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米津玄師「毎日」を聴いた

・米津玄師の新曲「毎日」がリリースされた。この曲は、昨年リリースされたシングル曲「LADY」の続編?姉妹作?に当たるものらしく、「ジョージア」のCMソングの担当も引き継いでいる。米津本人が手がけたジャケットもカラーリングが青→赤となっており、どことなくこの2作に関連性があるようにも見えてくる。 ・個人的に、この「毎日」を聴いてまっさきに思い出したのは、BUMP OF CHICKENの「ギルド」という曲だった。「毎日」と「ギルド」の2作から見出せる共通点として、変わり映えのし

    • 北野武「首」を観た

      ・劇場公開されたときに一度観ていたけど、最近U-NEXTでレンタルが始まったので再度鑑賞。2023年に観た映画だと一番好きな作品だった。 ・「信長・秀吉・家康らを中心に描いた戦国群像劇」というあらすじを一見するだけだと、大河ドラマや歴史小説で定型的に描かれてきたような「豪傑」たちによる勇敢で骨太な人間ドラマをイメージする。しかし、本作はそういったいわゆる立派で、高尚な「大作」から徹底的に距離をとろうとしている。「ズラす」と言った方がいいかもしれない。登場人物たちは世に名高い

      • 「悪は存在しない」を観た

        ・「ラスト5分間に衝撃の展開が待っている」ということを、事前に鑑賞した人たちが口を揃えて言っていた。そういった文言は映画の宣伝フレーズとしてはもはやありきたりすぎて逆に面白くなさそうに感じてしまうのだけど、実際にこの映画を見てみると、たしかにこれは「衝撃のラスト」としか言いようがないと思った。映画を見る前だったり、映画を見ている途中でもその「衝撃のラスト」はどんなものかなと自分なりに想像してみたのだけど、結果的にはどの予想も裏切られた。こうなるのかと思って頭を抱えるようなラス

        • 「異人たち」を観た

          ・地元のシネコンのレイトショーで鑑賞。事前に原作小説と大林宣彦版の映画は予習しており、予告編の動画もチェックしていた。それらの情報から、少なからずホラー描写があるんだろうなと身構えていたところ、客席に自分以外の人がいなかったのでかなり恐怖を感じてビビっていた。田舎のレイトショーとはいえ、その劇場自体はコナンやブルーロック目当ての人たちで賑わっていたので、「異人たち」に割り当てられた一番奥のスクリーンが異様にひと気がなく感じられて薄気味悪かった。 ・大人になった今でこそ慣れは

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          3本

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          「さよーならまたいつか!」MVの考察メモ

          ・「さよーならまたいつか!」のMVで公開されたので、今回の記事はその考察メモ。曲そのものの考察は、こっちの記事で↓ ・上記記事の公開後、ほかの人の書いた考察や、米津玄師みずから語ったインタビューを読んだりした。その中には、自分の解釈とちがうものもたくさんあったので面白かった。自分は、サビの「瞬け 羽を広げ どこまでもゆけ」のフレーズは「燕」が主語だと思っていたけど、ほかの方は「唾」にかかっていると解釈する人が多かった。これはなるほどと思ったし、そっちの方が整合性がつきやすい

          「さよーならまたいつか!」MVの考察メモ

          「海がきこえる」を観た

          ・話題になっていた映画だったので、TSUTAYAでDVDをレンタルして観てみた。地方民なので、渋谷のミニシアターまで見にいくことは叶わず。 ・冒頭の、松野から電話で呼びだされた杜崎が自転車に乗って学校に到着するまでのただの「移動」シーンに5〜8カットほど要している。これはこの映画の色々なことを象徴していると思う。語弊をおそれずにいうと「雰囲気映画」だと自己紹介しているというか。アクション性は少ないし、ゆったりとした時間感覚が流れるけれど、一方で静的なレイアウトとか、落ちつい

          「海がきこえる」を観た

          「さよーならまたいつか!」の考察メモ

          かねてより好きだった米津玄師が主題歌を担当するということで、ドラマ「虎に翼」を参考にしつつ、「さよーならまたいつか!」を聴いて考えたことのメモを書いた。個人的な話をすると、朝ドラをまともに見るのは今回が初めて。今現在、テレビではまだ放送されていない話数の物語も収録されている「虎に翼」のノベライズ版を購入してちょこちょこ読みすすめてるところ。 で、さっそく本題↓ ・ストリングスやピアノなどをつかったサウンドは晴れやかな春の朝っぽいイメージ。メロディも基本跳ねていてリズミカル

          「さよーならまたいつか!」の考察メモ

          「オッペンハイマー」を見て考えたこと

          J・ロバート・オッペンハイマーという人物は、原子爆弾の開発者として知られている。彼が生み出した恐るべき兵器は、第二次世界大戦が終わった今も全人類の命を脅かす存在となっている。 現代を生きる私たちの感覚からすると、彼に対して「なぜ原爆なんかつくったんだ」と問い詰めたくなる。なぜこんな世界にしてしまったんだと。広島と長崎に原爆を落とされた日本人ならば、なおさら強くそう思うはずだ。 この「オッペンハイマー」という映画では、実際にオッペンハイマーが第三者から「なぜこんなことをした

          「オッペンハイマー」を見て考えたこと

          Netflix版「三体」5話まで見た

          原作小説は数年前に一度読んだきりで内容はわりと忘れてしまっていたけれど、このテレビシリーズを見て「あーそういえばこんな感じの作品だった」と思い出した。 視聴者の予想を裏切る展開と、謎が謎をよぶストーリーテリング。原作小説を読みはじめるとつづきが気になってページをめくる手が止まらなくなるんだけど、それは一気見をうながす今作のような「配信向けテレビシリーズ」という形式に異常なほどフィットしていたと思った。毎話ラストにもっとも盛り上がるシーンを持ってきて、次話への視聴をうながす仕

          Netflix版「三体」5話まで見た

          20240318 「ルリドラゴン」と眼帯

          連載再開が話題になっていたので、単行本の1巻だけツタヤでレンタルして読んでみた。 どこが面白いかと言われると説明しにくいけど、なんか面白い。ジャンルでいうと日常モノにあたる作品で、バトル要素はない。 コマ割りとかストーリーの起伏もいたって平板。会話のテンポ感とかもスローに感じる。効果音とか集中線などの、アクション性のあるマンガ的表現はほとんどない。 この作品の世界観は、ルリの頭に生えた「ツノ」以外は平和すぎるといっていいほどおだやかだ。それゆえに「ツノ」がアクセントにな

          20240318 「ルリドラゴン」と眼帯

          20240317 「デューンpart2」

          多分今まで自分が見てきた中でも「映像体験」としてはナンバーワンだったと思う。 「自分と同じ人間がつくったとは思えない」と思った。宮崎駿の映画を見たときも似たようなことを感じるけど、この作品はそれとまたすこし性質がちがっていて。 宮崎駿作品は「ひとりの天才がつくりあげた美術作品」という感じなのに対して、デューンは「数百人規模の天才があつまって共同制作した巨大建築物」みたいなイメージ。もちろんジブリ作品だって宮崎駿ひとりの手によって生まれたわけではないんだけど、あくまでトップ

          20240317 「デューンpart2」

          20240311 犬について

          犬を見るのが好きだ。 夕方の時間帯にひとりでぷらぷら出歩いていると、たびたび散歩中の犬を見かける。それぞれ犬によって散歩スタイルは異なっていて、飼い主のそばにぴったりくっついて歩幅を合わせている子、じゃじゃ馬気質であっちこっちに飛びだそうとしている子、はなっから飼い主に抱っこされて歩かない子、介護用のハーネスをつけて必死に歩いている子など、多種多様だ。見ていて飽きない。とくに歩くときにプリプリ動く尻がかわいすぎる。この時間になると、犬をタダでたくさん見ることができるので、う

          20240311 犬について

          20240310 「LIGHTHOUSE」

          正直なところ、見ていて困惑した番組だった。 かつて日陰ものとして若い時代を過ごしてきた星野源と若林。彼らふたりは、ここ10年ほどで日本を代表するクリエイターの立ち位置までのぼりつめた。彼らのような「成功者」が、成功者だからこそ持ちうる悩みについて吐露している姿はあまり見たことがない。その点では新鮮なコンテンツだった。 自分は今20代で、どちらかというと阿佐ヶ谷で過ごしていたころの彼らと似たような境遇にいる。似ているといっても、彼らほどの辛酸をなめているわけではない。現状に

          20240310 「LIGHTHOUSE」

          20240308 「奇子」手塚治虫

          「奇子」という作品にすごみを感じるのは、物語の舞台設定が「終戦直後の日本」に設定されているところだ。 冒頭、復員兵の乗った大型船が横浜港に到着するところから物語は始まる。船をおりた彼らを家族や恋人がおおよろこびで出迎えている。戦争が終わり、民主主義がひろまり、平和な時代がやってきそうな、一見明るいムードだ。しかし、これから描かれる物語には、目を背けたくなるようなひどい展開の連続がまっている。 あれだけ「反戦」的な作品をつくり続けてきた手塚治虫が、戦争が終わったあとの世界で

          20240308 「奇子」手塚治虫

          20240307 「信仰」村田沙耶香

          「信仰」 学生時代の同級生が「宗教にハマったらしい」という噂を聞いたときの、「あいつやっちまったな」感と、それと同時になぜか自分の中に生まれる優越感みたいなものを思い出した。あいつに比べて自分はいくらか「まとも」なのだという感覚。相手のことを心配しているようでいて、そのじつ身内で盛り上がれるネタができたことに高揚している。そういった嘲笑の対象になりうるものは宗教だけではなくマルチ商法などもそうだし、最近ではフェイクニュースや陰謀論も当てはまる。さらには自己啓発系のインフルエ

          20240307 「信仰」村田沙耶香