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え、あったか〜い靴交換するの?/価値観の違い

上司が、靴を間違えられたんですって。

多くの取引先が集まる飲み会で座敷に上がって、帰ろうとしたら自分の靴が無かった。
探してみたら自分のものとよく似た靴を見つけたが、履いてみたらどうにも違和感がある。
仕方なくその靴を履いて帰ったけれども、思い当たるふしがあったので翌日問い合わせてみたら、自分の靴を間違えて履いて帰った人を発見した。

上司は、そんなうっかり者の取引先の方と電話で話していて(それでわたしも事の次第を知ったのですが)その後、こう続けました。

もしかしたら、今日交換出来るかなと思って、その靴履いてきたんですけど。
あ、今日明日はいらっしゃらないんですね。
わたしも週明けは出張の予定なんですよ。
じゃあ、来週の…はい、水曜日ですね。
承知しました。
それまでは別の靴で凌いで、水曜日はこの靴を履いてきますよ。

え?待って。
人のものかもしれない靴を、履いてきたの?
しかも、交換する日にまた履いてくるの?
もしかして、先方も履いた状態で来社して、お互いの靴を脱いでその場で交換するの?
あったか~い靴同士、交換するの?

えええ…

こういうのって、決して交わることの無い価値観の違いというか、平気な人は平気なんでしょうけど、わたしは絶対に、絶対に、嫌です。
飲み会の帰りは背に腹は代えられないから致し方ないにしても、もしわたしなら、交換する日は自分の靴を履いて、人の靴は別途、紙袋に入れて持ってきます。

旅館やホテルの大浴場なんかでスリッパの履き違えとかもありますけど、百歩譲ってそれはギリギリ許せたとしても…
いや、でもそれも起こらないようにわたしは最大限の努力をします。
端っこの目立たないところに、重ねた状態で横向きに置く、とか。

サウナの後、汗を流さずに水風呂に入る人とか
外出先のウォシュレットを抵抗なく使える人とか
人のハンカチで躊躇なく涙を拭ける人とか

わたしはちょっと、信じられません。

…でも、ということはわたしもまた、誰かから見て信じられない言動をしているかもしれない、ということですね。

思い当たるフシ、あるかな。

鼻を伸ばして自分の匂いを嗅いでしまうこととか
夫の枕とか耳の後ろを嗅いでしまうこととか
飼い犬の肉球の匂いを嗅ぐのも好きだったなとか
自分の足の爪の…

なんだかニオイ関連ばかりが浮かびますが、きっとその他にもわたしは気付かない内に、誰かから見たら異様な行いをしているのでしょう。

わたしも上司のぎょっとする電話でのやり取りを「まじか!」と思いながらも顔には出さなかったし(たぶん)わたしのことも皆さん、見て見ぬ振りをしてくれているのかもしれません。

しかし「決して交わることの無い価値観の違い」を持った人間同士が、一緒の会社で一緒に仕事するのって、やっぱり面白いなと思います。

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