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人口減少ステージの日本、漫画の行方

先週は打合せや懇親パーティーなど外出が多かったので、ここ数日は引きこもって秋田書店さんで連載中の作画をしています。

秋田書店さんでは「寵愛王宮~異世界、ふたりの王と夜伽姫~」というタイトルで、西洋ファンタジー風のいわゆるTL漫画を描かせて頂いています。
こちらは「異世界」とタイトルに入っていることもあり、中長期的な展望というよりも瞬発力に重点を置いています(個人的に)。
つまりは今、気軽に楽しんでもらえることをコンセプトにしている漫画です。
恋愛メインの漫画を作るのが得意な方ではないのですが(「愛」単体や「プラトニックラブ」は描けるのですが、「恋=性」がすぐさま一致しないというか…)、編集部や担当さんのお陰でなんとかなっております…。
放っておくと、すぐに長編で「試練!」「成長!」「魁!男塾!!」みたいな…女子的にキュンとしない方面を描きたがります。

もうひとつ「銀座心中」という白泉社さんから出ている連載作品もあるのですが、こちらはコロナ前の銀座高級クラブを舞台にした漫画です。
今現在読むと「なんか設定古い?」と感じると思うので、それを感じなくなるまでもう少し寝かせてから続きを描きたいなという気持ちでいます。
「こういう時代なのね」という感覚になるのを待っているとうか。
様々な状況の変化があると思うので、あくまで現時点での個人的な願望です。
(ちなみにこれは初出の出版社から版権が移っていまして、最初は「復讐ドロドロざまぁ系」のような設定指定でした。しかし「なぜそんなに建設的でないことをするのだ?」と、本当にどうしても描けなかったのでだんだんと人情お仕事ラブミステリー?になっていってます…。)

そして、秋からの新連載は色々な意味で中長期的な視点から見た種蒔きになるような意味合いの漫画だと思います。
気合いを入れて大量の論文や資料を読んだりもしたのですが(←私はこの過程は全く苦ではなく楽しい)、学習漫画ではないのでエンタメとして読んでもらえる漫画になるよう数人の編集さんのご意見を頂きながらバッサバッサ切り捨てていきました。
最初は「これは時代的におかしいのではないか…自分で受け入れられない…」とか苦悩した部分もあったのですが、私の好きな「日出処の天子」も「エロイカより愛を込めて」も史実に忠実で好きなのではなく、突き詰めると各キャラクターと時代の匂いが好きなのだ!と原点回帰しました。

突然ですが、日本はもう既に人口の下降線に入っています。
5年後、10年後には漫画を読む(当たり前のように読む技術が備わっている)人口も、紙も電子もひっくるめて現在に比べて激減していることと思います。
アフターコロナ時代に多くの企業がファンベースマーケティングにシフトしているのは、止めようのない人口減少に抗いながら新規顧客を獲得するよりも現在の顧客満足度を高めることが中長期的な利益を生むという考えからです。
漫画は特殊な日本文化なので、必ずしも他業種と同じ方法で上手く行くとも思いません。
元々ファンベース寄りの手法だということもありますが……。

と、つらつらと書いてるうちにまた脇道にそれたnoteになってしまい「この人、漫画家なのかなー?ほんとに漫画好きなのかなー?頭使うところ間違えてないかなー?」というような感じになってきました。

で、結論は何なんだというと私個人の願望としては10年後にも「この人の漫画は好きだから新作出れば読む」というような漫画を細く長く描きたいと思っています。
漫画全体の読者の分母が減った場合に、読み捨てではない漫画を読んでくれる方々の割合は逆に増えるのではないかとのかなり希望的な見方です…。
そして、できたらトラウマを抱える方々へ何かしらの形で現実的に貢献できるようになりたい。
子供でも大人でも、女性でも男性でもどっちかわからなくても。

【今日のイカしてる言葉】
「幸せになることは綺麗事ではない、修羅場です。」
高倉健

※「私は高倉健みたいな男が描きたいんです!」と色々な編集さんに言いまくってますが、大概「見たくないです(即答)」と言われます。
(次、ちょっとだけ描けます。)













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