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生活と仕事を馴染ませていく

今日はとても精力的に活動している友人(以下、Dさん)と近況について話しました。
Dさんは、正社員としてフルタイムで働きながら、複数の副業を掛け持ちし、近いうちに自分のお店を開店する構想を練っていると語っていました。
決してギラギラした雰囲気ではなく、リラックスした自然体の姿が印象的です。
Dさんはどうしてこんなにも自然体で、かつ精力的に活動できるのだろうか?
話している内にどうしても気になり聞いてみました。
すると、Dさんは次のように答えました。
「やりたいことだから無理せずできている。」「仕事が生活と完全に分離されている訳ではなく、生活の一部として馴染んでいる。」
私はこの答えにDさんの自然さとアクティブさの両立の秘密があると感じました。


仕事を選ぶうえで重視する条件の代表格と言えば、ワークライフバランスがとれているかどうかですよね。
生活に必要なお金は仕事の中でしっかり稼いで、オフの時間はやりたいことに時間を使って楽しむ。
そういう生活スタイルが良しとされる傾向にあります。確かに仕事に忙殺されて、生活が空虚なものになることは誰でも避けたい。共感する人は多いと思います。
一方で、この考え方の別の側面を見ると、活動時間の半分を占める仕事の時間が、お金を稼ぐためだけに費やされているという見方もできます。私たちは二度とない今この瞬間を生きていますが、生活のためとは言え、人生の半分を空虚なものにするのは何だか勿体ないとも感じられますね。


冒頭のDさんも大学を卒業した頃はワークライフバランスを重視し、如何にやりたくないことをやらなくていい仕事をするかを考えて就職活動を行ったそうです。
就職した先では、運悪く希望した部署とは別の場所に配属されたことから、仕事が苦しくてたまらない時期を経験しました。「生活のために働く。とにかく3年は続ける。」その気持ちで乗り切っていたそうです。
しかし、それからしばらくして別の部署に異動となり、その先で大きな転機を迎えることになりました。その職場では社員同士の雰囲気が非常に良く、お互いに信頼関係の上で仕事に取り組むことができました。
「仕事って、こんなに楽しくて良いんだ!」
そう思えたDさんにとって、働くということの意味は大きく変わっていました。

Dさんは仕事の中で、やらなくてはならないもの、楽しいもの、挑戦したいものを明確に意識していくようになりました。それらすべては業務ですから、結局やることに違いはありません。しかし、業務上必要なことと、自分が楽しめることを分けて考えられるようになったことは、Dさんの働き方だけでなく、生活にも良い影響を及ぼしました。

楽しいことであれば、自己啓発として仕事の時間以外でも取り組める。仕事で気になったことは、オフの時に完全に忘れるのではなく、頭の片隅において考えを熟成させる。逆に、もともとプライベートで興味があったことも、仕事に繋がる可能性を意識して深めてみる。そうする中で、自分のやりたかったことを副業や出店という形で実践する現在のAさんの活動ができあがっていきました。

Dさんにとっては、今の仕事の一部は生活のためでもあり、他の一部はやりたいことでもある。生活の中で趣味として行っていたことも、仕事に繋がる可能性を持っている。
少しづつ仕事と生活を分離させていた状態から、一部繋がって一体となった状態へと「馴染ませて」いったのです。

このような在り方を、一般的にワークライフバランスと対応させてワークライフインテグレーションと言ったりもします。
しかし、大事なのは新しい言葉を作って流布させることではなく、実感を伴って自ら体現していくことだと思います。言葉は流行と共に忘れ去られていきますが、誰かの生き様はそれを感じられる人の心に残り続けるのですから。

Dさんが体現した在り方は、ワークライフバランスに偏った仕事観をほぐすものであり、働くことに悩む多くの人のヒントになると思います。
そのような姿を多くの人が示せるようになれば、もっと活き活きと働く大人が増えるのではないか。私はそういった希望を感じました。


ただし、一つ注意点として、Dさんが「仕事と生活を馴染ませていった」きっかけには、仕事を楽しいと思えた経験があり、そのためには良い人間関係や職場に恵まれたというキッカケがありました。
この点に関しては、どんな仕事、どんな職場でも起こりうるという訳ではありません。とても楽しいとは思えない、辛く苦しい状況にある職場も悲しいくらいに多く存在しているからです。

このような恵まれた職場に出会うには何が必要なのでしょうか?
極論を言ってしまえば運次第ということになります。ただ、就職活動においては自分の適性や仕事の内容、職場の雰囲気などをよく知った上でじっくりと考える時間が重要になることは間違いないでしょう。
現在、就職活動や転職活動に取り組まれている方々が、このような職場に巡り合えることを祈らずにはいられません。


以上、Dさんとお話してて感じたこの気持ちを伝えたくて記事を書きました。キャリアに悩む人の何かになれば幸いです。

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