは芦川さんではなく、二谷くんなのでは?

『ばにらさま』山本文緒

 表題作を含めて、女性・男性に関わらず、恋愛や友人関係など、人間関係に振り回されて疲れた人たちの思いが綴られている。
 「僕の恋人は比喩ではなく本当に白い。」僕目線の本文と彼女のブログの繰り返しから2人がちぐはぐな状態で会っていたことがわかる。何故交際していたのかすら見えてこない。
 気になったのは最後の僕の友人のセリフ「ばーか。女なんかと付き合うからだよ」からの"友はまたケケケと笑った。"というところ。こんな男にはなりたくないし、こんな友人とは縁を切った方がいいとしか思えなかった。

『信仰』村田沙耶香

 「クレイジーさやか」とも呼ばれる沙耶香節が炸裂の短編集。
 表題作ではカルト宗教を作って一儲けしようという石毛、主人公でいろいろな財・サービスを見ては「原価いくら?」とつねに現実を見てしまう永岡ミキ、一度マルチに引っ掛かっているにもかかわらず天動説セラピーで儲けようとする斉川さんの3人がそれぞれの企みを元にお互いを利用しようとする。
 最後の最後に斉川さんがミキに言ったセリフ「現実こそ、あなたの洗脳です。それこそがあなたが一生を共にする美しく完全な幻覚なのです。」が村田沙耶香さんの真骨頂。現実しか見れないのもある意味信仰で、思想的にはカルト宗教よりも危険なのかもしれない。

『ルビンの壺が割れた』宿野かほる

 大学時代に恋人同士だった一馬と未帆子。一馬が偶然Facebookで未帆子の名を見つけ、ぎこちないながらもやり取りをしていく。
 中盤までは過去のエピソードを思い出したり、カミングアウトをしたりの繰り返しであったが、終盤から徐々に何気ない過去の一エピソードと思われていたところが実は布石だったとわかってから動きが出はじめ、最後の最後に大どんでん返しが待っている。

『運転者』喜多川泰

 仕事のことと娘のことで不運続きの保険営業マン・岡田修一。そんな彼の元に御任瀬卓志という名の運転手が運転するタクシーが停まる。
 初めは御任瀬に対して反発していた修一だったが、自らの行動や生い立ち、家族についてたどって行くうちに御任瀬に素直に心を開くようになる。
 変わるきっかけはどこにあるかわからないので、当事者意識を持って、視野を広げて見ることが大事だというのがこの作品のポイントで、いかにも喜多川泰さんらしい作品である。

さいごに

 他にも読書会で紹介されて読んだ小説以外の作品やまだ読めていない作品があるのですが、キリがないのでまたの機会に紹介します。
 ちなみにくどうれいんさんの『うたうおばけ』は前回の記事(4月の読書記録)にて紹介していますので、そちらを参照してもらえれば、と思います。

ではでわ

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