見出し画像

人と環境に優しい経済とはどんな経済?

そういえばポートランドではこんなことを勉強していた

マニアックな映画配信サービスの「mubi」で、Think Global, Act Ruralというフランスの映画を観た。主に、現代の化学肥料やGMO食品にまみれた農業の在り方に疑問を呈し、グローバルの視点を持ちながら田舎で活動を続ける人たちのドキュメンタリー映画だ。2010年の作品らしく、ちょうどこの頃、僕は米ポートランドに留学してまさにこんなことを勉強していた。

GDPのカラクリ

映画の中で、GDPのカラクリについて語られる部分が興味深かった。これまでのGDPをベースとした経済とは、例えば川を汚染させて初めて成り立つ経済だった。逆に、川が汚染されなければ、GDPは上がらなかった。GDPとは、お金の流通が発生することで変動する。

まず、第一段階として、川を汚染させながらモノを作ったり売ったりして、お金の流通が発生する。次に、川が汚染されることによって、健康被害を受ける人が病院にかかることによってお金の流通が発生する。さらに、汚染した川がテクノロジーの力で浄化に向かうことによってお金の流通が発生する。GDPをベースとした現状の経済はそんな感じらしい。

では、どうすれば川を汚染させずにGDPを上げることが出来るだろうか?

「芸術・文化」が資本の経済

一つは、芸術・文化ベースの経済だと思う。持続可能な経済は、モノを売るより「価値」を売ることによって成り立つ。資源を最小限にとどめて価値を詰め込むのだ。例えば「芸術」は価値の結晶であるだけに、十分にその役を果たせる。

また、地球の歴史史上、最も持続可能性が高かったと言われる「江戸」では色濃い文化が発展した(寿司、相撲、歌舞伎、浮世絵など)。元々はただの大衆の日常の一部だったが、やがて経済発展に大きく貢献するようになった。文化が発展すると経済が発展するということ。文化の力で、大量生産-大量消費-大量廃棄なしで経済発展が可能だった。

「知識や情報」がベースの経済

二つ目は知識や情報ベースの経済。

商品の中に知識や情報の量を多くすれば、資源やエネルギーを削減できる

10年以上前に参加した「持続可能な国づくりの会」というNPOのシンポジウムにパネリストとして参加した神野 直彦東大教授が語っていたことです。IoTなどでそれっぽい流れが出来てきているのは間違いないが、ハードウェアのプロダクトを使って大量生産をしようとするなら、もっと価値ある知識や情報を出来るだけ詰め込まなければならない。

「社会的なつながり」が資本の経済

三つ目は社会的なつながりがベースの経済。これはいわゆる「ソーシャルキャピタル」というもので、地域や社会における人間関係や信頼関係を表す概念のこと。ソーシャルキャピタルが豊かなほど、人々の協調行動が活発になって、治安、経済、健康、幸福感などへ良い影響があり、社会の効率性が高まるとされる。例えば、新たにモノやサービスを買わなくても、社会的なつながりで紹介し合ったり貸し借りしたり助けあったりして間に合ってしまうこともあるだろうし、治安維持や社会保障のコストが下がれば税金が安く済む。「シェアリングエコノミー」や「コミュニティ」などはこのタイプの資本になると思う。

そんな人と環境に優しい経済に近づけて行きたいと思いつつ生活していたりする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?