シマ子

イタリアに住んで十云年の会社員。某大学の今はなき一文の美術史を氷河期時代に卒業し、日本…

シマ子

イタリアに住んで十云年の会社員。某大学の今はなき一文の美術史を氷河期時代に卒業し、日本で社会人をした後、移住先をフランスかイタリアかで迷い、ミラノに来て今に至る。ヨーロッパ各地の美術館や文化施設訪問、フランス映画、ダンス、北欧の自然が好き。 インスタ:@enaga_shimako

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Stockholmの現代アート美術館 Fotografiskaを訪れる

4末の連休、かつて日曜出勤をした分の代休をつけて連休を延ばし、数年ぶりにSwedenを放浪した。今回のメインの目的はGotland滞在だったため、3度目となるStockholmはささっと済ませた感じだが、それでも2か所でアートの鑑賞をしたので、そのレポートをしたいと思う。 2回目の今回は、現代アート美術館のFotografiskaである。 Fotografiskaは、世界に5か所ある美術館で、実を言えばエストニアのTallinの館を2018年に訪れていたが、ずっと訪れたかっ

    • Alessandro VerdiのErranza in forma di limite(限界の形のエラー)を鑑賞する

      とある金曜の会社帰り、Alessandro Verdiというアーティストの作品を鑑賞しに行った。このアーティスト名は初耳だったが、展示案内がモノクロで、近年妙にモノクロに心を奪われるようになったシマ子の目をすぐに惹いたのと、このギャラリーの展示は数年前からほぼ全て観ており、かなりお気に入りのため、「あっ、また新しい展示が始まった、行かなきゃ」というダブルの理由で、展示開始後すぐの金曜に訪れたのだった。 Wikipediaを見たが、あまり有名ではないのか、説明が乏しい。 加え

      • Ett Gotlandsbröd(Gotland島のパン)

        4末の連休にSwedenへ行った。 5回目となるこの国の主な訪問先はGotland島のVisbyである。 この町は、私たち日本人にとっては、Stockholmの次くらいに知られている都市名ではないかと思う。というのは、宮崎駿監督の「魔女の宅急便」の舞台とされたのが、住宅街がVisby、市街地がStockholmのGamla stan(旧市街)なので、宮崎アニメファンなら誰もが憧れる風景では、と思うからだ。 (ちなみに私は、「魔女宅」をまだ見ていない。母にそれを言ったら驚いてい

        • Alex Da CorteのWorld Leader Pretendを鑑賞する

          とある金曜の会社帰り、地下鉄を途中下車して、4月に始まったAlex Da Corteというベネズエラ系アメリカ人のコンセプチュアル・アーティストの展示を見に行った。初めて耳にする名なので、鑑賞を決める前に大まかな作品をネットで調べてみたが、作品自体はかつて幾つか雑誌で見たことがあったこと、またHip HopやRapのミュージックビデオも手掛けているとあって、全体的にポップだったりノリノリな感じの作品が多い印象を受けた。 このギャラリーの展示を何度か見たが、正直言って、これま

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        • 学びのある記事
          3本

        記事

          自然保護公園"Oasi Bosco Vignolo"を散歩する

          4月のある週末、Pavia近郊にある自然保護公園の散歩会に参加した。発案者は下の記事と同一の友達だが、今回は自然保護公園というだけあって、公園の管理者が説明をしてくれ(弾丸のように話す人で、専門用語や学術名を多用するので、イタリア人でもあまりよく理解できない箇所があったようだ)、有料だった。公園の整備に充てられる費用なので払うのは全く問題ないのだが、散歩会の案内にその説明がなかったので、「うわっ、現金がない」という人も複数おり、最初はちょっと躓いた感じだった。 今回は待ち合

          自然保護公園"Oasi Bosco Vignolo"を散歩する

          Stockholmの邸宅美術館 Prins Eugens Waldemarsuddeを見学する

          4末の連休、かつて日曜出勤をした分の代休をつけて連休を延ばし、数年ぶりにSwedenを放浪した。今回のメインの目的はGotland滞在だったため、3度目となるStockholmはささっと済ませた感じだが、それでも2か所でアートの鑑賞をしたので、そのレポートをしたいと思う。 まずはPrins Eugens Waldemarsuddeという、Djurgården島にある邸宅美術館を紹介しよう。 【Eugen公爵と邸宅について】 この美術館はもともと、Eugen公爵(※)が1

          Stockholmの邸宅美術館 Prins Eugens Waldemarsuddeを見学する

          【実験】イタリア人はいつも絶好調なのか?

          日本に住んでいた頃には一切聞かれず、イタリアではしょっちゅう聞かれることが2つある(もしかしたらそれ以上あるかもしれないが、今でも「あっ、またか」と思うのは2つだ)。 1つは宗教、もう1つは、「come stai/come sta?」、つまり"How are you?"である。 日本では、友達同士でも、取引先との会話でも、「調子どう?」とか「ご機嫌いかが?」なんて言い合った覚えはなかった。少なくとも私が日本に住んでいた15年以上前、30歳頃まではなかったと記憶している。

          【実験】イタリア人はいつも絶好調なのか?

          「STRATI. ECO-FOBIA POETICA(訳: 層。詩的エコフォビア)」を鑑賞する

          先日、街の中心部の裏道のとあるギャラリーを訪れた。ここには以前入ろうと2度トライしたのだが(その際は少しポルノっぽい感じの展示を行っていた)、会期中にも関わらず2度とも閉まっていて、「このギャラリー、本当に営業しているのだろうか、それとも内容が内容なだけに、明記はされていないけれど予約が必要なのだろうか?」と、リベンジする機会を狙っており、今回、見ても良いかなと思う新しい展示が始まったので、また入れないことのないよう、開始の翌日に訪れた。 今回の展示は、『現実の概念的基盤とし

          「STRATI. ECO-FOBIA POETICA(訳: 層。詩的エコフォビア)」を鑑賞する

          夕陽を堪能&連写しに海辺で佇んでいたら、若い女性が2人"Hej"とやってきて、いきなり私の前で脱ぎ始める。えっ、この寒空の下、Tバック?と驚き、暫し動向を観察。どうやらソーシャル用の動画撮影らしい。しかしわざわざこの時期にやらなくても、と思うのは、私がおバンだからでしょうか?

          夕陽を堪能&連写しに海辺で佇んでいたら、若い女性が2人"Hej"とやってきて、いきなり私の前で脱ぎ始める。えっ、この寒空の下、Tバック?と驚き、暫し動向を観察。どうやらソーシャル用の動画撮影らしい。しかしわざわざこの時期にやらなくても、と思うのは、私がおバンだからでしょうか?

          昨日から連休なので、数年ぶりにSwedenを放浪中。4末なのに郊外は雪景色で、ミラノにはない光景。やっぱり、北海道っぽくて好きだな。Lockdown中にレベルアップを断念したSweden語だけれど、耳をそばだてるとたまに何かしらわかって嬉しい。いつか再開する日が来るのだろうか?

          昨日から連休なので、数年ぶりにSwedenを放浪中。4末なのに郊外は雪景色で、ミラノにはない光景。やっぱり、北海道っぽくて好きだな。Lockdown中にレベルアップを断念したSweden語だけれど、耳をそばだてるとたまに何かしらわかって嬉しい。いつか再開する日が来るのだろうか?

          Fuorisalone-美しい室内装飾-

          先日、年に一度のミラノの一大イベントの一つ、Salone del Mobile (家具の見本市)が行われた。本編の会場とは別に、市内の各地で(ここ2年ほどは市外にも少し移りつつあるが) Fuorisalone というイベントが行われるのだが、早いところでは18時に閉まるので(つまりフルタイムだと平日には行けない場所がたくさんある)、毎日のように会社帰りに1、2件見て回っていた。 週末も、土曜は別の予定があって見られなかったので(去年はちょうど週末にハンガリーへ発ち、平日しか見

          Fuorisalone-美しい室内装飾-

          ウクライナのビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーションを鑑賞する

          片頭痛と風邪のひき始めで絶不調のため、薬をしこたま飲んだ金曜の午後、具合が悪いなら即家に帰ればいいものの、芸術鑑賞しないと週末が始まらない、という意地っ張りな性格のシマ子の行く先は、初めて訪れるギャラリーだった。この日のお目当てはウクライナ人のビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーション"Mutative Transitions into Organic Utopia"である。 ウクライナ人のアーティストの展示など滅多に見られるものではないし、なんといっても翌週

          ウクライナのビジュアルアーティストAljoschaのインスタレーションを鑑賞する

          ダンスの先生の話

          先日、ダンスのレッスンが始まる前、久しぶりに先生がおかしな体験談を熱く語っていた。無視しようにも、途中からグフッという笑いを抑えられなくなるくらい、珍妙な話だった。 あまり他人の赤裸々白書をNoteに書きたくはないが、今日の話は、「こんな体験、普通に生きていたらまずしないだろう」という類の、想像をはるかに超えた話だったのと、たまには本気のバカ話もいいかな、ということで、忘れないうちに書き留め(卑猥な表現は避けて)、ある程度時間が経ったので、熱が完全に冷め切らないうちに載せてし

          ダンスの先生の話

          Hidetoshi Nagasawa(長澤英俊) 1969-2018を鑑賞する

          先日、始まったばかりの長澤英俊という彫刻家の展示を見に行った。 このアーティストのことを知ったのは、会社の近所のお気に入りのギャラリーのオーナーとコロナ禍の中盤に知り合い(確かまだ、美術館や映画館に入るのにグリーンパス-ワクチン証明-が必要だった頃だ)、ギャラリーに置いてあった作品集を見せてもらったのがきっかけだ。20代半ばからずっとミラノ(近郊も含む)に住んで活躍され、ミラノで亡くなった方なので、もしかしたら知名度は、日本よりもイタリアの方が高いのかもしれない。 いずれにせ

          Hidetoshi Nagasawa(長澤英俊) 1969-2018を鑑賞する

          ロシア人のアーティスト父子の展示"Piazza senza nome(訳: 無名広場)"を鑑賞する

          先日、閉鎖から2年ぶりに場所を変えて生まれ変わったというギャラリーを訪れた。大元のギャラリーには、恐らく行ったことはないと思う(私には人名や地名、固有名詞等を忘れる兆候が26歳からあり、当時は老化の始まりだったのかもしれないが、今や完全に老化の一環で、忘れたら最後、思い出せないのだ)が、場所も完全に辺境に移ったため、たとえ行ったことがあったとしても、完全に新しいギャラリーとして見ていたと思う。 さて、新生のギャラリーの初の展示は、AlexanderとSasha Brodsky

          ロシア人のアーティスト父子の展示"Piazza senza nome(訳: 無名広場)"を鑑賞する

          Novara城で「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞する

          先日、Piemonte州でもミラノ寄りのNovaraという町にあるCastello di Novara(Novara城)内で行われている「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞しに行った。展示が始まったのが11月で、間もなく終了、という頃、ちょうどミラノでもDe Nittisの展示が始まり、両方見るかどちらかにするかを悩み(チケットがどちらも然程安くはないのと、その間Cézanneまで始まってしまい、フランス人の友達には

          Novara城で「Boldini, De Nittis et les italiens de Paris」を鑑賞する