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【後編】東京~名古屋まで在来線だけで行って、グルメを満喫してみた

こちらの記事は、以下の記事の続きです。

2日目:朝。熱田神宮

セントレア空港のカプセルホテルで目覚める。とはいっても、やはり慣れない環境であったため、あまりよく眠れなかった。
8:47、空港の駅を出発。2日目午前中の目的地は熱田神宮である。朝陽に輝く伊勢湾がまぶしい。湾の向こう側の山々は、今日も煙っていて幻想的。湾に面した家々には、漁村の面影があるのは思い過ごしか。

9時過ぎ、「神宮前」駅に到着。まず。モーニングのあるカフェ(喫茶店)を探す。駅を出たところ、すぐ目の前に喫茶店があった。階段を上がり入ると、今どき珍しくタバコが吸えるようで、煙のにおいがムッと喉を突く。
席に座るなり、もう何十年やっているのだろう、女性のご主人が「コーヒーのセットでいいねー?」と言って去っていく。いいねも何も、メニューすらないのだからわからない。
一抹の不安とともに待つこと数分。ホットコーヒーにミルクとあられ、チーズをのせて焼いたトーストにゆでたまごを出していただいた。
まずコーヒーを飲む。うまい。次にトーストをかじる。失礼かもしれないが予想外にうまい。量が少ないのですぐ食べきってしまう。とても食べやすかった。「これで700円くらい取られるだろうか」と思ったが、何と300円だった。paypayなど使えるわけもなく、300円を、おばちゃんの若干ぬれた手に置く。
「ありがとう。いってらっしゃい」。
こうやって何年も、いや何十年も、熱田神宮に向かう人々を送り出してきたのだろうか。その手の湿り気に、胸がじーんと来た。

熱田神宮に入る。
鳥居をくぐるなり清浄な空気が全身を包む。内神さまが喜んでおられる。玉砂利を踏みしめながら奥へ。手水舎で手と口を清めると、その隣の空間に、注連縄を巻いた巨木があった。明らかにただモノではない雰囲気である。立札によると推定樹齢は千歳以上。写真を撮ると、虹のようなものが映った。実際これはレンズと光の関係によって起こった物理的な現象だろうが、ともかくもありがたい気がする。
その後本殿を拝し、神社内を周る。広くて美しい神社だ。こういうところを歩いていると、自分の魂的な部分、本質の部分が活性化されてくるのか、自分自身との対話によって自分自身がよくわかる。

一通り周り、宝物殿へ。アマテラスオオミカミからイチローまで、熱田神宮に縁がある神・人が渦巻き状に配置される形で描かれた絵画が飾ってあるのがおもしろい。中世以前のものとして、弓や槍の刃の部分、矢を入れる箙(やなぐい)、その他重要な文化財がたくさんある。室町時代のものは何だかオーラがあるような気がする。また、「これはすごい!」と思って解説を見てみると、重要文化財だったりする。
これらのお宝の数々は、「皇室をはじめ、将軍・藩主・一般の篤志家におよぶ広い層」(入場時にもらえるパンフレットより)から寄進されたものだそう。さすがに由緒ある神社である。

宝物殿の次は、草薙館へ。熱田神宮は、三種の神器である草薙剣を祀る神社である。その縁もあって多くの刀剣を所持している。草薙館は刀剣に特化した宝物殿のようなものだった。中には室町時代以降の刀剣が展示されていた。私は江戸時代後期の刀が特に美しいと感じた。しかし刀というものは恐ろしいものだとも感じた。また、刃渡りが約170㎝、重さが約5キロという大剣もあった。私は最初、これは儀式用の刀かと思っていたが、どうやら実際に戦場でこの巨大な刀を振り回して戦っていた武将がいるようだ。順路に従ってみていくと、最後は脇差、刀、大剣を持てるコーナーがあった。脇差は、意外と短いと感じる。刀は約1.2キロあり、重い。しかし大剣の重さは尋常でなかった。私の前に並んでいた女性は持ち上げられなかったほどだ。5キロといっても重さが分散しているため持ち上げにくいのだ。よくこんなものを馬上で振り回していたものだと思う。

2日目:昼。山本屋本店~久屋大通公園

草薙館も観終わった。滞在時間2時間。熱田神宮を出る。
バスで栄まで戻り、昼ご飯を食べるために「山本屋本店」へ。山本屋本店というのは、名古屋名物の味噌煮込みうどんのお店だ。これももちろん、前編の記事から触れている『放課後ダイノジ』で紹介されていた。
google MAPで場所を調べ、駅の近くにあるお店に行ってみる。時刻は13時ころである。たくさんの人が並んでいた。もう少し空いているところはないかと思い、駅から一番遠いお店に行ってみる。そこもかなり並んでいた。
結局、1時間ほど待って入店。グルメの道は厳しい。

しかし、これは素晴らしく旨い。豚肉入りのものを頼んだのだが、この豚肉がやわらかい。しかもたくさん入っている。うどんの量もちょうどいい。セットで頼んだので、つけものとご飯はお代わり自由。このつけものとご飯も素晴らしい。もちろんお代わりクンする。店の外ではまだまだ人がたくさん並んでいるはずだが、そのことを忘れてしまいそうになる。
山本屋本店の味噌煮込みうどんに大満足。お腹もいっぱい。

お腹がいっぱいになり、足も疲れた。近くのカフェ・ド・クリエで休憩。本当はコメダ珈琲に行きたかったのだが、見つけたお店は満席だった。余談だが、名古屋にはコメダが多い。ドトールとスタバとタリーズを足したくらいコメダがある(ように感じる)。そんなコメダに入れなかった。
足を休めたら、少し元気が湧いてきた。よし、歩こう!ベルギービールのビヤホールのようなイベントを行っている久屋大通公園を、矢場町側(南)に向かってグングン進む。しかしイベントエリアを抜けたところでやっぱり疲労の限界に気づく。ちょっと座れるところで目をつむったり、脚の体操をしたりして疲れをとる。もう一度気合が入ったら、今度は久屋大通公園の北の端に向かって歩き出す。

5分程歩くと、赤いスポーツカーが「ブンブーン!!」とうなった後、路肩でもめていた。思ってみれば、彼らの表現方法は愛嬌がある。「ぼくは怒ってるんだぞ!!ぶんぶーん!!」と言っているようなものだ。そのようなことをしてはダメだ。
そんなこんなでテレビ塔周辺の、芝生の上で若い女の子たちが写真を撮っているようなオシャレなゾーンを抜け、イベント的に行われている食器のマーケットを抜け、ついに北の端に到着。16:00から歩きはじめたが、時刻は16:45になっていた。短く刈り込んである芝生に腰を下ろす。

栄というのは、東京で言ったら渋谷のようなものだろうか。若者が多い。その若者たちがしていることは、買い食いと自撮りが多いようだ。実際、オシャレな場所でオシャレな食べ物の写真を撮るというのは気持ちのよいことなのだろう。ただ、いわゆる「遊ぶ」という行為には、名古屋も渋谷もない。どこも同じようなものなのかもしれない。

しかし、私は今慣れない土地にいてる。だからこそ、このどこでも変わらない光景にも新鮮味が生まれているのだ。そういえば、普段は気にも留めないが、すれ違う人々のファッションも気になる。栄はエグザイル的なファッションの兄ちゃんが比較的多い気がする。これは今栄で流行っているのだろうか。それとも渋谷も同じようなものなのだろうか。
逆に言えば、東京を歩いていても、私にストレンジャーの目があれば、さまざまな発見を楽しめるのではないか・・・足を揉みながらそんなことを考えた。

2日目:夕方~夜。名古屋場周辺を散歩、そして最後の飯

地図を見る。この位置からなら名古屋城も近い。歩き出す。もうかなり疲れたが、夜ご飯に向けて腹を空かせるためでもある。この旅の目的は、第一に食なのだ。
久屋大通公園から名古屋城に向かって歩く。右手に愛知県庁や名古屋市役所が見える。明治から大正風の相当に立派な建物だ。そして金シャチ通りを歩き、そのままチケット売り場まで。しかしもう遅い時間である。そこから引き返す。さらに北にある名城公園に向けて歩く、歩く。陽が傾く。もう足も大分疲労がたまっている。
17:40、電車で今池に移動。昨日の「味仙」で満足できなかったので、「ピカイチ」か「梅田屋」に行く計画だ。
しかし、ピカイチは満席。ならばと向かった梅田屋では「ごめん、今日貸し切りなんだわ」ということであった。
これはショック。まぁ、名古屋に「また来てね」ということなのだろう。ならば、「世界の山ちゃん」に行こう、と思い立つ。
一番近い店舗は450m先。よし、電車賃ももったいないし、歩くぞ・・・着いた。「1名ですが」「満席です」・・・。
これは一体どういうことだ。ゴールデンウィークに名古屋の名物を食べるのは、こんなに大変なことなのか。食の道も甘くはない。

もう、仕方がないので名古屋駅に戻ることにする。これはさすがに電車だ。「山ちゃん」を探す。Google MAPを頼りに歩く。しかし「あれっ?」見つからない。ええいままよ。地図ではなく街を見るのだ!地図に従うよりも、己の直観に従った方がいい。歩く、歩く、歩く・・・カウンター席が空いたスペイン料理のBARを発見。ここは候補!
しかし、一応、一応、可能性があるのなら、山ちゃんに賭けてみたい。幸い、山ちゃんは近くにあった。19:20。帰りの新幹線まであと2時間。山ちゃんの前に着く・・・行列!!スペインBARに決定!!

しかし、スペインBAR、非常に良かった。酒も食もメニューが豊富である。スペインのビール「エストレージャ・ダム」は330mlのビンで飲む。飲みやすく食べ物とも合う。スペイン風ポテトサラダのアリオリポテトサラダは、濃厚で旨い。次のお酒は・・・ラムコーラがあった。私はラムコーラがある店では絶対に注文する。店によっては「キューバリブレ」と書いてあることもある。パエリアもしっかりおこげがあったし、生ハムとトマトのピザも大満足。
そして最後のお酒に「どんぐりのお酒」という、「マチャキートリコール・デ・ベリョータ」をロックで頼んでみる。
どんな味か?・・・!? 意外や意外、ミルクチョコレートのような味だった。おいしい。
ゆっくりと飲み切って、20:30、会計を済ませ、最後に名古屋っぽいことを・・・と思い、名古屋駅地下のコメダ珈琲へ。「本場のコメダ」を味わうべくアイスココアを注文。東京のコメダと変わらずおいしかった。

21:00、閉店。もうやり尽くした。コメダのバカでかいアイスココアのおかげでお腹もはち切れんばかり。新幹線のホームへ。有名なきしめんを食べるお腹の余裕はもう、ない。
21:08、のぞみで名古屋を発つ。行きに6時間かけた分、新幹線の速さに驚く。
22:48、少し遅れて東京駅に到着。

たったひとりの、濃い2日間が幕を閉じた。

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