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240506◇『東京都同情塔:九段理江』を読んだ

◎読む前

第170回芥川賞。タイトルが気になり読むことにした。

◎あらすじ

日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」。

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。

◎覚書

・建築に携わったタワーの名称のセンスについて脳内会議をしている。自分しか知らない思考なのに配慮する気持ち分かるな

・主人公のサラはカタカナ嫌いなのね。カタカナに親でも殺されたんかってくらい嫌悪感があるようで。漢字よりもカタカナ語の方が幅広く意味合いを取れるし、直接的じゃないから優等生な気がするけどな。

・その割に地の文にはカタカナ使うやん。

・ここまで言葉の話ばかり。本当に建築家なのか?

・ホモミゼラビリス。犯罪者とされていた人たちに対する新しい概念。同情されるべき人々

・AIとサラの思考はなんか似てる気がする。本来の問いから少しずつ話が広がる感じ

・15歳年下の友人、タクト。誰かのためじゃなく自分のために金や時間を使うタイプ。ショップ店員のタクトに一目惹かれて所謂ナンパでの出会い

・…ここまで塔の話があまり出てこないな

・塔は男性なのか、サラにとっては

・マサキの著書。マサキの思想もインパクトあるよな。人はみなはなから悪い人間はいない、置かれる環境で変化してしまうと本当に信じているんだな。

・マサキもいうほど恵まれた環境に生まれたわけじゃなさそう。歪まなかったのが不思議なくらい

・視覚から得た情報で相手を計るから、マサキが低収入非正規雇用だとは思わない。勝手な思い込みによるもの?

・建築家の女の人呼びはなんなの?

・普通なら他人には吐露しないであろう自分の弱さや思考を話し続けるサラ。タクトには気を許しているんだ。それとも若さを搾取している後ろめたさによるもの?

・マックスクラインの記事になる。東京都同情塔ができた後の話だ。シンパシータワートーキョーが公式なのに、同情塔の名称も浸透している。

・刑期を終えても誰も出てこない。自ら延長を希望している。

・タクトはサポーター(刑務官)になっていた。正規労働者になれて良かったね。タクト的には塔の中に自分を住まわせないとという意思があるようだが。

・同情されるべき生い立ちがあるなら入所できるらしい。

・日本語と外国語の混在がどうこうよりも、ソトとウチを使い分けていることが日本人の薄気味悪さの原因な気がする。無意識のままに体よくまとめておこうという感じ。

・マサキの塔オープン時の挨拶はなんだか怖いな。物腰柔らかな言葉で結果的には受刑者たちを塔に収めているんだもの。

・塔の中で起こることが描かれているだろうと思っていたから、拍子抜け感が、あるのかもしれない。勝手に思っていたことなのに。勝手に不完全燃焼。

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