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読書レポート「プロジェクトマネジメントの「基本が全部わかる本」

目次

序 章  プロジェクトマネジメントのスキルの全体像
第1章 プロジェクトとはなにか - 基本的な知識と考え方をおさえよう
第2章 交渉 - 適切なパートナーシップを築こう
第3章 タスクマネジメント - チームでパスワークをしよう
第4章 プロジェクト計画 - 目標や進め方を決めよう
第5章 見積り - 必要な費用とスケジュールを構想しよう
第6章 契約 - 不利な条件を回避しよう
第7章 要件定義 - やるべきことを決めよう
第8章 デザイン - 顧客が本当に必要だったものを目指そう
第9章 設計 - 専門家に渡すバトンをつくろう
第10章 テスト - 事業リスクを最小限におさえよう
第11章 リリース - 石橋を叩いて渡ろう
第12章 保守改善 - 事業の成功につなげよう


概要

「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」は、プロジェクトマネジメントの基本概念から実践的な戦略までを体系的に紹介している一冊です。プロジェクトマネジャーの交渉力の重要性、ビジネスとプロジェクトの現実を一致させる必要性、そしてプロジェクトのQCD(品質、コスト、納期)のトレードオフについて詳細に述べています。

理論と実践を組み合わせた本書は、プロジェクトマネジメントを学びたい全ての人々にとって価値あるリソースです。


著者

橋本 将功
パラダイスウェア株式会社代表取締役。
早稲田大学第一文学部卒業。文学修士(MA)。IT業界23年目、PM歴22年目、経営歴12年目、父親歴8年目。Webサイト/ Webツール/業務システム/アプリ/組織改革など、500件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施。その経験を基に、プロジェクトマネジメントツール「マンモスプロジェクト」、オンライン講座「プロマネ道場」、DXソリューション「クイックDX」を提供。世界中のプロジェクトの成功率を上げて人類の幸福度を上げることを人生のミッションとしている。


レポート

いきなりですが、オーケストラには様々な楽器があり、各奏者が個々のパートを最善に演奏することが求められます。しかし、各奏者が自由に演奏してしまったらどうでしょう?
音楽は協調性を失い、混沌としたものになるでしょう。

ここで指揮者の役割が重要になります。指揮者は各楽器の音を調和させ、全体として美しい音楽を生み出します。指揮者は曲のテンポをコントロールし、どの楽器がいつ演奏すべきかを示し、必要な場合は調整を行います。

このように、プロジェクトマネジメントとは、異なる専門知識を持つメンバーが一緒に働くプロジェクトにおいて、プロジェクトマネジャー(指揮者)が全体を調和させ、目標に向けて一緒に進むことを可能にする役割を果たします。
それぞれのメンバーが自分の役割を理解し、全体としての方向性に沿って行動することで、プロジェクトは成功へと導かれます。これが本書が伝えたい、プロジェクトマネジメントの本質です。

「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」は、プロジェクトマネジメントの基本概念を一から丁寧に解説し、初心者から経験者までが理解とスキルの向上を図るための一冊です。
著者は自身の豊富な経験を活かし、理論だけでなく実際の現場で役立つノウハウも散りばめています。


プロジェクトマネジメントの要素である交渉、QCD(品質、コスト、納期)のバランス、およびビジネスとプロジェクトの現実との整合性といった重要なテーマを特に強調しています。
交渉については、プロジェクトマネジャーが常に他者と対話し、調整する役割であることを示しています。
QCDについては、プロジェクトの計画段階で優先順位を確認し、関係者と合意することが重要であり、ビジネスの現実とプロジェクトの現実を一致させるためには顧客の要望を十分に理解し、それをプロジェクトの目的として念頭に置くことが必要だと述べています。

特筆すべきは、本書では具体的なエピソードを交えながら、プロジェクトマネジメントの成功と失敗の要因を紐解いています。
プロジェクトマネジャーは交渉の場で中心的な役割を果たすだけでなく、プロジェクトの方向性を決定し、その成功を引っ張り出す役割を持っています。そのため、本書ではプロジェクトマネジャーの役割を理解し、効果的にそれを果たすための具体的なアドバイスが提供されています。

また、ビジネスとプロジェクトの現実を一致させることの重要性も示唆しています。プロジェクトが成功するためには、ただ単にシステムを作るだけではなく、そのシステムが実現するビジネス要件を理解し、その目的を達成することが重要であると主張しています。これはプロジェクトマネジメントの本質的な目的を明確にするための重要な視点です。

「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」は、プロジェクトマネジメントの基本的なスキルを習得したいすべての人々にとって、極めて価値あるリソースと言えます。
本書は理論と実践を巧みに組み合わせ、読者が理論を現実の問題に適用する方法を教えています。また、豊富な経験に基づく具体的な例を通じて、読者にプロジェクトマネジメントの複雑さとその解決策を理解する手助けをしています。

結論として、「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」はプロジェクトマネジメントの分野で深く学びたいすべての読者にとって必読の一冊です。
この本を読むことで、プロジェクトマネジメントの基本的な理解を得るとともに、それを適用するための具体的なツールと戦略を身につけることができるでしょう。


所感

この本を読むことでプロジェクトマネジメントの基本が体系的に学べる上、現場の具体的な経験も織り交ぜられており、非常に役立つと感じました。プロジェクトマネジメントというのは「背中を見て学べ」的に、先輩から指摘を受けつつ、様々な案件を経験することで学ぶ方が多いですが、その結果、知識が偏りがちになります。

しかし、この本は基本的な内容を一から押さえており、初心者でも学びやすい内容となっています。特に著者の実際の経験に基づいたアドバイスは具体的で納得のいくものが多く、プロジェクトマネジメントの本質と成功への手法を理解するのに非常に有用だと感じました。

特に印象深かったのは、「交渉の矢面に立つ」という表現でした。プロジェクトマネージャーとしては、顧客やチームメンバーとの間で継続的に交渉を進める役割が求められることを、この本を通して再確認しました。それはプロジェクトマネージャーの職務が、単にタスクを配分し進捗を追うだけではなく、人々との関係性を築きながら、プロジェクトの目標達成に向けた合意形成を含むということを意味します。また、「QCD(品質、コスト、納期)の優先順位をプロジェクトの計画段階で確認し、関係者と合意する」という指南や、「ビジネスの現実とプロジェクトの現実を一致させる」という視点は、具体的で実践的なアドバイスとして今後の業務にも役立てるつもりです。

最後に、「プロジェクトマネジメントを学びたい、またはスキルを磨きたいと考えている人にとって、この本は読む価値がある」と断言できます。
私自身、これからも何かあった時にはこの本を読み返して、より良いプロジェクトマネージャーとなるための指針にしたいと思います。

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