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CLCからMATERIAへ

MATERIA『drop a line』のリリース日である2月25日。
この日は少し特別な意味を持っています。

それはちょうど1年前、私たちが営んでいた「Colored Life Coffee」の閉店を目前に控え、それまでの感謝を伝えるために「Thanks Letter for New Journey.」と題したイベントを開催した日。

そこから始まった新しい旅路の一歩目がMATERIAです。

今回はCLCという愛称で呼ばれていた、私たちの「原点」の話をしたいと思います。

2017年11月、高円寺駅から歩いて少しのところにある、”泊まれるアート”がコンセプトの「BnA HOTEL Koenji」で、Colored Life Coffeeはオープンしました。

ホテルのチェックインカウンターも兼ねたコーヒースタンドは、地元の方はもちろん、日本全国、世界各地から訪れた人たちがコーヒーを片手に過ごすことができる場所でした。

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Colored Life Coffeeが目指したのは「”美味しさ”が価値として還元される世界」を実現すること。

これは、コーヒーの価値が「量」だけで決まってしまう仕組みへの違和感から生まれた考えであり、今でも変わらず私たちの中にあります。

お店では「まずはコーヒーを消費する側の意識を変えよう」という想いのもと、質の高さにふさわしい対価が支払われている豆を選び、自分たちで焙煎し提供していました。

美味しい一杯を通じてその価値を伝えていく中で、継続的にお店を訪れてくれるお客さんやイベント出店の依頼などが増えていきました。

一方、それに応じて日々のオペレーションなど目の前のことに精一杯になっていく。

そんな中で、店舗というかたちが「”美味しさ”が価値として還元される世界」 を実現するために最良の方法なのか、と考えるようになりました。

コーヒー農家の方々に価値を還元するためには、まずはある程度の量を買うだけの資金が必要となります。

そのためには、Colored Life Coffeeはお客さんに対価を支払っていただくだけの価値を提供する必要があります。

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Colored Life Coffeeの価値、その本質ってなんだろう。

そう考えたときに、私たちのお店には「場」としての価値があると感じました。

高円寺からすぐのところにある居心地のよい空間、美味しいコーヒー、カウンター越しのやりとりによって生まれる雰囲気を好んで、お客さんはお店という場に足を運んでくれる。

その一方で、当時のColored Life Coffeeの価値を大きくして、農家の方々に還元していくためには、場の数、つまり店舗を増やしていくしかないと思いました。

でも、私たち自身がその方法で “素敵なもの” をつくり続けられるとは思えませんでした。

それが、その場で働いている人たちの幸せに直結しないのではないかと感じました。

想いが希薄化したものをたくさんの人たちに売るのではなく、しっかりと想いを込めたものだけを、好きになってくれる人たちに届けられたほうが素敵なんじゃないか、と。

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そこから、まずはものとして価値のある何かをつくろう、農家の方々に還元できる「余白」を大きくとることのでき、且つ私たちが「素敵だ」と信じられるプロダクトをつくろうと考え、MATERIAプロジェクトはスタートしました。

それはColored Life Coffeeを閉めるという決断をすることにもなりました。


January 24, 2019
Text by Taiga Kato

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