ティール組織を再読して、モヤモヤがスッキリ

数年ぶりにティール組織を再読してみました。久々に読み返すと、目指す方向性が見えて新鮮でした。最初に読んだときは、ティール組織をゼロからつくることは面白いけど、オレンジ(達成型組織)をティールにするのは大変な作業になるな程度にしか感じていなかった記憶があります。

ただ、この数年の環境変化の中で、組織の仕組み自体も根本的に見直すときにきていると思い、改めて「ティール組織」を読み直してみました。結果としては、何かモヤモヤしていたものがスッキリした感覚になったので、備忘録も含めてnoteにしようと思います。なので、ティール組織の全てを要約しているのではなく、自分たちのチームをどのような方向にしたいかという主観が多分に入っていることはご容赦ください。

組織の発達ステージ

まず、前提として、ここで書いてある発達ステージは、

・あくまで「組織」のステージで「個人」のステージではないということ。
・「組織」のステージは明確に区分できるものではないということ。
・ティール組織はあらゆる組織と比べて、最も優れたモデルであるとは言い切れないということ。

が注意点になります。ちなみに組織ステージを簡単にまとめると、こんな感じです。

衝動型組織(レッド)
圧倒的な力を持つトップが支配する恐怖支配(オオカミの群れ)。

順応型組織(アンバー)

軍隊的な上意下達のヒエラルキー組織(軍隊)。安定したプロセス。明確な階層。変化はしない。

達成型組織(オレンジ)
成果により昇給可能なヒエラルキー型組織(機械)階層構造×プロジェクトチーム。目標管理・KPI。

多元型組織(グリーン)
ボトムアップ型の組織成果より人間関係を重視(家族)あらゆることをコンセンサスで決める。権限委譲×価値観×社会的責任

進化型組織(ティール)
進化する組織。個人も組織も進化し続ける(生命体)自主経営×全体性×存在目的。

現在の民間企業のほとんどが達成型(オレンジ)とのことですが、この点は非常に納得です。

ティール組織について

最初に読んだとき混乱したというか実現可能なのか?と思ったのが「階層構造の廃止=役職の廃止」でした。理由は、意思決定は?報酬の決め方は?予算は?といったことを考えてしまうからでした。今は「実現可能かも」と思えるようになったので、個人的にティール組織のポイントである自主経営・全体性・存在目的の3つについてまとめてみました。ただ、個人的には既存組織を変革するためには「自主経営」というところから入るのがベターかと感じているので、自主経営中心にまとめています。

自主経営(セルフ・マネジメント)

ティール組織では、自主経営という組織構造を取ることがポイントの1つです。その中でも、特に重要だと感じたポイントをまとめてみました。

<意思決定について>
ティール組織では、原則として組織内の誰がどんな意思決定をしてもOK。ただし、助言プロセスを踏むことがポイント。

💡助言プロセスとは、
・意思決定に関わる全ての関係者とその問題の専門家に助言を求めなければならない
・助言に従わなくてもよく、意思決定はあくまで自分自身で行える

信頼関係が大前提になると思いますが、実はティール組織では自由と責任のバランスを取ることがポイント。いくつかありますが、個人的に重要だと思ったポイントは以下です。

💡役割の決定・配置
ティール組織では、役割が明確に定義され、責任範囲も明確にします。逆に職務記述書などはありません。もちろん、この役割・約束もトップからの指示ではなく自分たちで決め、状況によって柔軟に変化させます。ただし、ティール組織は信頼関係が前提の上で、自由と責任のバランスが重要になります。
💡全責任
「この問題については誰かが何かをしてくれるはず」と言ってそのままにしておくことは、ティール組織ではNG。何かの問題や機会を見かけたら、それについて何かをする義務を負い、たいていの場合は問題に関連する役割を担っている人とそれについて話す。
💡役割の交換
役割の決定・配置を柔軟にするためのプロセスの1つ。出てきた事例で面白かったのは「役割のマーケットプレイス」。以下の観点で自分の役割を+3〜ー3の範囲で点数化し、役割の交換を簡単にしている事例。
・自分にとって、元気が出るような仕事か(+)・疲れてしまう仕事か(ー)
・自分の才能が活かされているか(+)・活かされていないか(ー)
・今のスキル・知識は役立っているか(+)・邪魔になっているか(ー)

<紛争解決メカニズム>
意見の相違は、明確に定められた紛争解決メカニズムを通じてメンバー間・当事者同士での解決が図られます。よくある組織では、お互いの上司同士で解決したり・当事者とは別の密室空間で解決したりすることが多いと思いますが、それはNG。

・当事者が相手に意見の一致を図ろうと働きかけることから始まる。
・まずは直接会って、二人だけで解決しようと努力する。相手にお願いしたいこと(要求や決めつけではない)を明確に伝え、相手も明確に答えなければならない。
・両者が合意できる解決策が見つからなかった場合、二人が信頼できる同僚を調停者に指名する。指名された人は二人が合意点を見つけられるようサポートするが、解決策は強制できない。
・調停がうまくいかない場合、その問題に関連する同僚たちによる委員会が招集される。委員会は解決策を強制できないが、合意形成のフォローをする。
・意見の不一致は個人的なことなので、全ての関係者は紛争解決プロセスが終了した後も秘密を守ることが期待されている。

そのため、新入社員のオンボーディングでは、この紛争解決プロセスの教育訓練をすることが重要なプロセスの1つになります。

全体性(ホールネス)

全体性を一言で言うと、職場用の仮面をつけずにメンバーがありのままの自分自身を出すこと。心理的安全性に近い考え方かなと考えています。ここの部分を読んでいて思ったことはティール組織のリーダーの役割は?でした。リーダーという概念すら曖昧な気もしますが、この全体性(ホールネス)を構築・維持しやすい環境づくりの支援が重要な役割なのかと思いました。

存在目的

ティール組織では、環境の変化などに応じて組織の目的も常に進化することが前提です。ティール組織のリーダーは、常に耳を澄ませ、「なんのために?」と組織の存在目的を確認し続けることが必要です。その結果、組織が陳腐化していくことを防ぎ、生命体のように組織自身を変化させ続けることができます。
わかりやすい事例が、会議における「誰も座らない椅子」という空席です。これは「組織の存在目的」を表すもので、常に目的を確認しようというメッセージであり、また必要に応じて、誰かが着席し組織の声を代弁することができるというもの。

ティール組織へ移行するなら

もし、ティール組織へ移行を進めるなら、こんなステップかと少し想像してみました。いきなり全社ではなく、自分たちのチーム内で進めるならという前提です。

<自主経営>
1. 全メンバーの役割ボードをつくり・共有する
2. 助言プロセスを入れてみる
3. 紛争解決メカニズムを入れてみる
4. 評価プロセスを変更する

<全体性>
1. 行動指針を見直す
2. ミーティングの慣行を変えてみる

<存在目的>
ありがたいことに、会社全体としての存在目的は明確に定義されています。そのため、自分たちのチームの存在目的を定期的に確認・修正するプロセスを組み込むかどうかを考えてみようと思います。

最後に

ティール組織の全てを網羅的には要約できているとは思いませんが、達成型組織から見たときに感じる違和感を中心に整理してみました。少しずつ実践していくので、こちらの記事も少しずつ進化させていけたらと思います。

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