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経済音痴女子アナの愚痴日記 #37 日経平均株価って何? ③

日経平均株価って何か?っていう宿題を出されている私。
先輩キャスターMがくれた「株式の日本代表」というヒントは分かった。
1800ほどある東証プライム市場の株式の中から選ばれた225銘柄の株価、つまり、そのパフォーマンスを集計したものだというわけ。
でも、謎はまだ残っている。
平均株価っていうけど、全然平均している感じがしないのよね。
平均株価が3万円台ということは、1万円とか5万円とかの株がたくさんあることになるけど、そんなにあるとはとても思えない。
で、今日のランチタイムに、特別講義を受けることになったんだ

「日経平均株価、いまは3万円台だよね。で2,599.44 (23/07/14 15:02)も、株価の平均としては、高すぎないか?」
「はい。株価のサイトを眺めていたんですけど、大半が何百円、高いものでも何千円で、どうやっても平均が3万円にはなりません。」
「そうだね。実は日経平均株価の選出母体となっている東証プライム市場の株価を単純に平均すると2,599.44円   (23/07/14)なんだ。」
「でも、日経平均株価となると3万円台になってしまう。全然、平均してないですよね。」

「これからそのからくりを教えてあげよう。でも、厳密に説明しようとすると、ひどく面倒くさくて、プロでもちゃんと説明できる人はあまりいないんじゃないかな。だから、ポイントだけざっくり話す。」

それはありがたい。私はプロじゃないんだから、ざっくりで十分です。

「日経平均株価というように、基本的には株価を平均していることに間違いはないだ。代表に選ばれたサッカー選手『成績』である株価を合計して、代表選手の数225で割り算しているんだ。」
「話を単純にするために、A、B、Cの3銘柄で構成する株価指数があったと仮定する。それぞれの株価を200円、250円、450円としよう。平均株価はどうなる?」
「200円+250円+450円=900円。これを銘柄数3で割り算するので、300円になります。」
「単純だよね。さて、サッカー日本代表と同じく、日経平均株価のメンバーも入れ替えが行われることがある。いま、銘柄Aが外されて、代わりに株価500円の銘柄Dが選ばれたとしよう。平均株価はどうなる?」
「250円+450円+500円=1200円だから、平均株価は400円になりますね。」
「そうだ。平均株価が上昇したわけだけど、これは銘柄を入れ替えたことによるものなので、これをもってして、日本の株式市場が好調だといえるのかどうか?」
「ちょっと微妙な感じですね。銘柄Aの株価が200円から500円に上昇したのとは違いますよね。銘柄入れ替えのおかげだと思います。」
「株式市場の指標では、歴史的な推移、継続性が重要視されるんだ。今回、『バブル崩壊後の高値更新』とかいわれているみたいにね。でも、銘柄の入れ替えだけで、株価が上がったり下がったりしてしまうと、株価の継続的な動きが分からなくなる。もちろん、株式の銘柄、つまり代表メンバーの入れ替えを一切やらなければいいんだけど、そうはゆかない。そこで、銘柄の入れ替えによる影響が入り込まないように、平均株価を修正しているんだ。」
「修正ですか?」
「そうだ。つまり、銘柄Aと銘柄D銘柄を入れ替えても、平均株価は同じだと考えるんだよ。入れ替え前の平均株価は300円だったから、入れ替え後の株価も300円になるはずだと。」
「ハテ???」
「入れ替え前の株価合計900円、これを3で割って=300円が平均株価だった。ここで、入れ替え後の平均株価も300円になるようにするためには、どうすればいい?」
「銘柄入れ替え後の株価合計は1200円ですよね。この平均を300円にするとしたら、逆算して4で割ることになります。めちゃくちゃ、強引ですけど」
「その通りだ。強引だけど、こうした修正が日経平均株価の算出では行われているんだ。割り算の分母、つまり『除数』の修正だ」
「株式の場合、株式分割ということが行われることもある。株式の取引を活発にするために、株式を2分割したりするんだ。この場合、500円だった株価は半分の250円になる一方で、株式の数は倍になる。100株持っていた人の保有数は200株に増えるから、株価が半分になっても資産額は変わらない。ところが、平均株価の算出をこのまま行ってしまうと、平均株価が下落してしまうことになる。」
「企業の業績とか、投資家の評価とは無関係ですよね。こうした影響は排除した方がいいわけですね。」
「そうだ。実際の株式取引とは直接関係のない、いわば技術的な変更の影響を排除するための、修正が繰り返されてきたんだ。」
「じゃ、日経平均株価がスタートしたときは、こんな調整がなかったんですね。」
「そうなるね。日経平均株価の基準となっているのは、太平洋戦争後に再開された1949年5月16日だ。この時の採用銘柄の平均株価176円21銭だった。これなら実際の株価と違和感はないだろう。そして、この時の採用銘柄の株価を合計し、225で割り算していたんだ。この割り算の分母、つまり『除数』は225だったね。」
「その後の歴史の中で、銘柄の入れ替えや株式の分割、それ以外にもいろいろな変更が行われてきたけど、その都度、技術的な変更を除外する修正が行われてきた。この結果、2023年7月10日時点の除数は29.5、ずいぶん小さな数字で割り算されているんだ。この結果、日経平均株価は実際の株価よりずっと高い3万円台になっているんだ。」
「分かったような・・・分からないような・・」
「まあ、細かいところはあまり考えなくていい。これ以外にも、日経平均株価には様々な調整が行われている。ポイントは継続性だ。本来の株価の値動き以外の要素を。極力排除しようとした結果なんだ。」
「なんか、ひどく無理矢理な感じがします。信用できるんですか?日経平均株価って?」
「お、いいところに気づいたね。そうなんだよ、日経平均株価って、プロの間ではあんまり信用されていないんだ。」
「でも、株価といえば日経平均株価ってなってますよね。」
「今のサッカー日本代表は、日本サッカー界の真の実力を反映していないって、投資のプロたちは思っている。詳しくは、また、次のランチタイムに説明しよう」

ああ・・・。まだ、続くんだ。日経平均株価の謎は深いなあ・・・。

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