千世と黒クニ(千世国)

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    • 犬耳の未熟な神様

      「傷ついた」と伝えたら 「あなたの方がおかしい。」 「そんな事を言うなんて優しくない。」 って言われた事はありませんか。 僕はよくあります。 傷付いた事を伝えるのは 僕はしてはいけないのでしょうか。 曲がりなりにも 僕は神様だから? 相手の話を 頷いて聴いている時だけは 僕は受け入れて貰えるようです。 僕が話し始めると 相手はそっぽを向いて去っていきます。 僕が意見を伝えると 相手は僕に泣いたり怒ったりします。 僕はまだまだ 立派な神様になれません。 立派な神様にな

      • 僕が人間に見えますか?

        あなたのお腹から生まれました。 僕が人間に見えますか? 僕の耳と尻尾と体毛が あなたには見えませんか? あなたの見たいようにしか 見たくないですか? 人の姿でなければ 受け入れてくれませんか? 僕はあなたの望む人間として生きるのは とても苦しいです。 あなたは僕に向かって 「愛してる」と言います。 「私の大事な子供」と言います。 あなたが思い描いた 妄想の姿の僕を見て言います。 僕は人間ではありません。 あなたのお腹から生まれましたが あなたと同じ人間ではありません。

        • 『千世と黒クニ』

          「嫌だ」と叫んだ君の声 「痛い」と叫んだ君の声 「やめて」と叫んだ君の声 塞がれて 声は盗られ 首を繋がれ 手足を繋がれ 人じゃないからと その姿すら笑われて 人じゃないからと 弄ばれて 転生を繰り返しても 幾度も幾度も 幾度も幾度も それでも君は 人を信じた 幾度も幾度も 人を信じた 「みんな自分の事 わかんなくなっちゃってるだけだよ」 「頑張ってたらきっと 私の姿もちゃんと 正面から見て受け止めてくれる人 現れると思う」 「諦めちゃったら 出会え

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          叡智の龍と絵描きのオオカミ(仮題)

          これは 何度も何度も ページは破かれ 消されて消されて 忘れるように 思い出さぬように 再び2人が 手を取らぬように そんなふうに 扱われてきた物語。 旅をしていたと言うよりは 僕は 放浪していた 翼はボロボロに破れ 鱗も剥がれ落ちて殆ど残っていない 目もあまり見えない 傷は治る様子がなく どんどん石化していく 体が全て動かなくなるのも そう遠くないのだろう この広大な宇宙で ただのゴミと化すくらいなら せめてどこかの惑星の 糧に

          叡智の龍と絵描きのオオカミ(仮題)

          デザフェス55ありがとうございました!

          ↑↑ 5月21日・22日に『デザインフェスタ55』巨大ライブペイントにて参加して来ました! ペイントも無事に完成。 応援、御見守り、ご協力、本当にありがとうございました!!

          デザフェス55ありがとうございました!

          『時神様と時のかけら』(時神様シリーズ)

          遠く遠くの場所。 "時空の狭間"と呼ばれる場所。 時の神様は お供のオオカミと ひっそり穏やかに暮らしてる。 時の欠片を拾い集めては 宇宙に時間を届けてる。 みんなに 幸せな明日が来ますように。 命が正しく めぐりますように。 これは、そんな時神様の様子を 綴った物語。 まだ未完成で 時々変わる。 急に新しくお話が生まれたり 以前あったお話が 突然見えなくなったりする。 時空の狭間は 生まれて消えてを 常に繰り返している。 あなたの失った記憶も ここ

          『時神様と時のかけら』(時神様シリーズ)

          産霊・ワタツミ(創作神話)

          恨みが募ると どうなるかしってるか 強い強い恨みは 己を毒者(どくじゃ)へと変化させる 毒者の放つものは 深淵の呪い 触れた者を全て 溶かし 焼いて 蝕みつくす その苦痛は 死ぬまで続くのではない どんなに体が蝕まれようとも 決して死ぬ事は出来ない その呪いは 永遠の苦しみを与え続ける毒 永遠の苦しみを受けるのは 呪いをかけられた者だけではない 放つ呪いよりも強い影響を 呪いの主(ぬし)も受け続ける 自身の骨 肉 すべて溶けゆき それでもなお生き続ける 呪い

          産霊・ワタツミ(創作神話)

          千世の夜

          毎日毎日 終わらない 持ち越しばかり やり直しも 再スタートも 仕切り直しも出来ない 大掃除どころか 簡単な掃除すら終わらない 朝は来るけど これはいったいいつの朝だ どこの朝だ どいつの朝だ? 俺の朝で合ってるのか? ああ、やっぱり違ったか 明かりは見えても ここはまだ夜だ 千世(ちよ)の夜 時(とき)が長すぎるんだよ 自分の命は短いのに やたらと時(とき)が長い 日は短くて 必ず終わりが来るのに 今日もなんにも 成長も 精算も 進歩も 全く出来ていな

          『ワタツミの帰還』(千咲作「ワタツミ」より)

          深い 深い ここは…… ここは…… 大地の奥底…… 私は一体 ここで何をしていたのか 私は一体 どうしてここにいるのか…… 視界に色がなくて なにも見えないの 私の姿も この場所さえも…… ほんの少しだけ 音が聞こえる さらら… さらら… さらら…… この音と そして香り…… 覚えがある いつだったっけ… 何処だったっけ…… 私はこの音と香りが とても好きだった気がする 『迎えに来たよ』 『迎えに来たよ』 『やっと見つけた』 『やっと見つけた』

          『ワタツミの帰還』(千咲作「ワタツミ」より)

          花と共に…

          『生きるの辛いけどさ 生きていくの嫌だけどさ 死にたいって言うと、怒られちゃうんだ。 怒られたくないから 私、頑張って生きるよ……』 彼女の涙は熱かった。 『生き方なんてわかんないよ だって誰も教えてくれなかった。 私らしくいたら、 笑われて矯正させられるだけだった。 我慢をすればするほど 周りは受け入れてくれたけど 私は一体 なんで息をしてるのかもわかんない。 生まれたら 死ぬのが普通なんじゃないの? どうして 途中で死ぬのはダメなの? ……頑張っているだけなのに

          分魂輪廻(ぶんこんりんね)

          「なんかさ、似てたんだ。」 『誰に?』 「隣の檻に繋がれてたやつ。」 『ふぅん…』 「ちょっと好きだった。そいつの事。」 『へぇ……。顔も見たことないのに?』 「話はしてた。他に話し相手なんて居なかったし。」 『話してただけで好きになったんだ? ふぅん……』 「手も触れた事ある。繋いで眠ったこともある。」 『姿に似合わず、ロマンチストなのね。』 * 「……………俺は、檻から出られたよ。」 『うん。』 「…………お前は……死んだんだな……。」 『……うん。……とっくの昔に

          分魂輪廻(ぶんこんりんね)

          わかるのはたったそれだけだ。

          私は、とてもとても小さな世界で生きていて、そこから見える範囲の世界しか眺めていなくて。 見えてる部分、知ってる部分でしか、相手の辛さも苦悩も知らない。わからない。 誰かの中で起きてる辛いこと、苦しいこと、私の中に入ってきても、 それは私の世界観で図り知れるものに変換されてしまった後なんだ。 周りのもの全て、友達も家族も、隣の人も、その他も。 私では全てを知ることかなわない。 私の知る部分で、想像するしか出来ない。 あの人に何が起こったかなんて、 その人が何を考えていた

          わかるのはたったそれだけだ。

          お前が自分を消してんだ。

          生まれたら死んでいく。 みんな死ぬんだ。 そして 死ぬまでが「命」 自分という生物(いきもの)。 死にゆく時の色なんて 消えゆく時の色なんて それまでの生き様全ての色だって。 別れも 悲しみも 苦しみも 綺麗な色なんかで表現するな。 汚くても 醜くても 馬鹿みたいでも 確かにそこにあった命。 たとえあんたの目に映らない色でも 確かにそこにあるんだよ。 あったんだよ。 お前がそれを消したんだ。 命の声を聴いてくれよ。 魂の声を聴いてくれよ。 なんで自分の声すら

          お前が自分を消してんだ。

          太古龍と人間(創作昔話)

          昔々よりもずっとずっと昔。 龍と人間が同じ世に居た時代……。 一人の人間の子供「フフガル」が 一匹の龍の赤子を拾いました。 フフガルは龍に「ボロル」と名を付け大切に育てました。 ボロルはフフガルにとてもなつき、フフガルの後を何処でもついてまわります。 ボロルは龍なので、あっという間にフフガルの成長を追い抜き、馬よりも大きな姿になりました。 フフガルを背に乗せ、大草原を走るのがボロルは大好きでした。 ボロルはとても巨大な龍に育ちました。 フフガルも大人になっていました

          太古龍と人間(創作昔話)