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飲食業こそ最強の教育産業!

みなさんこんにちは。
このところ飲食店での迷惑行為を行うSNS動画の拡散が問題視されております。大手チェーンなどが大きな打撃を受けているとのことですが、小規模事業者も決して他人事ではないと感じております。

昨年の問題以降、回転寿司のチェーン各社も様々な対策を講じていますが、今以上に店舗と顧客の遮断が進みそうで心配です。そもそも商売というものは売り手と買い手の信頼関係のもとに成立するものだと思っております。顧客はお店を信用しないと利用しないですし、お店側も顧客のことをある程度は信用していないと心のこもったサービスは行えないと思います。
そういった意味では、卓上の調味料や漬物類などが消えていくのは寂しい限りです。

皆様もご経験あると思いますが、デジタル化の進んだ飲食店へいくと、タッチパネルで受付をして店内へ、客席でもタッチパネルやスマートフォンから注文し、料理は配膳ロボットが運んできます。そしてお会計もセルフレジだと店員さんと話をすることが殆どないと思います。急激な働き手不足が進む日本では当然の流れなのかもしれません。しかしながら、このお店で働く人は仕事の充実感を感じられているのかな?お客様は心から豊かな気持ちになっているのかな?と私は不安を感じます。

コロナ禍で強まった不寛容な社会、人と人との距離を取っていくうちに、人々は心の豊かさを忘れてしまったかのように感じることがあります。そんな世の中で飲食店やサービス産業におけるこれからの役割とは何でしょうか?

私は飲食店は「最後まで残るアナログ産業」だと思っています。それは、人々が本能的に他人との繋がりや承認を求めているからです。そして食べることとは生きるために一番重要な欲求の一つです。皆さんが小さい頃に味わった家庭料理の優しさや温もりを忘れずにいるはずです。食べることは人生の豊かさに直結します。

「接客サービス」の根幹にあるのは相手に対するおもてなしの心とそこから得られる充実感だと思っています。
目の前で喜んでいただける姿を直接感じられるからこそ、お互いの心が豊かになれるのではないでしょうか。

これからの時代デジタルに対応していくことは必然です。私が関わる事業でも昨年からDX推進部を立ち上げ、デジタルだからこそできる生産性の向上や、画期的な仕組みをどんどん取り入れていこうと考えております。その中で、デジタルの強みが活かせる部分と、人の強みを活かすべき部分を明確にすることが大切だと思っています。

最終的にお客様と接する部分は「人」であるべきです。
その理由はこれからの時代は”人こそが最大の差別化要因である”と捉えているからです。「人間力」を求められない場面では、仕事をする意義を見出すのがなかなか難しいのではないでしょうか。「自分じゃなくてもできる仕事だから」と言って離職するケースはだいたいこれだと思います。相手のことに興味を持って、懐に飛び込んでいって、喜んでもらう。そうすることで必ず働く人の心は豊かになっていくはずです。

そういった想いで人材を教育して、世の中に排出していくことこそ、我々飲食業が社会に存在し続ける意義なのではないかと考えています。そして飲食店やサービス業ほど、社会の仕組みを勉強できて、顧客の声をダイレクトに感じ、主体的に成長できる環境がある業種はなかなかないと思っています。

牛角の創業者でもある西山知義さんは、ご自身の著書「想い」で次のように綴っています。
『「桃太郎」の話をよく思い出してみよう」犬、猿、キジたちは、きびだんごだけが目的で桃太郎の鬼退治についていったのだろうか?そうではないはずだ。桃太郎は犬、猿、キジに「鬼退治は世のため人のためだ」と伝えることができたから、動物たちは桃太郎について旅に出ようとしたのではないだろうか。きびだんごはみんなで助け合って鬼退治という大きな目的を果たしたご褒美であり、動物たちはそれを目的にしているわけではなかった。彼らの目的は鬼退治。その偉業を果たした彼らだからこそ、達成感をみんなで共有したに違いない。仮に、社員やパートナーが給与だけを目的として働いているとしたら、パートナーがいつまでも社員や店長についていくことはないと思う。それこそ時給の高い働き口が見つかれば移ってしまう方が都合がいい。店長には桃太郎のような「自分の想い」を仲間に伝えられる力が必要だと思う。我々がどういう理念を持って、この店は何を目指しているのか、きちんと伝わらないとチームはまとまらない。』

特に新しく入社したスタッフには、必ずオリエンテーションなどの理念教育を行い、仕事の意義や目指すべきことをしっかりと伝えてあげることが何よりも必要だと感じます。とりあえず簡単な洗い物や清掃などの「作業」だけをひたすら教えてしまうと心が追い付かずに、働く目的の迷子になってしまいます。

そうならないためには、お店の店長やリーダーがが店舗の目標を明確に持つことも大切です。「自分のお店はどんなお店にしていきたいのか」スタッフを導くべき店長こそ事業の根幹です。本当に大変なことも多い業種ですが、将来スタッフさんが巣立っていったとしても「〇〇店長の言葉や姿勢が人生に影響を与えてくれた」と言ってもらえればこれ以上のやりがいはないでしょう。

飲食店こそ最大の教育産業。一人ひとりの小さな成功体験や自己実現が社会の成果にもなるように私自身も精進していきます。

読んでいただきありがとうございます。

良い週末をお過ごしください。

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