見出し画像

240121◇名前を得るということ

吾輩は猫であるとほぼ同時期に発売された「お前、犬なのか?」という作品をご存知だろうか。

役者犬の飼い主である主人公。
権力のある人を確実に見分けて甘える素振りを見せ、監督の求める瞬間に鳴く。
人の言葉を理解しているような、その立ち振る舞いを目の当たりにし、本当に「犬」という存在なのか疑い始める。その正体に迫るサイエンス・ファンタジーである。

マニアの間では評価が高かったものの世間に広まることは無く、有名作品の影に埋もれていった。

…そんなことになっても、私はしがない作家を続けている。ヒット作は無いままだが。
世の中に知られて初めて「名前」を得られるのかもしれない。
私自身にも、私の作品達にも、名前はまだない。

***
2022.5.29空白小説に応募したときの作品。供養させるために投稿。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?