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短歌総合誌『短歌往来』感想文

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短歌総合誌『短歌往来』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。
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記事一覧

『短歌往来』2024年4月号

①川本千栄「今月の視点 新人賞その後」 〈現在、短歌の総合誌を中心にした、歌・論の新人賞…

川本千栄
2週間前
7

『短歌往来』2024年3月号

①たてよこにのびもちぢみもせぬキスは投げらるるときキッスとなりぬ 都築直子 上句は具体と…

川本千栄
1か月前
1

『短歌往来』2024年2月号

①数式を美しがるは龍の名の理系男子の同期だれかれ 今野寿美 私は(多分主体も)数式を美し…

川本千栄
1か月前
4

『短歌往来』2024年1月号

①ヨコハマの波止場から船に乗つて異人さんに連れられていつちやつた鯉 小池光 一首前の「一…

川本千栄
2か月前
1

『短歌往来』2023年12月号

①銀色の匙にすくへる氷菓子われにもいつの間にか残り生(よ) 佐藤通雅 かき氷のことだろう…

川本千栄
3か月前
4

『短歌往来』2023年11月号

①やわらかなポルトガル語の鼻母音はなにかを祈るような響きだ 松岡秀明 各言語ごとに音は異…

川本千栄
5か月前
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『短歌往来』2023年10月号

①夏椿これが普通と思ってた咲いても咲いてもただ散るばかり 川本千栄      自己宣伝失礼します。特別作品「迷宮」33首が掲載されています。ぜひお読み下さい。 ②大谷雅彦「短歌に詠われた植物」 〈『現代短歌全集』(筑摩書房)に収録された三〇〇余の歌集を中心に、斎藤茂吉や与謝野晶子などの全歌集(全集)、その他の歌集をデジタル化して資料とした。歌集総数は約五〇〇、作品数は約二五万四千首。〉  すごい!!!の一言。 〈二五万四千首のうち、植物を詠んだ歌は、約九万二千首あった。〉

『短歌往来』2023年9月号

①吉田裕子「和歌と短歌の世界をつなぐ」 〈塾の授業で高校生に解説するときには「『をかし』…

川本千栄
7か月前
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『短歌往来』2023年8月号

①秋葉四郎「車の思い出」 〈(佐藤佐太郎と行動を共にすることは)歌人として多くを学ぶ機会…

川本千栄
8か月前
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『短歌往来』2023年7月号

①恒成美代子「今月の視点」〈示唆に富む九十代歌人の歌を読むと、熱い思いが自ずと涌いてくる…

川本千栄
10か月前
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『短歌往来』2023年6月号

①夢は記憶で構成さるるはずなれど見知らぬ顔も場所も出てくる 花山多佳子 夢は記憶を整理す…

川本千栄
11か月前

『短歌往来』2023年5月号

①眼前の虚空の空(くう)を掴みつつ死に物狂いで人は死にゆく 谷岡亜紀 父の死の一連。上句…

川本千栄
1年前
2

『短歌往来』2023年4月号

①江畑實「創世神話 塚本邦雄」 〈二十首の作品は「初出」と「歌集」とで、三首にごくわずか…

川本千栄
1年前
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『短歌往来』2023年3月号

①藤島秀憲「臨場感とは」 〈臨場感とは読者の経験の有無に任せるしかない頼りないものなのである。〉〈臨場感とは読者の想像力に任せるしかない頼りないものなのである。〉〈共感もまた臨場感に必要な要素である。〉〈整理しておこう。臨場感を生むためには読者の協力が必要となること。それは読者の経験であり、想像力であり、共感であるということ。〉  臨場感について、短歌だけでなく、俳句や川柳からも豊富な例を引いて、論じている。面白いと思った。同時に、これを別の用語で言い換えられないかなと考え中