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芥川龍之介「鼻」

学生時代、国語科が1番好きだった。

考えてみれば、小さい頃から本が好き。小学生からずっと、4月の始業式の教科書配布日は、ワクワクしてその場で中身を読み始め、帰り道も読み、家に着いてからも読んでいた。
中学校や高校の実力試験に出てくる現代文も、問題を解くために読むというよりはいつも興味深く読み、続きが気になる出典名は必ずメモし、図書室や本屋さんに走った。
大学時代は図書館の書庫に初めて入り、本棚がズラーッと並んでいる環境にワクワクして「ここに布団敷いて寝たい!」と思った。

今も、本は大好き。買って読むこともあるし、電子書籍でも読むし、大きな図書館が近くにあるので、よく行く。

そんな私が、1番よく覚えている「目の前の世界がガラッと変わって見える」ほどの読書体験は、高校1年生の時。

芥川龍之介の「羅生門」を学習する際、並行読書として先生が「鼻」を紹介してくれた。

初めて読んだ時、ガーンと頭を殴られたような感覚だった。

「…認めたくないけれど…、こういう気持ち、私にもある。」

相手を大切に、人の気持ちを考えて生きて来た、つもりだった。このような心情を言語化したことがなかったし、私にはないものと思って生きていた。

けれど、私の中にあった(しかも気づいてすらいなかった)嫌な心を、ズルズルッと太陽の下に引っ張り出された感じだった。

でも、だからこそ、改めて私は「人のコンプレックスを笑ったり、またそれが本人の努力によって解消した時に、さらに笑うような心の貧しい人間には絶対にならんぞ。」と決めて、これまで生きている。

私は、その時に扱っていた教材「羅生門」よりも「鼻」の方がはるかに印象に残っているので、関連図書を紹介してくださった先生には本当に感謝している。

「本は心の栄養」
これからも、自分を豊かに😊

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