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〔153〕ペテロダラーは米ソ相乗りの「覇道通貨」2/12 最終修文

〔153〕ペテロダラーは米ソが相乗りした「覇道通貨」
 1974(昭和四十九)年以後のソ連の動きには、「好機逸すべからず」と「ペトロダラー計画」に便乗したフシもあります。
  ソ連がこの「制度」に便乗して得た第三者利益(不当所得)は膨大なものですが、ペトロダラー密約衆の義務たる「米国債の保有」は流石にしていないはずですから、ソ連が丸儲けになったわけです。

 当時ソ連はレオニード・ブレジネフ元帥が昭和三十九(1964)年から昭和五十七(1982)年まで国家元首(共産党書記長)で、三十年にも及ぶ長期政権の座にありました。
 折から冷戦時代(1949∼1989)が後半に入り、元帥の称号にも関わらず外交官気質のブレジネフは米大統領ニクソンとの間で「デタント」を進めていました。
 折から降って湧いたのが「ペトロダラー謀略」の基盤をなすオイルショッ

クです。にわかに起こった第四次中東戦争がもたらした石油価格の暴騰により、「当時世界最大の産油国だったソ連の経済は西側より繁栄した」と巷間では言われておりますが、アメリカが敵陣営のソ連の利得をわざわざ企だてるわけもなく、ニクソンとブレジネフの間で「ペトロダラー密約と表裏をなす何らかの合意」が形成されていた、と落合は考えています。
 こうしてみるとソ連邦解体の濫觴はブレジネフ時代にあるようですが、ソ連が「盲亀の浮木にあったかのように、ペトロダラー密約の恩恵に与った」ことが、その伏線をなしているようにも思えます。
 話は変わりますが、古来この世には、社会を構成する組織の外にいて策謀をこととする「國體参謀衆」がおります。「國體」とは、わたしが高松宮妃殿下から受けた「國體秘事伝授」により」覚った観念ですから、学校史学になじんだ方は初めて聞いて当惑すると思いますが、まあそのうちにお分かりになるでしょう。
 「國體参謀衆」は本人の能力を用いて国事に奉仕するとして「國體任務」の一端を担いますが、職業人ではないため、その行為を世人に見せることを憚るが故に世間の表に出ることはまずありません。

 とかく己の策謀が実ると、世間に認められたくて表に出てきたがるのが一般の人情ですが、國體参謀はこれらと類を異にします。ことに世界史的な大陰謀家ともなると、立場上でもい政体の要職を兼ねざるを得ませんが、そものも彼の策謀は一般世間の期待に背くことを目的にしますから、達成したのちも己の正体を明かしてはならず、未来永劫に悪名を背負ったままで消えていきます。 
 聞くところによると、高松宮御実母の松下豊子(オトン)は側近に、「ひとかどの人物はおのれの影も残さずに消えていくものじゃ」と仰せられていたそうです。
 スターリンもヒトラーも異形ながら國體参謀とみる落合は、目下評価が時期尚早の習近平もその同類と観ていますが、史上でいまだ悪名が消えない人士を持ち出すと一般の誤解を招きやすいので、もっと理解しやすい人物を挙げると、まずダグラス・マッカーサー元帥でしょうね。
 國體参謀のマッカーサーをトルーマンが創ったGHQの司令官マッカーサーと同一視してはなりません。マッカーサーの國體任務は第一に「万世一系の天皇と日本の國體を護る」ことですが、GHQの部下たちの大半はいわゆるDS(ワンワールド・バンカー)が送り込んできたスタッフたちで、社会経済部部長のケージス大佐などは米大統領ハリー・S・トルーマンンの命令でマッカーサーの行動を監視していたのです。
 それはさて、この見方から致しますと、アメリカ大統領としての事績からして國體参謀衆と観て良いのは、何といっても米大統領ドナルド・レーガンです。レーガンの事績は多いが、落合がここで重視するのは1983年に発表された「スターウオーズ計画(SDI)」および、これと同時に行われた「悪の帝国発言」です。
 前者の実態は「HAARP」と観て良いのですが、後者は「ペトロダラーに裏加入したソ連を裏面から擁護する目的で発したウソ発言」と観ざるを得ません。
 現実の歴史を見ると、「スターウオーズ計画」を聞いたソ連が、直ちにこれまでの対米対抗意識を捨てたのは、もとより「スターウオーズ計画」の正体を知るからです。
 昭和五十(1986)年のチェルノブイリ発電所事故を機に、グラスノスチ(情報公開)に転じてペレストロイカ(改革)に踏み切ったのですが、実態はアメリカに事実上の和議を申し入れた形です。
 すでに「ペトロダラー計画」に秘密参加していたソ連は、「スターウオーズ計画(SDI)」をみてアメリカの「HAARP計画」の進捗を覚り、ソ連解体と新世界秩序への参加について、肚を固めたのです。


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