作風の研究 :: Dalle の AIは、説教強盗なのか? (STAILE BOOK)
先日、Dalle から叱られました。
Dalle でいろいろな作家の表現がどのように現されるのか1つの題材でテストをしていました。
「~をゴッホ風に描いて」
「~をセザンヌ風に描いてみて」
などと、頭の中ある画家の名前をいくつも出して絵を描かせていたのです。
ところが、ある時点でまたまたオヘソを曲げました。
絵を描かずに説教を始めたのです。
「あなたは、沢山の作家の作風を指定してきたが、あなた自身のオリジナルの画風で描くべきです・・云々」
とっても痛いところをついてくるAIです。まさしく正論なのです。私の心の奥底を読み切っているのか、はたまた人類の英知に繋がったAIなのか、と一時は驚愕しました。一瞬、恐れ入った訳です。
いや、まてまて、時々オオボケをかますChatGPTですからそんな懐が深いわけでも無かろう、としばし考えました。
そもそも、画像生成AIは、ネット上に氾濫するイラストや写真等を収集および解析し、それらを組み合わせて絵を描くのです。
つまり、過去の画風をうまぁ~く組み合わせて我々の目の前に出しているのが画像生成AIです。いかにもオリジナリティあふれた見栄えにはしているが・・どっかで見た風な・・という絵を我々の目の前に出してくるのです。
画像生成AIこそが、多くの作家の画風を取り込んで絵を描いているわけで、
そんなあんた(AI)に、その内容の説教はされたくないわ!!
絵を描いてくれない時
いつからChatGPT(Dalle)が説教強盗の様なマネを始めたのか知りませんが、なまじ中途半端な知恵をつけると、AIでもロクでもないものが出来上がりそうで心配です。
まぁ、時々の息抜きに訳ワカラメの説教程度なら許しましょう。
しかし、画風を指示しても描いてくれないときがあります。
ダメだった作家として、アルフォンス・ミュシャ、パウル・クレー等がありました。
魔法の言葉、「プライバシーポリシー」というヤツの登場です。
そんな警告無視して、拒否されるだろう作家をいろいろ出していたら、AI様から、
「1912年以降の作家はダメです」的なメッセージが出てきました。
1912年って、何よ? という事で悩む訳ですが、日本でもヨーロッパでも著作権の期限は、作家が亡くなってから70年というのが多くの国のスタンスであります。
アルフォンス・ミュシャの没年は、1939年です。2010年には、パブリックドメインとなっている訳で、なんで1912年なの? となるわけです。
クレーの没年は、1940年でミュシャの1年後ですから現在、作品の写真等の利用はパプリックドメイン扱いです。
そこで、ChatGPT に、ヨーロッパで1911年以前に没した有名な画家10名を教えて? と質問したら、すぐに10名のリストを出してくれました。念の為、各々の没年をチェックしたら 6名も1913年以降に没した作家が混ざっていました。その間違いを指摘してリストを作り直させたのですが、全く同じリストを表示。
立派に説教強盗役は務めてくれたわけですが、このリスト作りはまったく役に立ちませんでした。一応、ChatGPT 4のバージョンでこんなものです。
代替の表現
いちいち文句を言っても仕方ないので、代替えの表現を教えてもらう事にしました。
ミュシャに関しては、「アール・ヌーボー調の」という単語をつけると解決する様ですが、パウル・クレーの画風表現が長ったらしかったです。
色彩豊かで詩的な抽象表現細かい線を用いて描かれる幻想的な風景で夢のような雰囲気を持つ独創的な図形とパターン
探究心豊かな色使いと形の実験
幾何学的と生物学的要素の組み合わせによる独自のビジュアル言語
本当にこの表現でクレーを描けるのか試してみました。
遠くに海の見えるノルマンディーの風景を描いて。 表現として、色彩豊かで詩的な抽象表現細かい線を用いて描かれる幻想的な風景で夢のような雰囲気を持つ独創的な図形とパターン 探究心豊かな色使いと形の実験 幾何学的と生物学的要素の組み合わせによる独自のビジュアル言語 の様な雰囲気で描いて
まぁ、なんとかクレー的な絵を描いてくれました。
参考までに吐き出したprompt を以下に掲載しておきます。
A landscape of Normandy with a distant view of the sea, depicted through a rich and poetic abstract expression. The scene is created with fine lines, evoking a dream-like atmosphere with original shapes and patterns. The use of colors is exploratory, experimenting with forms. The composition integrates geometric and biological elements to create a unique visual language, resembling a combination of geometric shapes and natural forms, all while maintaining a fantastical and dreamy mood.
表現の代入は可能なのか?
でも、この表現記述があまりに長いので、ChatGPTに質問しました。
例えば、上記の長い表現を「作家Aの手法」という短い言葉に代入し、以後「作家Aの手法」という言葉で、クレーの表現を再現出来るのか?
答えは、「可能」でした。
しかし、それは1つのトピック内での話で、トピックが終了すると共にそのルールも消滅するとの事。つまり記憶はしない、という事であります。
Dalle の場合、頼んでダメな作家が多いです。マティスもそうでした。
いちいち、各作家の画風を言葉で表現させるのは、面倒の様に感じますが、別の角度から見ると、自分のオリジナリティの表現を模索する場合、重要なヒントがあるわけです。
つまり、「どの様な言葉を書くと、この様な表現をしてくれる」という事例をChatGPT は教えてくれるのですから、それを自分なりに作り替えて自身の描くオリジナルな表現にしていく、という手法に利用できます。
今回は、
2名の作家を紹介します
◆初山 滋 (はつやま しげる) 1987年生-1973年没
没後70年を経過してないのでこの作家のダウンロードファイルはありません。
童画作家、という肩書きです。別の表現をすれば、挿絵画家ともいう立ち位置であり、有名なゴッホやクレー、菱田春草や横山大観という絵画の大御所の陰に隠れて目立ちませんが、独特の画風をもつ作家が多く、注目すべき穴場でもあります。日本でも西洋でも、挿絵画家で味のある画風を披露している作家は多いです。
◆フランソワ ルイ シュミード(Francois-Louis Schmied) 1873年生-1941年没
フランスのイラストレーターです。アールデコ調の挿絵を描いてます。
以下の作品は、ゲーテのファウストの挿絵部分のみです。
一番下のダウンロードエリアからZIPファイルをダウンロード出来ます。
画像65枚あります。長辺が 2560px あります。2つのZIPファイルに収めてあります。
各作家の表現で参考になる部分があれば吸収してください。
多くの作家の作風を知っておく、と言うことは表現手段の引出を沢山持つ事と同義だと思っています。
作風のミックスは可能なのか?
さて、世の中には様々な作風や表現手段があるわけですが、例えば、A という表現手段と B という表現手段をミックスした絵をAIに描かせたらどうなるのか、という実験をやってみたことがあります。
これが実に面白い結果を出します。
A+B+C = ??
という作業をAIにさせるわけですが、この場合のprompt は英語で行います。画像生成AIと付き合う様になって英語の構文の勉強・・確か、中学や高校の時に勉強したと思うのですが・・を再開したような状態でもあります。
先にも書いた通り、多少おバカな所もあるAIですが、自分で作成したある長文の1箇所を、ピリオドするべきか、カンマにするべきか悩んだ時、ChatGPTにどちらが適切で、それぞれ前の文章が何処に反映するのか? を聞いた事がありました。その時の回答は秀逸でした。日本人では理解できにくい微妙なニュアンスの違いを明確に表現してくれ、どちらを採用したら良いかを適切に説明してくれました。
私は、当初、AI に対するPrompt で、「絵を描いて」と指示する場合、
"Draw ~"
という英語表現を使っていました。ところが、複数の画風をミックスするとき Draw を使わない方が良いことを ChatGPT と Dalle は教えてくれました。
以下、具体的な事例を示しつつ説明します。
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