パラレルキャリアエッセイ_表紙画像

新企画『パラレルキャリアエッセイ』挫折の先に見えたものは?

今回からスタートした「パラレルキャリアエッセイ」。 
いつものchoice!の提案型の記事とは違い、パラレルキャリアをスタートするまで、そしてスタートしてからの行動や心の動きを丁寧に綴ったエッセイです。
今回の更新は通常通り水曜日更新ですが、次回から書き手は2人が担当し、2つのストーリーを第1土曜日と第3土曜日に、3回読み切りで交互に更新します。
第1土曜日は、キャリアアップを目指す主人公Kのストーリーを、第3土曜日は挫折を経験したAのストーリーをお届けします。
これからパラレルキャリアを築こうとしている読者の方に、リアルな実体験を伝えることで、一歩を踏み出す勇気になればと思い企画しました。
第1回目は、大学時代に挫折を経験したAのお話からスタートです。


あれから10年経った。

田舎道を走る通勤電車。乗り場へ急ぎ足で駆け上がり、空を見上げひとつ息を吸う。
今日も一日が始まる。私はいまここにいる。



初めての挫折

私が大学へ入学して数年経った頃、電車に乗っている時間が時々辛くなるようになった。

高校時代も1時間半以上電車に揺られて通学していたのだから、電車酔いではないはずなのに。変な汗をかいたり、気分が悪くなったりすることが増えた。

病院を受診し先生から出た言葉は、「休息が必要、これが一番の薬です。」

自律神経失調症の診断だった。


そこから休学期間に入り体調が戻ったら復学する予定だったが、思うようには回復せず、最終的には中途退学を選択せざるを得なくなった。
今までどちらかといえば優等生の人生を歩んできた。先生や友人からの信頼も厚かったように思う。

そんな私が大学を途中で退学するなんて。自分で選択した道ではあったが、それがとてつもなく恥ずかしくて、自分が一番認められなかった。自分をひどく責め続けた。

4歳の頃からバレエを続けてきた私は、バレエの先生になりたい!舞台にずっと立ちたい!と、そんな思いで青春時代のすべてをバレエのレッスンに捧げてきた。
そんな前向きだった私が、次第に内にこもるような性格になっていった。
それからの約3年間はあまり記憶もなく、楽しい思い出もあっただろうに、今となっては上手に思い出せないこともある。

自信が持てない

大学を途中でやめたことが私の中で大きな大きなコンプレックスになっていた。今までどうしてあんなに自信をもってスポットライトの当たる舞台に立っていたのか、自分でも不思議なくらい内気な性格になっていっていた。

リハビリの一環でアルバイトも始めたが、今までのように根気よく続けることができなかった。自分のことを自分が一番嫌いになっていた。

そこからは自分を癒す方法を求めるように、音楽療法(ミュージックセラピー)の勉強をしたり、祖母のお世話をするために介護の資格を取得したり、介護施設でのボランティアを続けたりと、「誰かの役に立つ私」を軸にしていた。

何もできない自分が、少しでも社会で役に立っていると思いたかったのかも知れない。


「書くこと」が小さな自信のきっかけに

「自信」というものを、自分がどうやって持っていたのかも分からないような低迷期に、私は今の夫と出会った。

夫は私に○○しなさいとは絶対言わない。私が途中やめにして放棄しそうなことにも、強制するような言葉はかけない。したほうがいいんじゃない?とか、がんばってみたらいいんじゃない?だとか、提案するだけだ。

○○しなさい、と言われていたら、いくら夫が年上とはいえ、その時の私は強く反発していたと思う。そして、いいと思ったことはすぐ言葉に出して素直に褒めてくれた。
私が作った何の変哲もない焼きそばでも、お店に予約の電話を入れている私の姿をみたときも、「おいしいね~!」だとか、「感じがいい応対だね~」だとか、褒めてくれた。

自信というものをすっかり失っていた私には、こんなことで褒めるなんて、と思いながらも、内心とても嬉しかった。

特に夫がほめてくれたことが、「書くこと」だった。
小さいころから書くことが好きで学級新聞に自作の詩を載せてもらえたり、読書感想文のコンクールで表彰されたりしたことも何度かあった。でもそれが私のアピールポイントだと実際思ったことはほとんどなかった。

けれど夫は私に「文章書くのが上手なんだから、本を書いて作家になったらいいよ!」と満面の笑みで言うのだ。
信じて疑わない、それこそ強い自信を持って。

作家になれとは大きく出たなと思ったが、自分でも気づいていなかったアピールポイントを、出会って半年も経たないうちに気付き背中を押してくれた夫。

夫との出会いが私の大きな転機となった。

~第二回へ続く~


第1回『パラレルキャリアエッセイ』いかがだったでしょうか。

大小差はありますが誰にだって挫折の経験はあるはず。大事なのはそこからどうやって前を向いて進めるようになるか。それは人との出会いであったり、自分で作っていく小さな自信の積み重ねであったり。
第2回は、挫折からどんなプロセスを経て自信を取り戻していくかを綴ります。

次回は書き手をバトンタッチ!Kが主人公の2つ目のストーリーの更新は 2/4土曜日となります。みなさん、お楽しみに!
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#挫折 #スキル

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