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レビー小体型認知症

昨日は母の日でした。
私の母は6年前に他界しました。
レビー小体型認知症でした。

この病の特徴は、幻なのにそれが現実と区別できないほど詳細に見えることです。
母には小さい子どもや虫がいつも見えているようでした。

この子は誰の子どもなのかと、私はたえず責められていました。

前兆はありました。

睡眠中に大きな声で寝言を言ったり
料理を途中で投げ出していたり
入浴をめんどくさがったり
最近、匂いがしないとも言っていました。
母は混乱しているようでした。

おかしいなと思って、最初に連れていった精神科の診断はうつ病でした。
思い当たることもあったので、その時は納得して様子を見てたのですが、
症状はますます顕著になってきました。

2回目に診察した病院でレビー小体型認知症と初めて診断されました。
最初の症状が出てからは、5年以上経っていたのかもしれません。

幸いだったのは、認知症治療薬アリセプトが効いたことです。
母の症状は大きく改善しました。
奇跡のようでした。

週末は母が大好きなドライブに連れて行くことにしました。
窓からの景色を眺める母の表情は穏やかでした。
家では習字で「前進」という文字を大きく書いて、それを壁に貼っていました。
母自身が前向きに生きようとしていた証です。
さらに、脳のトレーニングとして算数ドリルを始めました。
100点を取ると、子供のように喜んでたことを思い出します。

一番驚いたのは、母がレビー小体型認知症について書かれた新聞の切り抜きを大切に保管していたことです。
自分自身の病を理解しようとしていたのでしょう。

しかし、アリセプトの効果も母の病の進行を完全に止めることはできませんでした。

介護は決して容易ではありませんでしたが、母と共に過ごした日々をこうして思い出します。
それは私と母にとって一番充実した時間でした。






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