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240312◇『人間標本:湊かなえ』を読んだ

◎読む前

表紙の蝶がとても印象的で。ジャケ買いした本。「イヤミス」って「読後、嫌な気持ちになるミステリー」なんだ。知らなかった。最高傑作と本人もおっしゃっているみたい。楽しみ。

◎覚書

・最初の数ページ、口絵として少年の標本が何点か載っている。この時点で怖い。でも、美しい彫刻のようだ。

・多数の中の少数が、やはり可哀想な存在になるのか。

・捕まえてから墓を作るまでが一連だった僕に、標本を作ろうと提案する父。母が強くて止めたい理由はなんだろう。

・標本作りとなると急に距離を詰めてくる父。自分の猟奇的嗜好を引き継ぐためのものか

・標本として蝶を残すのに腹や胴体を犠牲にするのは知らなかった。メインは羽だものな

・人間も1番美しい時に標本にできればいいのにな。こういう父の思想を引き継いでほしくなかったのか、母は。

・蝶の見え方で風景を書いて標本を飾るのは素敵なアイデアだね。

・女の子には可愛いと感じるものが男が見るのと違って映るのは、蝶も人間の色の見え方が違うのと同じだね。

・どんどん人間標本が現実に近づいてきた。抑圧された心が、るみちゃんとの再会をきっかけに解放されてしまったか。

・蝶の標本の説明と少年の標本の作り方を丁寧にまとめてある。しっかりしたレポートを読んでいる気持ち。

・口絵にあったのはこれか。美しいけれど恐ろしい。

・ここまで、まだ本の厚さ半分くらい。どんな展開になるんだ?

・事件が明るみになった時の世間の反応。犯行の手記を小説サイトにアップしている。読者のリアクションや感想はこれらに近いものだと思う。

・否定的なものと、狂気の中の美しさを見出すものとコメントは様々。

・息子:イタルの自由研究「人間標本」!?今までは父がサイコなんだと思っていたが展開が変わるな。

・今まで父の手記と思っていたものはイタルの自由研究の内容で、イタルの犯罪を自分が引き受けるためにこのようなことを。イタルの繊細な心ではこれからを生きていけないだろうからと自分の手で。

・自分の息子がとんでもない犯罪を犯して、それを知った父の行動として正しいものだったのか

・数年後の話。るみちゃんの娘が面会に来た。お前なの?いやむしろお前の母が本当の根源なの?話の様相がどんどん変化し、引き込まれていった。

・殺さなくてよかった息子を手にかけた父の叫びが辛い。

・考えたとしても実行できない恐ろしい行為を、母からの認知が欲しくて、息子を守りたくて、実行してしまったのか。悲しみと狂気の連鎖だ。

・イタルのメモが見つかった後、世間はどう判断するのだろうか

・さすがイヤミスの女王、誰も幸せにならず、後味の悪さをとても感じる。

・ミステリーを読む以上、ハッピーエンドはあり得ないのだが、登場人物全員の運命が変わってしまった。

・読み終わった後の満足感が凄かった。

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