240202◇『哀れなるものたち』を観てきた
予告を見て。音楽とか世界観が不思議そうだなと思っていた。夫は絶対見ないジャンルそうだし、私が普段から好むバチボコアクション映画でもないけれど。たまにはこういうのもいいかと思って足を運んだ。
◎あらすじ
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。
◎思ったこと
・自分の欲のまま人間は生きているのだなと思った。性欲とか権威とか知的好奇心とか。
・でもそれは最低限人間として生きていけるだけの環境がある人に限られるよな。そもそも貧しくて生命として活動していくことしか考えれない人もいるだろうし。「世界を見たい」という願いを持てるベラは恵まれた環境にいたのだろう。
・生は魅惑的。とても良いフレーズだった。本当にそうだもの。でもこれもまた生きることを最低限保障されている人に限るけれど。
・脳移植のノウハウが確立されとるな。あいつ、ヤギ将軍になっちゃったね。でもそれが世のためな気がする、ナイス。
・ベラの明らかな成長を感じる。今までは好き嫌いでしか物事を捉えていなかったように思う。嫌いなものは吐き出し、好きなものは騒いででも求める。外の世界への興味を持ち、美しく楽しい世界も、恐ろしく醜い世界も知る。好きなことを突き詰めていく姿も好きだったけれど、貧しい人を思い涙するシーンは慈しむ心を持てたことに感動した。
・今までは本能的な生き方だったけれど、自分以外の存在のことを考えられる知性を手にしたのかも。
・周りの人の存在は自己の形成に大きく関わるな。ダンカンみたいなくそ野郎もいたし、セレブで知的な人もいた。金持ちなだけで中身は空っぽそうな人も。娼婦の家のママや思想が違い友達もできた。自分の中で思考を深めることも大切だけれど、他人から得られる感情や考え方ってあるよな。
・誰かのことを思って財産をあげられても、他の誰かによって騙し取られてしまっていて。いろんな思考を持つ人間ばかりの世の中を生きていくためには、善行ばかりではなく、視線から避けがちの嫌な部分を知っておかないといけないんだな。
・ゴッドの父がマッドすぎる。自分の息子すら実験台だったか。だからこそ権威ある医師になれたのかもしれないけれど。感情を排除した結果得られたものなのかも。
・景色や船、建物が少し異次元めいている。馬車かと思ったらエンジンで動いているし、船のフォルムも模型みたいだし、実写映画なのにふと次元が違うのものが入ってくるところが不思議だった。
・ベラは感情を無視した思考ができる人なんだな。娼婦になるのもお金や経験を得るためだったし、ダンカンと駆け落ちするのも自分がほしい世界への旅のためだったし。
・自分にないものを持つ人に惹かれるから、周りにのみんなを魅了してきたのかも。
・肉体が蘇生しても中身は別人だからな。生き直しというわけでは無いよなあ。
・映画の始まりはモノクロな世界。だんだん世界を知るにつれて色のある鮮やかな世界へ。いい表現だった。序盤は結構外科的なグロさが多かったから、本当にモノクロでよかった。
・エンドロールまで美しかった。文字は読めないけれど、綺麗な風景を楽しめた。
・いぬとりもとりいぬもかわいい
・ベラの着る服が珍しく、かわいいデザインのものばかりだったな。誰のセンス?ゴッド?子供を持てなかったからこそ、愛を注いでしまったのか?
・今さらだけれど、めちゃめちゃR18だったな。こういう作品こそ子供に見せてみたら刺激になって成長するんじゃない?と無責任なことを考えてしまった。
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