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私たちの尊い

私が通うエステのお姉さんとの話。
その方は同い年で、話が合う。お互いアニメ、漫画が好きで行くたびに最近では呪術廻戦の話で盛り上がって、「最新話見ました!?」とか言って見てないですと答えると仕事中なのに携帯持ち出して見せてくれるというある意味とても仕事ができるお姉さんだ。
そのお姉さんがいやまず、一応同い年ではあるが何故お姉さんと言ってしまうのだろうか。エステの人というのはなんだかお姉さん感がすごくある。なので私はいつまでも敬語で話してしまうし、お姉さんだなと思ってしまう。私が幼い顔立ちというのもあるのだが。
そんなお姉さんが言っていた話。私たちはお互い彼氏もおらず、彼氏欲しいですねと通い始めた頃から言っていて合コンにも誘ってくれたりしてくれていた。結局それは叶わない夢だったのだが。お姉さんのいい感じの人との話も聞いたりとお互い頑張りましょうねと言い合っていたりした。この日もアニメや漫画の話をして、恋バナも始まった。
「最近どうですか?」
「全然ですね。本当出来ないです。というか出来る気しないですよね。なんかもう正直要らないというか、本当1人で生きていけるよな、1人で生きた方が楽だなと思えてきてます。やばいですよね。」
私の最近の気持ちを正直に言った。誰かといる自分が想像つかなすぎて、このまま本当1人では?と不安に思いながらも、でも別に今のままで十分だしなと現状に満足している自分がいた。
「分かります。もう本当1人が楽ですよね正直。」
お姉さんも同じ意見で、お互い独り身が長いことを思い知る。経験上それが楽だと今気づく。
「私って結構本当にオタクなんですよね。だから多分誰かと付き合ったら引かれると思うんですよね。キモすぎて。オタクすぎて。」
「分かります。え。めっちゃ分かります。」
私は即答していた。そうだ、私って気持ち悪いんだった。自覚はしていたけど、普段は隠しているからそのことを忘れていた。私ってオタクだった。
「私本当アニメとか漫画とか本とか好きなものになると話とまらないんですよ。気持ち悪いくらいに。こんなのと付き合ったらだいぶしんどいと思うんですよね。私だったら嫌ですもん。自分と付き合うの。」
「めちゃくちゃ分かります。本当キモいんですよね私って。周りが思っている以上にオタクすぎて。」
今度はお姉さんが即答していた。私たちはそんなところも似ていたらしい。
「私たち多分誰かと付き合うの無理ですね。」
2人で納得した。私たちが付き合えない理由。その後お姉さんはこう教えてくれた。
「私たちアニメで満足してるんですよ。普通は多分ほとんどの人が尊いとか愛しいとかって感情を他人というか恋人に求めてるじゃないですか。でも私たちはアニメに漫画にそれを求めてるんですよ。それで尊いってなれちゃうじゃないですか。だからそれで間に合ってるんですよね。アニメたちで尊いを学んでますもん、現実にないから。」
なるほど。なるほど。なるほど。とてつもなく腑に落ちた。私たちは現実でないものをアニメや漫画で求めていたのか。なんと素晴らしいのだろう。私たちのスキルはとてもとても生きることに役に立っていた。
「これからも感情学びましょうね。アニメで。」
アニメは、漫画は、尊い。
"君の楽しみは尊いものだと、それが分からない人たちを軽蔑していいんだ"
ハケンアニメという辻村深月さんの本で出てくる言葉だ。この言葉にどれほど救われたか。今度お姉さんにもこの言葉を授けたい。
私たちの現実は始まったばかりだ。これからも生きていくために好きなもので学んでいくのだ。

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