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【フランスおいしい旅ガイド】ポワトゥー=シャラントの郷土料理

ポワトゥー地方は以前は土壌が悪く、貧しい、遅れた地方であった。その料理は、ロワール地方のものと比べて、ずっと素朴だ。肉でも野菜でも陶製の鍋の中にほうり込んで、ことことと煮込んでしまうような典型的な田舎料理が好まれている。料理の味つけにはニンニクが多用され、隠し味として特産のコニャックが使われる。

ポワトゥーの料理


○キャベツの詰め物Far(あるいはFarci)

キャベツ、オゼイユ、レタス、ベーコンなどの材料を卵などでつなぎ、塩、胡椒、香辛料とともにキャベツに包み込んで、深鍋で長時間煮たもの。

○キャベツのバター蒸しEmbeurrée de Choux

この地方特産の青キャベツをゆでてつぶした後、自慢のバターをたっぷり加える。イースターの日に作る。

○ポワトゥー産ウナギのグリエAnguilles Grillées de Poitou

旧ポワトゥー地方の南西部に位置するヴァンデ県の沼沢地は、昔からウナギやカエルの絶好の生息地であった。小さいウナギはグリエにしたり、フライにする。

○ウナギのフライAnguilles Frites à la Persillade

みじん切りにしたニンニクとパセリを白ワインで煮つめ、レモン汁を加えて、揚げたてのウナギにからめたもの。

○リュソン風カエルのソテーGrenouilles à la Luçonnaise

アルザス地方と並んで名を知られるカエルのもも肉は、酢を加えた水の中に漬け込んだ後、バターで焼いてこげ目をつけて、揚げたニンニクを添える。

○白インゲン豆のクリーム煮Mojettes(あるいはMogettes)à la Crème

この地方でモジェットと呼ばれる白インゲン豆の煮込み料理。乾燥ものの白インゲン豆を1晩水に漬けて戻し、香味野菜や香辛料とともにゆっくり煮込む。仕上げに生クリームとバターを加えて調味する。

○ゴダイユGodaille

ベーコンスープに赤ワインを加えたもの。

シャラントの料理


○ムークラードMouclade

ヴァンデ県に近いシャロンで養殖されているムール貝を生クリーム入りソースで仕上げたもの。鍋に白ワインと刻んだエシャロットを入れ、強火にかけて貝を入れる。殻が開いたら取り出し、食べやすく片側の殻をはずすかむき身にする。煮汁は漉しておく。別の鍋にバターを溶かし、小麦粉を色づかないように炒める。漉し汁を加え、かきまぜながら煮つめ、なめらかなソースを作る。最後に卵黄、レモン汁、生クリームを加えてとろみをつけ、ムール貝にかける。

○エクラードEclade

シャラント地方の古い屋外料理。厚い板の上にムール貝を靱帯を上にしてぴったり放射線状に並べ、乾いた松葉をこんもりかぶせ、火をつける。燃え尽きたら出来上がり。灰を吹き飛ばし、火の通ったムール貝を食べる。調味料は一切使わず、ムール貝の味を楽しむ。

○ショードレChaudrée

つるのついた鍋ショードロンChaudronが語源の魚のスープ。小型の舌平目、カレイ、ウナギ(ところによりイカ)を用いる。玉葱、ニンニク、ブーケ・ガルニ、バターを鍋に入れ、内臓を取ってぶつ切りにした魚をのせ、白ワインを注いでさっと火を通す。発祥の地とされるフーラではジャガイモを入れる。

○カグイユのブイヨンBouillon de Cagouilles

シャラントの人はエスカルゴをカグイユと呼び大好物にしている。香辛料のきいたクール・ブイヨンに、下ごしらえをして、殻から出したカグイユ、薄切りのジャガイモ、ポロネギを入れ、静かに煮たものをパンの薄切りの上に注いで食べる。

○カグイユのトマト風味Cagouilles à la Tomate

下ごしらえしたカグイユ(エスカルゴ)をクール・ブイヨンでゆっくり煮てから、白ワイン、ブイヨン、トマトペースト、玉葱、各種香辛料を加えて煮込み、仕上げにパン粉を加えて濃度をつける。

○ロワイヤンRoyans

ジロンド川の河口、ロワイヤン周辺でとれるイワシを揚げたり、グリエにしたり、2、3日塩漬けにしてバターをのせて食べたりする。

○キャスロンのソテーCasserons Sautés

キャスロンという小さいイカをバターとオリーヴ油で炒める。

○ジゴリGigorit

豚の頭、くず肉、血、皮を玉葱、エシャロット、ブーケ・ガルニとともに赤ワインで半日とろ火で煮て、ほとんどピュレ状にしたもの。熱々でも冷まして固まったのをスライスして食べてもよい。

○ファレFarée

シャラント地方のロールキャベツ。

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