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60代以上が気をつけるべきネットとの付き合い方

ある統計によると、ネットのフェイク情報を最も信じやすいのは、意外にも60代だそうだ。


ひと昔前、60代というと会社も定年し、お孫さんもいたりして、実質のおじいちゃん、おばあちゃんだった。現代は、60代なんてまだまだ若くて元気。現役で働いている方も多いし、世の中も多様になったので、自立した一人暮らしはもちろん、それぞれの生活を楽しんでいる方が多い。

インターネットの進化と60代

さらに今の60代といえば、インターネットが世の中に広まってきた1995年、日本で携帯からネットにつながる「i-mode」開始の1999年、iPhoneが販売された2007年(日本では2008年に販売開始)を、いわば現役で過ごした世代。会社ではパソコンを使うことが当たり前になり、会社でPCを使わない人も携帯電話からメールを送ることが日常化しつつあった。いわば、現在のスマホの下地ができていたところに、バーンとスマホが登場し、抵抗感は少なかったかもしれない。
スマホが安くなり拡大していくのにつれ、GAFAと騒がれた、Google、 Amazon、Facebook(現メタ)、Appleといった西海岸の振興企業と、SNS(ツイッター:現X、LINE、等)が、とてつもない勢いで成長した。

今の60代は、ある種、これらを体験してきたという自信があり、また「わかっている」と思っている。しかし、技術の進歩とともに悪意をもった仕掛けの進歩も日進月歩。制御するのは困難な、いたちごっこだ。「ゼロトラスト」「PPAPの廃止」等、「セキュリティ」の考え方も変わってきている。

※「ゼロトラスト」とは:「信頼(Trust)を何に対しても与えない(Zero)=何も信じない」という前提に立ったセキュリティ対策の考え方。
※「PPAPの廃止」について:PPAPとは「メールでパスワード付きのZIPファイルを送り、あとで別メールでパスワードを送る」といったファイル共有方法。「セキュリティ対策や受け取り側の利便性の観点から適切ではない」との判断から、2020年11月、日本政府は今後中央省庁での「PPAPを廃止する」と発表している。

インターネットの恐るべき特徴の2点目がやっかい

もうひとつ、SNSやネットの特徴として、忘れてはならないのは「自分が好みそうな内容」が提示される、ということ。ユーザーの好みや興味に合った情報だけが選択的に表示され、それによってそのユーザーが他の視点や情報に触れにくくなる現象は、皆さんも経験があるのではないだろうか。これは主にSNSやインターネット検索のアルゴリズムがユーザーの過去の行動や好みに基づいて情報をフィルタリングして表示する、いわば、昨今のネットの特徴的なふるまいだ。

さらにやっかいなのは、「コンファーメーション・バイアス」だ。ユーザーは、自分の信念や意見を補強するような情報を好んで探し、それに焦点を当てる傾向がある。これによって、自分と異なる意見や情報は無視しやすくなる。これは、ネット側の策略でもなんでもなく、観ている私たちが自然とやってしまっていること。

SNSやスマホを使いこなしているのは、もちろん10代、20代だが、上記のように「自分は大丈夫」という自信や、あるいは、生活の時間的余裕ができた60代以降は、スマホであれPCであれ、より長い時間、見る傾向があり、そのため、ネットの情報を信じ込む傾向があるのではないだろうか。

ネットのリスクへの対策

ネットには、単なる詐欺やフェイクというだけでなく、それ自身は悪意を含まない、しかしリスクがあるものがたくさんある。
しかし、だからといって、ネットを一切使わないということではない。要は何でも、どう使うか、が大事なのだ。

以前、大学で教えていたときには、学生には以下のように伝えていた。
スマホを長時間使用したり、スマホ依存になるのは危険。情報は、人や本、幅広くいろいろなメディアから収集し、偏りがないようにすること、出どころを確かめること。大事な情報は、必ず、複数、多方面の情報源から裏とりをすること、等。
私自身、会ったことがない人とは、長年の知り合いからの紹介でもない限り、「友達」にはならないし、実際、SNSもあまりやっていない。

ネットもスマホもあくまでも「ツール」。適度な距離をもちつつ、上手く、使いこなすよう、自分自身も気をつけようと思う。



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