見出し画像

240418◇『不器用で:ニシダ』を読んだ

◎ 読む前

Twitterで小説の書き出し1文目だけ書いているのを見て、とても興味が湧いた。タイトルと文章を見て、続きが読みたくなるんだよな。YouTubeやテレビでは相方のサーヤ氏の優秀さが目立つが、物書きにおいてはニシダ氏のセンスに脱帽だ。

◎覚書

★「遺影」
中学1年の夏休み、ユウシはクラスでいじめられている女子の遺影を作らなくてはいけなくなった。
貧しい親のもとに生まれてきたアミと僕とは同じタイプの人間なのに…。

・ユウシはいいように使われているだけなんだよな。表面的にいじめられているわけではないが、潜在的にはアミと同じように虐げられた存在な気がする。気づいてないのか、気付かないふりをしているのか。

・いじめに使う遺影なんかのために母の財布から金を盗るシーンは胸がギュッとした、辛かった。母は気づいてないのか、気付かぬふりをしているのか。

・遺影の作り方なんて考えたことも無かったけれど、店員にまんま聞くやつがあるか!?そういうところまでは頭が回らないのか。読んでいてヒヤヒヤしてしまった。

・自分の写真を入れることにしたユウシ。指示に反した行動だが夏休み明けは大丈夫だったのだろうか。ユウシもいじめられるようになってしまった?でもこれがユウシにとっての気持ちがいい行動だったんだよね。

★「アクアリウム」
僕の所属する生物部の活動は、市販のシラス干しの中からシラス以外の干涸びた生物を探すだけ。
退屈で無駄な作業だと思いつつ、他にやりたいこともない。同級生の波多野を見下すことで、僕はかろうじてプライドを保っている。
だがその夏、海釣りに行った僕と波多野は衝撃的な経験をする。

・馬鹿にされているように感じる、見下されているように感じるとあるが、裏を返せば自分のことをそう思っているんだと思う。

・単純作業。頭を使わない作業だけどいざ変化が起こると湧き立つよね。分かる。

・大量に買ったしらすはどこに消えるの?食べるにしても毎週は多いよ

・波多野との出会い。自分の良さを見せつけるための上辺だけの行動が気持ち悪いな。少しでも自分の良さを見出したいのか?

・立派なイシダイの胃からヒトの指先。捨てようという波多野の冷静さが怖いな

・大学生になった僕。うつか。ひとりになりたいのに、ひとりだと悪くなる病な気がする。わたしもそんな時期があった。

・停電して寒そうな熱帯魚を手で温めてやる優しさはある波多野。自分の手の中で小さいながらもひとつの命が消えていく瞬間を感じて、何を思ったのか。私なら怖くてできないかもしれない。

・波多野の人間らしい一面を見て、立場が変わってしまったように感じて絶望した?相対的にしか自分を評価できなかった末の結果だと思う。

★「焼け石」
アルバイト先のスーパー銭湯で、男性用のサウナの清掃をすることになった。新入りのアルバイト・滝くんは、女性にやらせるのはおかしいと直訴したらしい。裸の男性が嫌でも目に入る職場にはもう慣れた、ありがた迷惑だと思っていたわたしだったが――。

・女性が男性用風呂に点検で行く?流石に知らないな。題材にするくらいだから、ある話なんだろうけど気まずそうだね。

・逆ならセクハラと言われるのにね、不思議だね

・グアンさんの酔っ払いエピソードわろた。繰り返し話す古株の吉田さん、話すぎて上手くなってんじゃん。

・自分の潔癖なところも理解して、守ってくれる滝くんが良くなったの?

★「テトロドトキシン」
生きる意義も目的も見出せないまま27歳になり、マッチングアプリで経験人数を増やすだけの日々をおくる僕は、虫歯に繁殖した細菌が脳や臓器を冒すと知って、虫歯を治さないという「消極的自死」を選んでいる。
ふと気が向いて参加した高校の同窓会に、趣味で辞書をつくっているという咲子がやってきた。

・そんなに口臭酷いことある!?

・虚無感と共に生きる感覚はなんとなくわかる。自分のことを話させられるのが苦手なのわかる〜。共感できることが多いな。

・ちゃんと学生証で生年月日確認してるあたり慣れてる感はんぱないなあ。なるべく自然な流れで見ている。普段のキャラクターのせいかもしれないが、ニシダ本人の声やビジュアルで脳内再生される。

・虫歯の悪化が無限ループで怖すぎ。自分の事なのになんでしっかりできないんだろう。

・時計がステータスか。良いもの持ってる大人はかっこいいけれど、ブランド品ってなんだか持ちたくないなあ。見せつけてるかのようで。

・咲子は不思議な女だな。趣味で辞書作ったり、卒業文集に短歌のせたり。

・咲子ほど浮世離れした人だから、本当の自分を話せたのかもしれないな。

・歯医者のあの器具の名前はデンタルミラーだってさ。普通!

★「濡れ鼠」
12歳年下の恋人・実里に、余裕を持って接していたはずの史学科准教授のわたし。
同じ大学の事務員だった彼女がバーで働き始めてから、なにかがおかしくなってしまった。
ある朝、実里が帰宅していないことに気が付いたわたしは動転してしまう。

・年とると生き方がルーティン化するよな。外因で乱れると嫌な気持ちになりそう

・でもその要因が恋人じゃ、そのモヤモヤをどうしたらいいんだろうか

・同棲までが本当に早いな。何が彼をそうさせたのか。決められたルーティンを気分良く崩してくれる存在感だったのかも

・実里とのやりとりを見ていると、この人は人と付き合う必要ないような気がするんだよな。それなのに所有物にしておきたいのか、執着を感じる。

・バーで働く実里が朝になっても帰ってこない。雨の中転んでも全力で職場へ走る姿が普段と対照的だ

・たまたま残業になってしまっていただけだし、気にしていたLINEのアイコンや派手なワンピースについても疑念が晴れた。それとともにシンプルな好きという言葉が出てきた。

・失うかもしれないと分かると、いろんな雑音が取っ払われて本音だけが残るのかもな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?