Road to the Arima(ひとり有馬温泉)
日本三名泉の一つ有馬温泉。この度、3度目の訪問。歴史もあり、泉質も特異、関西屈指の温泉ですが、実は一人で泊まるのは、正直ハードルが高いのが有馬温泉。素晴らしい有馬温泉をどのように楽しめるのか、まだ道半ばですが、綴ってみたいと思います。
新神戸から有馬温泉へ
バス、車、徒歩、電車と有馬温泉へのアプローチはバリエーション豊富。徒歩というのも、六甲山経由で行くことも、本気で悪くない選択肢なのです。
今回は、別用で関西に来たので、新神戸から神戸電鉄経由で向かいます。その前に、「新神戸」の裏名所に立ち寄ります。
六甲山の駅裏名所へ
新神戸からは、ハーブ園行きのロープウェイもありますが、おススメ、まさにこの「裏」名所。
橋の下には、斜面に対して、不自然に直線的かつ斜面に並行して流れる川があり、こちらは断層に沿った川なのでした。
さて、一つ目の滝が見えてきましたが、歩いて10分のエリアに4つの滝があり、総じて「布引の滝」と言います。那智の滝、華厳の滝と共に、日本の三大神滝とのことで、古来和歌にも多く詠まれているらしい。二段の滝でむっとした天気を吹き飛ばしてくれました。
六甲山と言えば、お墓とかに使われている御影石(花崗岩)が有名なのですが、六甲山に登ってみたい理由の一つが、自然石としての御影石見てみたいなぁというところでした。ちょうど、落石防止のネットをじろりと見たところ、確かにこれは、御影石!
六甲山はやはり花崗岩の山でした。眼下には、綺麗な川が流れていますが、新緑に覆われ、2つ目、3つ目の滝はほとんど見えず…。
着きました、布引の滝(雄滝、夫婦滝)。高さ43mから流れ落ちているのが雄滝、寄り添うように夫婦滝。
45分、1時間弱あれば、十分に楽しめる、新神戸裏名所でした。いつかは、六甲山から有馬温泉へのアプローチ是非、実現したいです!
新神戸から有馬温泉へ
新神戸駅から、市営地下鉄の北神線に乗り換えます。2020年に北神急行電鉄から神戸市へ事業譲渡されたようです。これで一気に、神戸電鉄の谷上まで、行けるんです。
有馬口まで5駅、南側に六甲山を眺めながら、起伏のある線路をひた走る神電。ローカル線的な路線ですが、関西圏のベットタウンでもあり、沿線には新しい住宅も多く、乗客も多いのです。有馬口の二つ前の神鉄六甲という駅は、昔は六甲登山口。10分強で、有馬口に着いてしまいます。
ここからは一駅の盲腸線。関東だと京王線の高幡不動-多摩動物公園のような感じで、緑の中を駆け抜け、急こう配を登ります。結構な登りだと思って標識を見たら、40%もあり、昔の電車では登れない勾配です。
有馬トンネルを抜ければ、すぐに有馬温泉駅です。
有馬温泉探訪(その1)
まいど、温泉地に着くまでに、長いテツ絡みの前座の話が多いですが、今日もここからが本番。
有馬温泉は日本三名泉(草津、下呂、有馬)であり、かつ日本三古泉(有馬、道後、白浜・湯崎(和歌山))の一つでもあり、両方に名を連ねているのは有馬だけ。古くは日本書紀や万葉集にも出てきてしまうのでした。
さて、駅を降りて、太閤橋という交差点。その名の通り、有馬温泉、中興の祖でもある秀吉が足繁く通った温泉。なんと、記録上、計9回だそうです。
太閤通りを左に折れて、すぐに見えるのが「金の湯」。有馬温泉には、大きくは、金泉、銀泉というのがあり、この金泉に浸かれるのが、この「金の湯」。金泉は、「含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉」というちょっと他ではお目にかかれない泉質。塩分は海水の1.5倍、おそらく加水しないと、熱いのと塩辛いので、入れないのではないかというほどの濃ゆい湯。火山もない、海も遠い有馬にどうしてこんな湯が湧くのか、謎だったのですが、どうも、日本列島の下にもぐるプレートにわずかに含まれる海水成分が地表にできているということが最近分かったとか。プレートの動きと位置するところから逆算すると600万年前の海水ということになり、信じられない年月を経た湯に浸かっていることになります。
金泉は、湧出時は透明で、しばらく置いておくと酸化して茶褐色になります。蒸発残留物の量も26.35g/kgと他の温泉と比べても一桁多いのです。久しぶりの金泉に浸かりながら、歴史を感じるというか、地球の営み・大地のエネルギーまで感じてしまうような霊妙な温泉なのでした。
そして、銀泉は、金に対して銀ということで、無色透明のお湯ですが、有馬では、二種類あります。一つは、有馬名物炭酸せんべいの源になっている炭酸泉ともうひとつ無色の放射能泉の源泉もあるのでした。
銀泉に浸かれる「銀の湯」は、後ほど。
さて、「銀の湯」の方に向かって歩きます。金泉の源泉が何か所かあるので、そちらも少し見ながら…。
戦後に掘られた源泉で、老舗旅館の「陶泉 御所坊」の裏で出たところからこの名前が付いたとか。
もう少し歩くと、温泉寺があり、建立はこの行基菩薩。温泉を使っての治療や祈願もしたことでしょう。有馬温泉は、日本書紀にも記されているのですが、大火、地震、大洪水などで、壊滅的な被害を受けるも、その時々に復興する者が現れて、復活するのでした。平安末期には大洪水にあうも、鎌倉時代初めに、仁西上人が再興し、12の「坊」(僧侶の宿泊施設)を営んだとか。この今でも、有馬温泉の老舗には、御所坊、中の坊瑞苑、角の坊などの「坊」が付く宿が多いのもその名残。
投宿はモルゲンロート
温泉街の中、「銀の湯」のすぐ側にある山と自然と温泉を愛する人の宿、モルゲンロート。こちら、ドイツ語でMorgen(朝)、rot(赤)ということで、山登りで朝に山肌が赤く染まる現象からのネーミングです。
ひとり用のお部屋、とても綺麗で山小屋という部屋ではありません。小さなキッチンも付いており、自炊可能。ファミリータイプの部屋もあるとのことで、一人から家族連れのハイカーもOK。
さて、過去二回来ているんですが、学生の時に初めて訪れた時には、どうも宿の記憶がないので、日帰りだった模様。おそらく安く泊まれるような宿を見つけられなかったのだろうと。しかし、あの茶褐色の金泉の記憶だけが、鮮明に残っています。
前回泊まったところは、駅から徒歩1分の「メルヴェール有馬」。繁忙期は会員の方の宿泊優先ですが、お一人様プランもあり、金泉・銀泉と、露天風呂もありで、朝食付きは、有馬温泉では比較的安価な方かと。
有馬温泉に、隠れ家のような宿あれば、是非教えて欲しいです^^)
有馬温泉探訪(その2)
温泉街探訪の続きは、夕暮れ前に、どうしても見ておきたい「太閤の湯殿館」に向かいます。有馬温泉では、昔から「太閤さんの湯殿がある」との言い伝えがあったようですが、95年1月の大震災の時に、極楽寺の修復の際、|庫裏(倉庫)下から出土しました。
蒸し風呂の遺構も見つかったということで、別府は鉄輪温泉にもありましたが、サウナのように使って治療・療養に使われたようです。
「湯殿御殿」と呼ばれたこの館は、結局、訪れることなく、秀吉は亡くなります。そのあと、家康の世になった時には取り壊され、そのあとに極楽寺と念仏寺が建てられたそうです。そして、家康は有馬の地を踏まなかった…。
少し、温泉街を歩きます。メインストリートは東西に延びる湯本坂。こちらは軽自動車が一台やっと通れるような道です。
有馬温泉でのおススメは「炭酸源泉公園」
温泉街を一通り歩いて、有馬温泉で一番のおススメの場所に向かいます。温泉街の東にありますその名も「炭酸源泉公園」。銀泉の炭酸泉の一つになります。
炭酸源泉は昔「毒水」とか呼ばれて、人が近づかなかったそうです。(たしかに炭酸泉飲んだらビリビリ来ますからね)明治になってから、炭酸泉は有益ということが分かったのでしょう。
「有馬ではこの炭酸泉に砂糖を入れ、サイダーとして飲まれました」との記載。蛇口ひねれば、サイダーとか、もうドラえもんの世界です笑
前にいた、20代カップル?は、
男子「炭酸泉、飲めるって、書いてあるよ」
女子「えーっ、飲んでみよう~」
と、ふたり手ですくって、飲んでましたが、そのあと無言…。
女子「まぁ、ちょっとね…」
という一言で、何の感動もなく立ち去りました(^^;
『いやいや、こんな飲みやすい炭酸泉、かつ濃いめの炭酸あまりないんですけど!』『強炭酸飲料飲み過ぎでしょ?』と心の中でつぶやいておきました。
実際は、やや鉄分臭さはあります。しばらく放っておくと黄色をおびてくるということです。昔、てっぽう水として、売られていて、今は下記ような装いで、売られております。個人的には源泉公園のオリジナルの方がスキ。
ちなみに、「ラムネ」の語源は、lemonedeから来ているとのことで、レモネード→レモネ→ラムネという感じですかね。
炭酸泉から繰り出されたもう一つの産物は、炭酸せんべい!
こちらは有馬温泉にもいろんな種類があるのですが、個人的に気に入っている炭酸せんべいはまたどこかでご紹介。道半ば、もうちょっと食べ比べてみたいです。
さて、今回は、源泉公園のすぐ下に、泉堂という工場兼販売店を発見!土曜の午後、中では4名の従業員の方が、黙々と炭酸せんべいを造られておりました。
プレーンの炭酸せんべいを購入。甘さは少なめ、子どもから年配の方まで食べられる素朴な炭酸せんべい、是非ご賞味あれ。
夜はホテルモルゲンロートの向かいにある「銀の湯」浸つかりました。
銀泉の炭酸泉と放射能泉をブレンドしているのですが、「日によって、湧出量が違う」からだそうです。しかも放射能泉はもっと山の奥の方に源泉があるとか。炭酸泉の水風呂があったら、なお良いだろうなぁとは思いますが、そこまでの湯量はないのでしょう。
今回の有馬温泉はここまで、いつの日か老舗旅館に泊まり、六甲山も歩きながら、書いてみたいところです。
次の日は、有馬から能勢に移動、こちらで、浄瑠璃を観てまいりました。
続きは後日。 (2023.6.24)
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