角川『短歌』2023年3月号
①この歌集がこの世界への敵意でも終はりの一首までいとほしむ 今野寿美 「この」歌集がどの歌集を指すのか気になるところだが。実作者の一人として最近、どんな感情でも歌に込めていいのか、と迷うことが多い。愛おしんで読んでくれる読者の存在は大きい。
②青海を眺めるわれを待つてゐる母 やり直す生はなけれど 梅内美華子 大きな青い海を眺めている作中主体。それを待っている母。お互いに言葉は発しないけれど、心の通じるところがあるのだろう。二人とも人生をやり直すことはできない。それも分かって