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[ショートショート] デジタルバレンタイン:旧人類の奇妙な習慣

 考古学研究を趣味とする僕は、いつものように旧人類の残した画像データを漁っていた。

 それは人類が仮想現実に拠点を移行する前のもの。数万年も前の情報である。

 旧人類は物質世界に囚われた不自由な暮らしをしており、娯楽といえば口から有機物を入れて尻から出したり、お互いの裸を舐めあって遊ぶことくらいだったようだ。

 そんな彼らの暮らしを見るのが僕の趣味だった。

 今日発見した動画はかなり衝撃的だった。

 画面には二人の人間が映っていた。彼らは茶色の小さな塊を口から入れて戯れあって遊んでいるようだった。
 それからお互いの体に巻き付いたカバーのようなものを剥がし合うと、今度は体中に茶色いドロドロを塗りあって、それを舐めあいはじめた。

 また舐めあいか…。本当に旧人類は舐めあうのが好きなんだな…と僕はほっこりした気持ちで画像を眺めた。

 調べてみると、これはかつて人類が熱狂していた偶像崇拝の儀式のひとつであることがわかった。
 これは新しい発見だ。アーカイブ化して後世に残すとしよう。

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たらはかに(田原にか)さんの『毎週ショートショートnote』に参加します。


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