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魔法の黄金湯 ~ 子安温泉(信州・高山村)


療養泉

 信州(長野県)上高井郡高山村に、小さな日帰り温泉施設がある。

 その名を「子安温泉」という。

 長野市の東に位置する須坂市から、更に東へ行った高山村。
 万座温泉や山田温泉といった有名な温泉地へ向かう途中にひっそりとたたずむこの温泉は、「なんにでも効く!」といわれる、地元では有名な療養泉である。

 「療養泉」と称するには、いろいろ条件もあるらしいが、管理者によると、「含よう素泉」ということらしい。

 ※ HPをご確認いただきたい。 

泉質は?

 子安温泉の湯は、よう素を含む塩化物温泉で、殺菌作用が高いのが特徴である。

 また、鉄分が多く、加温して外気に触れると褐色の「黄金湯」になる。
(冷たいままだと、透明のまま、鉄分は澱となって沈む。)

 源泉の温度は低めで、30度を少し超える程度なので、夏場のプールのような温度で、冬場はほんのり温かみを感じるが、夏場はひんやりしている。

 したがって、一切の加水はせず、源泉をかけ流しているが、入浴するには加温が必要である。
 季節にもよるが、少し熱めと感じる42度くらいで使用している。

 浴室の片隅には源泉を溜めるている木桶があって、利用者の多くは、上がり湯代わりに使っているようだ。

 口に含むと、塩味と苦みがあり、飲用も可能となっている。

右上の隅にあるのが、源泉湯の木桶

効能は?

 見出しに「魔法の黄金湯」と書いたが、これは冗談ではなく、私は本気でそう思っているので、「なんにでも効く!」と云われる、その驚くべき効能を紹介しよう。

※ ちなみに、効能には個人差もあり、人によっては、合う、合わないということもあるので、あくまでも私個人の感想であることは、あらかじめお断りしておく。

1 傷によく効く

 この温泉は、よう素を含む塩化物温泉であることは書いた。
 殺菌力が高いのか、傷には本当によく効く。

 切り傷、擦り傷などは、通常なら治癒に5日ほどかかるようなものが、3日ほどで治ってしまう。

 普通の傷は、治り始めるまでに少し赤くなったり腫れたりすることが多いが、この温泉に浸かると、そういうことが比較的少ないようだ。

2 虫刺されによく効く

 蚊に刺されたりすると、昔から塩をすり込んだりするが、それと同じ効能がある。

 蚊に刺された直後に、ペットボトルなどに保管した源泉水を患部にすり込むか、それでよく洗うと、痒くなることもなく、すぐに痕跡が消滅してしまうことが多い。

 塩分が多いため、蚊の毒液が浸透圧で吸い出されるのかもしれない。

3 皮膚疾患によく効く

 アトピー性皮膚炎などに、かなり効果があると聞く。

 塩分とよう素が患部の殺菌・消毒に効果があるのだと思う。

 実は、水虫などのある人も、繰り返し湯に浸かることで、治ってしまうことがある。

 私も、以前は、時々水虫が顔を出すことがあったが、この温泉に入るようになってからは、水虫が滅多に出なくなった。

4 鼻炎など、炎症を伴う疾患にもよく効く

 私は、必ず源泉湯で鼻うがいをしているが、花粉などで鼻がぐずついているときなどは、かなり症状が緩和されるのを実感している。

 やはり、消炎効果があるのだろう。

 軽い花粉症なら、治癒とはいかなくとも、相当な効果が期待できる。のではないか。。。

 うがいや、口濯ぎなどにより、喉や口腔の消炎効果もあるんじゃないだろうか。

5 肩・腰・膝などの関節痛にもよく効く

 四十肩、五十肩の方々には、ぜひ試していただきたい。

 てきめんに効果が出てくるわけではないにしても、何回か浸かると、いつの間にか肩の痛みが消えてしまったという話をよく聞く。

 私も、大分前のことになるが、五十肩で困っていたとき、たまたまこの温泉に入ったおかげで、普通は半年くらいは悩まされる痛みが、思いのほか短期間で治癒したことがある。

 たまたま、治るタイミングだったのか、本当にこの温泉が効いたのかはわからないが、その後、定期的に通うようになってから、腰痛やひざ痛なども、ずいぶん緩和されたのは本当である。

6 入り方

 常連さんの入り方を紹介しよう。

 まずは、体の汚れを流し、10分くらいリラックスして湯に浸かる。
 熱くなってきたら、浴槽の脇へ出て、少し休もう。

 換気は、昔ながらの天井からの自然換気なので、窓は閉まっていて、浴槽から出ていても、温泉成分を全身に受け、呼吸でも吸い込むことができる。

 体が少し冷めたら、もう一度入る。
 二度目は、5分くらいが限度か。
 温まった体は、なかなか冷めないので、すぐに熱くなってしまう。

 熱くなったら、再び浴槽から出て、一休み。
 冷めたら、また入る。

 この繰り返しだが、だいたい3回くらい湯船に入ったら、冷水か源泉水をかぶって出るというのが主流のようだ。

 中には、1時間以上ゆっくりこれを繰り返している御仁もいるが、この温泉は結構「濃い」ので、湯あたりを起こすことがある。

 最初は、2回程度にしないと、ぐったりと疲れてしまうこともあるので、自分の体調を考えながら、自分に合った入浴サイクルを見つけると良いだろう。

7 温泉後の楽しみ

 温泉から出たら、受付(売店)には地元産の農産物などが、季節ごとに様々置かれているので、これを買うもよし、眺めるのもよし。

 ちなみに、地元の生産者が直接持ち込むので、他に比べてリーズナブルに良いものが手に入ることが多い。

 畳の休憩所やカウンターのようなスペースも用意されているので、セルフの冷水や麦茶などをいただきながら、外の景色を眺めるもよし。

 ほかにも、様々な飲み物も販売されているので購入することができる。

 昼時には、併設されている食堂で、社長自慢のお料理をいただくこともできる。
 大きな入浴施設とは違い、こじんまりとしているため、喧噪もなく、ゆっくりと、まったりと時間を過ごすことができるので、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。

 「子安温泉」は、まさしく、「魔法の黄金湯」なのだ。

山間に「ひっそり」と建っている



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