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トカゲ

猫が
何かに驚いたように
耳をつんと立てて
首を1センチ高く伸ばした。
寒天のような透明な物質で覆われた
まばたきしない眼を
静止させて
見ている。
視線の先にあるものは
TOSHIBAの銀色の冷蔵庫。







何もないよ?
音もしてないよ?




「(=^..^=)ミャー~?」






と、呼びかける
わたしの声に、
いつものように
耳をちょっと動かすわけでもなく
まだ見つめている。
注意の焦点が
そこにピタリと定まって
猫本人にも動かすことが
出来ないような
トカゲのように
固まった時間








実は


とある予備校生にも
こういう時間がある。
自分が投げかけた質問に
答えているわたしの顔を
凝視しているように見えて
でも本当は
おそらく、

目に映っているのは、
音声の入っていない
わたしの口が動いているだけの映像









猫を呼ぶように、



「(=^..^=)ミャー~~?」

って言いたくなる


けど、
5分の4の確率で引かれるから
ちゃんと黙っているわたし。

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