弱火なファンでもコトコト煮ることはできる

大学に入った頃、ちょうど世間はAKB48が流行っていました。
初めてipodに入れたアイドルソングは「ポニーテールとシュシュ」

ただ、推しメンのような形で好きになれることはなく、顔と名前が一致しない大人数アイドルの歌を聴いているだけの形でした。

2021年末、仕事を退職して途方に暮れていた僕は、「日向坂46」に元気をもらい始めました。
お笑いコンビのオードリーさんが好きでYoutubeで辿って行った先で冠番組の「日向坂で会いましょう」を見つけ、
そして歌を聴き始め、すっかりファン(おひさま)になりました。

元々、人の顔と名前を覚えることが苦手で、
しかも登場のたびにメイクや服装が大きく変わるアイドルの方を覚えるのは容易ではありませんでしたが、年が明ける頃には、誰が何期生で、誰がユニットを組んだかくらいの知識を吸収していました。

このように「日向坂46」にハマっていく中で、なかなか決まらなかったのは、自身の推しメン。
本当は箱推しをしていたい、でも例えば、一人誰かのグッズを買うなら、オンライン握手会(ミーグリ)に参加するなら、、?

悩んで考えた答えは、「日向坂で会いましょう」での天然ボケな感じと、MVなどでのカッコいいダンスのギャップに惹かれた「潮紗理菜」さんでした。
その潮さんは、先月グループからの卒業を発表され、12/9のライブで卒業セレモニーが開かれました。

これまで、ちゃんとアイドルのファンになったことのなかった僕にとって、「初めての推しメン」であり、「初めての推しメンの卒業」でした。
先週の「日向坂で会いましょう」でも卒業企画がありましたが、実際に目の当たりにしてみると、来週からもう観られなくなる実感は中々湧かないもので驚きました。

残念ながら、僕はライブにもミーグリにも参加できたことのない弱火のおひさまなのですが、それでも応援している気持ちはしっかりとあります。
そんな気持ちを表した(?)科学的なものを目指した何かを今年の3月に書いてましたので、記録しておこうと思います。


元々、下記のコラム(ポッドキャスト用の原稿)は、当時やっていたポッドキャストでのリクエストに応えたものでした。

ちょさんの、アイドルグループ:日向坂46についての科学的深掘り話を聴いてみたい。

ガチなおひさまがみて場合は、低レベルのやつがごちゃごちゃ言ってる程度に受け止めて頂けると嬉しいです。
本当は僕もライブの最後に虹を作りたいんです。。🌈

趣旨に沿うように科学的な話に持っていけるように構成しましたが、前置きが長いので、
おじさんがアイドルを語るのが辛くなったら、ぜひ皆様の健康のためにも、中断してくださいw
と言うわけで、まず、「日向坂46」というグループをご存知でしょうか?
簡単にwiki様から引っ張ると

日向坂46は、日本の女性アイドルグループである。

wiki様

彼女たちがデビューした時には、漢字欅が別にあって、その妹分として結成されました。
妹分という表現は、可愛らしく聞こえますが、実際は2軍のような扱い。
そこから3年半後、日向坂と名前を変えて一軍のアイドルグループとして、
初めて単独名義のシングルCDを発売することになる訳です。長い下積み時代を経験した他の坂道グループとは異質のグループです。
今では、デビューした2019年から昨年まで4年連続紅白出場を果たし、
オーディションをすれば、全国の女の子5万人超が応募するような
大人気グループへと成長を遂げました。

*************************

2021年の秋くらいにyoutubeをザッピングしていて、
大好きなお笑いコンビのオードリーさんからたどり着きました。
冠のバラエティを見ていると、初めは全然対応できてないんですよね。うまく話せてなかったり、その場でうまく対応できていなかったり。
でも、段々各メンバーが成長して、
持ち前のチームワークの中に個々人の個性をうまく出せるようになっていく姿に
すごく惹かれていきました。また、MVとかを観ていると、バラエティと違い
「あ、この人たちこんなキラキラなアイドルなんや」と驚いてしまう
そして、曲やダンスの凄さにもう一度驚いてしまう。他のアイドルのことはあまりよくわからないけど、
歌やダンスを覚えることはもちろん、テレビやラジオの出演や、ファンへのサービスなど非常に大変なお仕事。
そのハードワークを続けつつ、厳しい世界の中で生き残っているだけでも本当にすごい。

*************************

純粋なMVではないのですが、公式のYoutubeチャンネルに公開されてる「ひなリハ」というスタジオでのダンスリハーサル動画を非常によく観ています。
そのうちの「青春の馬」が本当に好きで、純粋なMVより多分見てますw

本家MVより見ている理由は、本当に恥ずかしいのですが、
2番のBメロに純粋な曲にはないアレンジがあって、それがすごい心に来るんですよね。
推しメンの話にも関連するのですが、この曲のひなリハの見どころは、1番のBメロの最初の短い時間に、右前にいる人が全メンバーの後ろを回って左端に大移動するメンバーがいるところなんです。
おひさまの間では「潮の大移動」と呼ばれる、このパートでお馴染みの
潮紗理奈さんが推しメンです。
本当はみんなが好きで、箱推しなんですけど、無理やり選ぶとしたらですけどね。
このダンスもそうですが、全体のことも考えつつ、
いつも本気で頑張っている様子にいつも元気をもらっています。

**************************
さて、やっと科学の話に行きましょう。
「他人の頑張りを見て元気をもらう」みたいな現象ってなに?って話です。

皆さんは他の人の振る舞いなどから勇気づけられたとか、
モチベーションが上がったこととかありますか?

こういった、「頑張りは伝染する」現象は人での心理学的な研究からも指摘されています。
2016年にベルギーの大学の研究者たちは、同僚が仕事のパフォーマンスに与える影響とは何か?という疑問を抱きました。
これ以前の研究は、他者の存在のみに注目しており、他者の行動特異的な影響については触れていませんでした。
そのため、これまでの研究の多くは、他者の単なる存在と不在を比較していました。
そこで、筆者たちは、課題の遂行は、単に他者の存在に依存するのではなく、その他者の努力の程度に依存するかどうか、
すなわち、努力の発揮が伝染するかどうかを検討しました。
実験を簡単にいうと、2人1組になって課題をそれぞれ解いてもらうのですが、相方がより難しい課題をやっている時に、参加者は難易度が変化しなかったとしても、より課題を頑張って取り組む傾向が認められたことを報告しています。
このようにヒトの実験で他人の頑張りが影響する現象が心理学の視点から明かされています。

そうなるとどうしてそんなことが起こるんだろう?と疑問が浮かびます。
一つの可能性は「ミラーニューロン」という脳内の神経細胞群の関与が指摘されています。
「ミラーニューロン」は1992年にイタリアの大学の研究者たちが、サルの実験から見出しました。
彼らは、サルが手で物を掴む行為の神経活動を調べていたところ、
偶然にも、研究者が手で物を拾うといった行為をサルが観察する際にも、これらのニューロンが活動することを発見しました。

つまり、「ミラーニューロン」は実行する行為と、観察する行為が対応するときに活動する神経で、他者の行為を観察者の脳内に映し出しているように見えることから、「ミラーニューロン」と名付けられました。

後にヒトにも類似した脳活動が見つかっていて、私たちの共感に関係するのではないかとも考えられています。
最近では、育児本とかにもミラーニューロンを活かして教育しましょうみたいな文脈のものがあったりしていて、一般的にも認知されていそうな機構です(この文脈については全面的に賛同している訳ではありませんが、現象論としては割と真実に近い気がしています。ただし、過剰な推論も混在している書き手が多いので、注意が必要です)。

しかしながら、2016年の早稲田大学の研究によると、他人の頑張りを見た時に活動する脳領域は、ミラーニューロンとは関係ない領域であったことを報告しています。
このことからミラーニューロンは運動の真似や目的を把握するのには重要そうだが、感情の部分までは反映してないのではないのかという説も出てきています。

このように「頑張りが伝染する」現象の存在は証明されつつありますが、
細かいメカニズムについては、まだわかっていません。
ミラーニューロン自体の研究はまだまだ続いていて、霊長類の研究は様々な難しさが伴うのですが、最近 (2023年2月 Cell誌) マウスに霊長類のミラーニューロンに似た神経が見つかるなどしているので、もう少し簡単な動物モデルで研究が進むことが期待されます。
実験タスクももう少し、「共感」に迫れるいいタスクをデザインできるといいんですけどね。。

ミラーニューロンがこの現象のメカニズム解明の糸口になるかはわかりませんが、少なくても、他人を自分の世界に投影する神経機構の解明には繋がりそうです。

*********************************

僕の場合は、頑張りを分けてもらえる対象が、
たまたま「日向坂46」だっただけで、例えば、
厳しい練習と熾烈な戦いを乗り越えてきた高校野球の球児の姿でもいいですし、
努力、友情、勝利な漫画のキャラだっていいし、
キラキラビジネスパーソンだっていいと思います。

きっと人それぞれ、タイミングによって「頑張りを分けてもらえる」
対象は変化するのではないでしょうか?

こんな話したら、ガチじゃねーかと言われちゃうかもしれないけど、
「もう働けない」となったくらいしんどい時期に出会いました。
その暗い時代の心の支えになってて、日向坂に出会ってなかったら今の僕はないかもしれません。
お金ない、モテない、報われない、そんな20代を過ごした僕だからこそ、
結成当時、すでにあるグループの2軍のような扱いを受けていた日向坂46が、
こういう曲を歌いながら、成長していって、
今や4年連続紅白出場を果たすなど、太陽のように輝いているのを見て、
自分の理想や憧れに重ね合わせている部分もあるのかもしれません。

そして、その姿に励まされ、勇気をもらっていました。
今回紹介した「青春の馬」という曲は「The easy way has no meaning」楽な道は意味がないと、
厳しくも辛い道の先の未来を照らしてくれるような結びになっています。
僕が頂いた勇気をこの曲を通じて皆様にお裾分けできると幸いです。


こんな記事を恥ずかし気もなく公開できるのは、ちゃんとファンだからだぞとダメ押しさせていただきます。

2023年は潮さん以外にも数人のメンバーが卒業、活動辞退を発表し、そして今年は紅白にも選出されなかったりなど、グループ全体が新たな課題と向き合う年でした。
そんな苦境に立つグループに、以前元気と勇気をいただいた分以上に、
#もう一度高く跳べ日向坂  と僕も今後も応援を続けていきます。

ここまでファンになれたのも、潮さんのお陰で、とても感謝しています。
潮紗理菜さん、ご卒業おめでとうございます☘️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?