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〔147〕王道通貨と資源通貨と覇道通貨1/5有料領域書き直しにつき請必読

 お断わり
 どうも新型ウイルスに再びヤラレタらしく、喉と味覚に悪影響が出ていますが、咳は大したことなく発熱はまったくありません。ただし眠気と脱力感が甚だしく脳内はモヤモヤとして霧がかかっていますので、この前の文章は撤回し、症状がやっと薄らいだ1/5に書き直しました。これは最終稿で、持ち直した1/8に仕上げましたが、長文のため後は〔148〕に続きます。

〔147〕本位(王道)通貨と資源(交易)通貨と覇道(暴力)通貨
 ブレトン・ウッズ体制の下に金本位制であった米ドルは、発券国のアメリカが対抗覇権国のソ連を凌いで国際社会における唯一覇権を握る目的から国際政治に積極的に関与したため、国際収支の大赤字が続き、外貨準備として保有する金地金が国外に流出します。
 同時に世界平和の進行により貿易量が増え各国の生産量も拡大したことで決済用のドルが不足しますが、これに見合う金地金を調達できないアメリカはついに金本位制を離脱することになりました。
 これが露わになった昭和四十六(1971)年の末に「スミソニアン協定」が結ばれて、米ドルは変動為替制下の通貨となります。四半世紀にわたって存続した「ブレトン・ウッズ体制」のあと、変動為替制の下でもじわじわと進行する貿易赤字により、重大な危機が訪れた米ドルを救済する目的で結ばれたのが昭和五十五(1980)年の「プラザ合意」です。当時、繊維・鉄鋼・弱電と対米貿易摩擦を段階的に経過してきた日本が、自動車の対米輸出が際立つことで米ドル救済団の団長として担がれました。
 当時は中曾根内閣ですが蔵相は竹下登で、財政・金融を竹下さんが統率する「竹下財政」がここに始まります。
 総理大臣に就任するも、間もなく「リクルート事件」で辞任した竹下さんは、その後も「ほめ殺し」に遭って政界復帰の機会を失いますが、その後もアメリカの信頼を得ていたのは、プラザ合意で米ドル支援団長に推されてからの対米協力姿勢を評価されたからですが、実はここから竹下さんの大仕事が始まります。
 それが「中国興し」ですが、その詳細については後で述べることとして、その前に、通貨問題についていささか思う所を述べます。

 落合がこの頃思うのは通貨に三種類があることです。一つは「金」を本位財とするワンワールド國體の「王道通貨」です。第二は「資源」との交換性に基づく自由主義社会の交易通貨です。第三は強制通用力の基本を「暴力」に置く覇権社会の「軍票」です。
 WWⅠを切っ掛けに世界中の黄金を集めることで王道政治を倒壊に導いたアメリカが、覇権維持のために看過したのが、海外に支払ったドルの発行に伴う金の流出で、その結果「本位制ドル」の危機に陥りました。これに対処したのが国務長官キッシンジャーで、サウジ国王の協力を得て石油価格を暴騰させることで、金本位制ドルを石油本位制の資源通貨に転換して「変動制ドル」としたのですが、戦争まで起させて不自然に高騰させた石油価格は本来安定性を欠き、常に産油地で戦争を起こしていなければ価格を保持できないのが、この制度の重大な欠点です。
 通貨発行の莫大な利権におぼれたアメリカは、何のためか多くの移民を受け入れたことで工業生産性が日独に比べて劣勢となり、移民社会を養うためにも輸入赤字が絶えず、これを補うための資金調達を、日独ら貿易黒字国に事実上現金化できない「米政府債」を押し付けることで賄うことが常套手段となりました。
 米政府が貿易黒字国に押し付けた債券は、償還期がくれば同額の債券を押し付ければ、米政府の実質的負担は利子だけで済みます。そのうちにドル為替が下落してきたら、下落分だけ発行者の儲けになります。つまりインフレ利益は米政府が得てきたのです。
 目下、日本は外貨準備として一兆ドルにも上る米国債を保有して、対米債権が世界一として悦んでいますが、実はインフレによる損失どころか元本踏み倒しの危険に常に曝されているのです。
 昭和初期の繊維不況の際、地方から繊維会社に働きに来た女工らは、低賃金のみならず不況による賃金不払いの危険に曝されていましたが、それと似た境遇に在るのがWWⅡ後の日本社会だと思えば、実に腹が立ちますね。
 ここから後は、有料領域で、

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