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『短歌往来』2024年4月号

①川本千栄「今月の視点 新人賞その後」
〈現在、短歌の総合誌を中心にした、歌・論の新人賞は幾つあるのか数えてみた。〉
 新人賞について考察した文です。特に新人賞を取った後について述べています。

舌打ちのごとき音してデロンギのヒーターぬくもる節分の夜 栗木京子 舌打ちは人間が意識的に立てる音の中で最も不快なものだ。自分以外誰もいない部屋でそれが鳴ったらビクッとするだろう。機械に人間的な何かを感じるところが現代的だ。

果てが目に見ゆる土地にて生きながら立山青く空を吸ひゆく 黒瀬珂瀾 果てという言葉には、見えないほど遠いところという含意を感じる。だから「果てが目に見ゆる」は一瞬矛盾のように聞こえるが、それが下句で立山だと分かる。結句からも、雄大な景が眼前する。

2024.4.21. Twitterより編集再掲

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