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4列シート

高速バスなどでみられる4列シート。だいたいAB通路CDの席順になっているが席と席の間に収納式の肘掛けがあるのをご存知か?私も、滅多なことでは使用しないあの設備を、今朝は珍しく使った。というのも、隣席の若い女子が私の席にまで及ぶ豪胆さで、先に陣取っていたからだ。私が乗車したのは、田舎ながらも駅前、2便からは始発となる停留所だった。すでに乗っていた彼女はさらに田舎から来たことになる。金髪ロン毛、ラメバック、素足にミニスカ、ツイード柄のコート。見かけをどうこう言うつもりはない。が、私の席にまで身体の一部が及ぶのは頂けない。着席するやいなや席間にある肘掛けをグイッと降ろした。

これで安心、と思う間もなく、彼女はおろしたての肘掛けに腕を乗せてきた。おっと… そうくるか。まったくの想定外だ。完全に乗せきっている腕は、降ろす前よりはみ出ているではないか。しかも腕か足かわからないくらい太く重そう。…。
辟易の極みだった。
結局彼女は隣席と通路、どちらの肘掛けも自分用に使い、どちらへもはみ出て、両腕が(まさに)胡座をかいている状態になった。本来なら胡座は足でかくもの。では足は?というと、むろん他人のテリトリーを犯している。象の足を連想させる逞しいそれが、肌のまま、こちらに侵入していた。全然平気なのだ。

デブ。

ブタ。

いや、ただのデブやブタではない。彼女はふてぶてしいデブ、または非常識で身勝手なブタである。しきりに携帯をいじってはお菓子をむさぼるブタである。たまに水を飲むデブである。ペットボトルの水はぐんぐん減って、あと3センチになっている。相変わらず肘掛けを両側とも使い、コートの裾も股も開いて、90キロはあるだろう醜い身体を1席に乗せ移動する。この醜さは、表面上のものではない。
行き先はUSJか?ライブハウスか?
 うざ。

嫌悪感に満ち満ちた4列シートの2時間がはじまる。

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