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短歌同人誌、個人誌、他結社誌感想文

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短歌の同人誌、個人誌を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。出版社が出しているものや、他結社の結社誌も対象にしています。
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記事一覧

『群馬県立土谷文明記念文学館 紀要 風 第26号2022年度』

①2023年3月発行の本誌を一年後の先日読んだ。当時の永田和宏の講演録を読むと、2022年時には…

川本千栄
12日前
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『かりん』2024年2月号

川島結佳子「時評」 〈結社に入ると得られるものは選者であると考える。(…)選者は歌の読者…

川本千栄
1か月前
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『短歌』2023年12月号にて

 雲嶋聆様に「行雲雑記12 文語と口語」にて『キマイラ文語』を取り上げて論じていただきまし…

川本千栄
2か月前
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『短歌人』2024年1月号

笹川諒「時評」 〈『遠い感』には友人たちとの楽しげな交感の歌が多い。しかしその一方で主体…

川本千栄
2か月前
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『太郎と花子』記念号 23年12月20日第25号 

桑原憂太郎「短歌の「異化」作用とは何か」 〈斎藤茂吉という大家が使い、韻文で、しかも文語…

川本千栄
2か月前
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『滸』5号

①奥田亡羊「広く深いパースペクティブ」 〈評論を一読した後、高良氏に「一冊の本に書くべき…

川本千栄
3か月前
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『絶島』Ⅲ

①日を吸ってふっくら死んでる子すずめのあれはだれかの落としたハンカチ 文月さと 「死んでる」の修飾に「ふっくら」は逆説的だ。死体が膨張しているのかも知れない。それがハンカチのように見える、というか、そう思いたい。わらべうたのような歌い方が秘める怖さ。 ②卵立ての卵に匙を打つときの強さで決めるあなたとのこと 森山緋紗 卵立てに半熟卵を立てて、匙で殻を割る。その加減が難しい。弱いと割れないし、強すぎると中味が流れてしまう。あなたの中味を確かめるために打ってみる。もしかしたら台無

『鯉派』Vol.1

①昨日には昨日の僕が住むだろう日当たりのいいベランダの部屋 門坂崚 昨日の自分と今日の自…

川本千栄
3か月前
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『羽根と根』11

①三十歳。悩みは白髪、一人でも生きられそうに見える顔立ち 上本彩加 「シャチハタを押す」…

川本千栄
3か月前
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『チメイタンカ』

①その薬缶は母の肉体ぐらぐらと煮え続ける湯を抱えておりぬ 井上久美子 「薬缶」という少し…

川本千栄
3か月前
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『六花』vol.8  2023.12.

①吉川宏志「『黄金伝説』の記憶」 〈オーソドックスな美というものはやはりあって、早い時期…

川本千栄
3か月前
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『フランス短歌』vol.3 2023

①生活を描かずと言いしボナールの裸婦の乳房は藤色を盛る 工藤貴響 生活を描く描かないとい…

川本千栄
3か月前
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『心の花』2023年10月1500号記念号

①1500号おめでとうございます!!本当にすごい一冊。明治時代から続く結社の歴史の厚みに圧倒…

川本千栄
3か月前
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『まひる野』2023年12月号

 狩峰隆希「時評」 〈短歌は、これまでリアリズムに執して語られる面が大きかったが、幻想の表現についてはいまだ模索の余地を残している。〉  染野太朗と睦月都作品の分析が興味深かった。結社全体で年間一つのテーマに取り組むという態勢も刺激的だ。 2023.12.12. Twitterより編集再掲