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信州フットボール旅。byりいちinMANCHESTER

松本に来た。

ここに来る事を一昨日まで、知らなかった。

一緒にフットボールカルチャーについての本を書いている師匠、中村慎太郎さんに誘われて急所彼の家族と来た。

松本山雅フットボールクラブvsカターレ富山、舞台はJ3。

本当に申し訳ないのだが、何年に設立されクラブなのかも選手の名前もほとんどわからない。

知識を絞り出しても、松田直樹さんがいた事、小松蓮君が得点王で調子がいいという記事を見た事しか思い出せない。

今回の旅は、突発的で偶発的な旅だった。

Twitter(X)で#信州フットボール旅というハッシュタグまでつけて発信したので、計画的に見えたかも知れないがそのアイデアすら当日に思いついた。

八王子〜松本〜長野駅〜小川村〜松本城〜アルウィンへと続く旅。

嘘のような本当の話、信州に向かう日の朝まで僕は松本と長野が横の駅にあると思っていた。

でも、この2日間の経験を経て、色んな経験を経て今ではその無知の危うさにも気づきつつある。

観光客は無知で軽薄だ。

しかし最低限のリスペクトを込めて、地元の人たちの感情を学んでから行くべきだと今回の旅行で感じた。

少しタイムスリップして、この2日間を振り返っていきたい。

2023年8月11日

9時に八王子で目覚めた。

電車のチケットもとっていない。

前の人は深夜1時まで友人達とテレビ電話して、ワインを飲んでいた。

僕は偶然的で無計画な、誤配に満ちた旅が大好きだ。

その日も、信州へ行く時間も何も決めてなかった。

とりあえずみどりの窓口に行き長野行きのチケットを買い求めた。

8月11日の朝の八王子にて


人生で初めて信州に行く。

とても楽しみだ。

あずさという電車に乗って、松本駅で乗り換えへ長野駅へ向かうらしい。

確か乗った電車は朝10時32発。

長野までは3時間ぐらいなので、ストレートに行ったらお昼過ぎについてしまう。

宿泊先は長野駅から車で40分程の距離にある、小川村に決まっていた。

そこで師匠(中村慎太郎さん)の家族と、Twitter(X)で仲良くなった徳武さん家族と会う予定だけある。

しかし何時に行くかも言ってないし、相手が何時にどこにいるのかも知らなかった。

とりあえず僕は電車に乗って、窓の外を眺めてた。

諏訪湖を見つけて降りたくなった。

お酒が飲みたくて塩尻のワイナリーという文字でも途中下車しそうになった。

塩尻ワイン飲みたい

そして、乗り換え先の、松本駅に着いた。

とりあえず記念撮影

松本駅。大きい駅だ。

正直この段階に及んでまで、松本山雅の試合を次の日に観に行く事を理解してなかった。

サッカーを観に行く事は知ってたけど、むしろ知りたくないかのように情報を見て見ぬふりしていた節まである。

僕は映画もネタバレが大嫌い、予告編を見るだけで見る気がなくなる面倒くさい奴だ。

常に新鮮な驚きを求めている。

とりあえず観光案内所に入った。

観光案内所

Twitter(X)に、松本に着いた事、観光したい事も呟いた。

松本について、案内所ではお姉さんが詳しく教しえてくれた。

ほうほう松本城が観光スポットね
音楽も有名なのかな?

とりあえず松本城が名物なのか。

行ってみよう。

Twitter(X)を覗く。

『長野と松本を一緒にするな、いい加減にしろ。』

こんなリプライが来てた。

なんか背中がゾッとした。

僕はとんでもない軽薄な旅行をしている。

それに自覚的だったから、何か逆鱗に触れたのかと感じた。後から考えたら本当に触れていたのだけど……

しかしこんな事で旅を辞めるわけには行きない。

八王子から電車のチケット代は7000円ぐらい決済したし、不貞腐れて引き返すわけにもいかないのだ。

喫茶山雅へ


Twitter(X)を覗く。

カフェかぁ!!

そういえば熱いし、喉も渇いてる。

今モーレツにカフェに行きたいのかも知れない。

しかしもフットボールと関係があるなら一石二鳥だ!

とりあえず、持ち前の行動力を少し解放してみる。

着いた。

ここが、喫茶山雅か。

何かフットボールの匂いがプンプンするな。入ってみよう。

入り口
初代二代目クラシックユニフォーム
松田直樹さんのユニフォーム


色んなグッツがある
なんだこれ冷えプシュ!?
オシャレ😎
このキャラいいね
フラッグ
j2優勝記念プレート
この街と。どこまでも。
天井に注目

なんだここは。

僕はマンチェスターの国立フットボールミュージアムにでも来たのか。

額縁に飾ってあるのクラシックユニフォームをまじまじと観てしまった。

イングランドパブよろしく、天井にはフラッグが。

料理も頼む。

山賊焼き

素晴らしい。もう大好きになった。

このよう場所を維持するのは大変な事だろう。

スタッフの給料、土地代、料理を出すための設備、全て誰かの苦労や労働なしには成り立たない。

おそらくここでは地元の松本山雅を好きな人たちが、運営してるんだと思う。

凄い。

フットボールが地域に根付くとは、こんな場所がある事を意味するのかもしれない。

僕の地元の東京八王子には少なくともない。

フットボールの根付く街。
マンチェスターにはストックポートには、このような場所が無数にある。

歴史が見れる国立フットボールミュージアム
地元でフォーデンの叔父さんと遊べるパブ

その中で、僕は松本山雅サポーターの方々4.5人と話した。

みんな本当にフレンドリーでいい人だ。

ここで気づいてきた。

師匠は信州フットボールの熱さを見せたくて僕をここに呼んだな??

次の日のカターレ富山戦を僕は観に行くんだな??

それに気づいたら色々情報を集めよう。

相手は2位で調子がいいのか。

今、松本山雅はそんなに状態が良くないのか。

まぁいい、何にせよ、明日サッカーの試合が見れるなら楽しみだ。

僕はタオルマフラーにお布施して、喫茶山雅を後にして、いざ小川村へ。

小川村

師匠のお知り合いの、店でビールを飲んでお迎えを待った。

なからさんで徳武さんと待ち合わせへ 

そしていざ、小川村へ!

合流


師匠のお子さん達も元気そうだ。

焼きマシュマロを勧められて、激ウマのマグロのカマの食す。

アルプス山脈を見渡せる絶景中の絶景の中で。

素晴らしい体験。

持つべきものは、僕と違った人生を送ってきた友人である。感激。

焼きマシュマロ
マグロ


その後は、近くなる天文台に星を見に行って天文学の奥深さを学んだ。

アルビレオ

深夜になった。

徳武さんと徳武さんの奥さん、師匠と師匠の奥さんとでビールを飲んだ。

どんどん飲む。話す。

いろんな事を語り合った、そして信州について教えてもらった。

筑摩県というものがあった事。

県庁が燃えた事から繋がる、歴史的な長野と松本の因縁。

今の松本山雅の社長に対する、ローカルファンの不信感。

長野パルセイロへの徳武さんの深い愛……

最後の方は何を話したが覚えていないが、幸せだった。

そして深夜4時半に床についた。

2023年8月12日


朝8時に起きた。

こんな日はショートスリーパーぶりがフルに活かせる。

アルプス山脈
ストックポートカウンティの服しか着ないのだ。


とんでもない絶景が、起きて5分で見れるのは最高だ。

東京生まれで、名古屋やマンチェスターに住んでいた僕はこーいう生活には少し憧れがある。昨日の夜の星も綺麗だった。

その後は、小川村おやき村と松本城を観光していざ、フットボールを見にアルウィンへ。


おやき村の素晴らしさについては1万文字くらいかかるでまた別に書きます。

松本着いてからは、師匠と興文堂の平田店に挨拶にも行った。

ご著書が置いてあって、書店員さんと談笑してる姿なんか、憧れる。

僕も紹介してもらったから、本が出たら置いてくれるかな?なんて淡い期待も。

西葛西出版発行、すたすたぐるぐる信州編



いざ、アルウィン!!


さて、いよいよ旅もクライマックス。

今回の旅の題目はあくまで、” フットボール旅”だ。

クライマックスであり、メインディッシュでもある。

とりあえず、すたぐるでも食べてスタジアムを散策しよう。

緑のユニフォームで溢れてる
綺麗だ
太鼓叩いてたらしい
すたぐる牛串
かき氷

このアルウィンは2002年の日韓ワールドカップ時に、キャンプをしていたチリの伝説的GKチラベルトが褒めちぎったという逸話があるらしい。

喫煙所で聞いた話。

うん、とにかく凄い雰囲気がいい。

わかるよ、わかるよチラベルト。凄くわかる。

試合に備えよう。

雲が美しい
アルプス山脈を背景に
パノラマ写真

19時03分。試合開始。

とにかく応援の迫力が凄まじいので、僕のTwitter(X)でのツイートさら動画を見て欲しい。

信州マスターの葛西人・中村慎太郎がチャントに合わせて歌詞を口ずさむ。

【松本山雅の誇りを】

【俺たちはここにいる】

【One Soul(ワンソウル)】

……

このような事を歌っていたと思う。

しかしとにかくワードセンスが素晴らしい。

なんというか、洗脳の効果すら感じる。

僕は松本になんのゆかりもないが、ONE SOULなのかと思ってきた。

そんなチャントを聞いてるうちに、この空気を吸ってるうちに、

なぜか涙が止まらなくなった。

僕はイングランドでも日本でも、人よりもフットボールの試合を観に行ったと思う。


感動的な瞬間も見てきた。ボルトンでのFAカップのジャイアントキリングから、この前の東京ダービーまで。色々見てきた。

でもフットボールを見て泣いたのは初めてだった。

でも、何故泣いているのか?

それがわからない。

横にいる80歳ぐらいの老人の迫力ある応援に感動しているのかもしれない。

いや、ストックポートカウンティのアウェイゲームにマーティン君と行った時のチャントが事が頭から離れないからかもしれない。

アウェイの富山サポーターのチャントが、気持ちがダイレクト入ってくるからかもしれない。

松本山雅を愛する人たちの声や魂が、僕に流れ込んでくるからかもしれない。

いやその全てが絡まって、脳が混乱して涙に成っているのかもしれない

多分そうだろう。僕は混乱していた。

今は朝、9時11分、文章を書いている。

八王子の家にいる。

昨日の応援を思い出した。

また涙が止まらない。

試合に負けた。

でもそんな事は多分関係ない。

まだ泣いてる理由を泣きながら考えてる。

わからない。

色んな思い出が連鎖してる。

それは自分だけの思い出じゃない。

松本にマンチェスターにストックポートに富山に浦和に横浜に住んでる皆さんのフットボールに対する思い出や、想い。

僕には何も全くわからないのに、何かがわかってる気がする。

フットボールを見て涙を流す僕らの思い出は似ているのかもしれない。

劇的なゴールを見て横の人と抱き合った思い出、負けて辛くて八つ当たりした思い出、お願いだからこのロングボール競り勝ってくれとロスタイムに願った思い出。

人間には、フットボールには、地域が違っても、国境を超えてさえも実はそんなに差がないのかもしれない。

確かに昨日は試合には負けた。

僕も山雅に勝ってほしかった。

でも、僕にはかけがいのない思い出ができた。

それでいいんだと思う。

帰りの車で師匠と話した。

サッカーは勝たないといけないのか?

それとも、クラブと共に僕らは”ある”だけでいいのか?


厳しい問いだ。

10年サッカーを見てきた中村慎太郎さんでも、答えが出そうになかった。

もちろん僕にも答えはでない。ちょうど混乱し始めたぐらいだ。

でも、人生はまだ長い。

僕はこれからもフットボールを観る。

死ぬまでに、その答えに辿り着けたらいいなって悠長に構えて、この旅を終わりにする。