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ほの暗い雰囲気が漂う島本理生作品

複雑な人間関係や心理状態が絡み合って進む、二作を読んだ。どちらも読み終わってすぐ、もう一度読み直したいと思うものだった。
愛、がテーマの一つというのが共通点だと感じた。普段、愛について思いを巡らせるってあまりないかも。本当の意味で、愛に悩んだことがないのかもしれない。(恋愛がどうこう、というのはあったとしても。)

『星のように散って雨のように離れた』
日本文学を研究する大学院生の春。恋人の亜紀との間には結婚の文字がチラつくが、踏み切れないでいる。「あなたが、わたしを愛してるって、どういうこと?」という問い。何て答えてもらえば満足なんだろう。それとも、答えは求めていないのかなあ。
不安定な感じの春だけど、周りの人はきちんと向き合ってくれている。ゼミ仲間や小説家の吉沢さん。はっきりものを言ってくれたり、叱ってくれたり。それが救いだと思った。

『イノセント』
シングルマザーの比沙也と、彼女に惹かれる男性二人を中心に進む物語。誰も好きになれない、みたいな感想を少し目にして、まあそうだな、と思った。ただ、それぞれの感情を否定はしない。女性を「女性」として扱う真田は、本当に無意識なのだろうし、こういう人って現実にもいるし。
キリスト教のことはよく分かっていないけど、学問として興味はある。もう少し理解できれば、歓の気持ちにも寄り添えるだろうか。

ざーっと読んだので、再読すれば感想が変わるところもあるかもしれない。ないかもしれない。登場人物が物事を深く考えているので、自分がとても浅い人間に思えるなど...
感想を言い合いたいタイプの作品だった。機会があればぜひ読んでみてください📖

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