ミルクラブの子のお話
特定の宗教団体の問題は大きく、宗教虐待の対策は必要だと思うけど、私は宗教2世問題を単に「カルトの子」の問題で終わらせたくなく、どの集団でも起こりうる教化の弊害と感じていて…宗教や神という言葉を使わず、私が捉えてる問題のストーリーを創作してみた。
「ミルクラブ」の子の話。
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「牛乳は健康によく、骨を強くする飲み物である。成長期の子どもにとっては特に大事で、毎日必ず飲むように。一方、糖分の多いジュースは、身体が毒素に侵されるため飲むのは厳禁!水は可。」
そんなルールを絶対とする「ミルクラブ」法人の会員である母に私は育てられた。
ミルクラブは、元はといえば、亘先生が地域の子どもたちの食育のため、週3回の放課後に開放した子ども食堂が前身で、そこへ子どもを連れてきた保護者相手にあれこれ栄養指導をしていたらしいのだけど、そのうち土地持ちの保護者が田畑を無償で貸し出すようになり、米や野菜の有機栽培を開始、そこからその子ども食堂で出される食事は「自給自足で有機栽培」が原則となったそうだ。
マスコミにその手法を報じられると、全国各地から問い合わせが殺到。子ども食堂は「ミルクラブ」と名を改め法人化し、亘先生は全国各地で食育セミナーを開くようになり、同時に当時のミルクラブの保護者たちはアドバイザーとして各地を飛び回ってミルクラブの支部を作り、その手法を伝えたらしい。
そのセミナーの一つに参加したのが、元々健康志向の高かった母だ。私がお腹にいる時に、「強く健康な子どもを育てる」という子育て食育セミナーに参加し、亘先生の価値観に感銘を受け、ミルクラブに即入会したらしい。
ミルクラブは現在、本部も支部も週3回集まりがあり、基本的には牛乳を取り入れた無添加の食事やお菓子をみんなでワイワイ作って食べたり、畑仕事をしたり、アドバイザーの話を聞いたりする。年に数回、亘先生の視察と講演がある。
お菓子作りの日は子どもたちに人気。畑仕事もけっこう楽しい。たき君がふざけてダンゴムシ投げてくるのはちょっと嫌だったけど。
ミルクラブでは、他にもアドバイザーやサポーターの資格のための研修や試験があり、子どもたちはまずサポーター5級の資格の勉強からはじめ、最終的にはアドバイザー1級の資格に合格して各地の指導に回るのが目標。
私は小4でサポーター1級に合格し、次はアドバイザー5級に挑戦するよう母からせっつかれていた。小学生でサポーター1級に合格するのは栄誉なことらしく、全国大会で亘先生から表彰され、私よりも母が喜んでいた。
母は既にアドバイザー1級に合格しており、将来は母娘で全国を飛び回るんだと周囲に豪語していた。
後から知ったことだけど、ミルクラブの会員の子の中には、牛乳好きの子もいるけど、牛乳アレルギーや乳糖不耐症があったり、アレルギーではなくても、匂いや味が苦手な子もいたようだ。
私もそのうちの一人。
小さい頃は、少しでも牛乳を嫌がったり、ジュースを欲しがったりすると、鬼のような顔をした母にベルトで何度も叩かれたり、無理やり口をこじ開けられ牛乳を注ぎこまれたり、「牛乳を飲まないと健康に生きられないの、これはあなたのためなの」と泣かれたりした。
私はそんな母の必死さを前に、吐き気を噛み殺し、後々の蕁麻疹の痒みを我慢しながら毎日目を瞑って牛乳を飲んだ。
当時は、牛乳アレルギーを含め食物でアレルギー症状が出る人がいることは世間にあまり知られていなかった。むしろミルクラブの取り組みと子育ては素晴らしいと称賛する識者もいた。それで「うちの子は好き嫌い多くて困ってたけど、ミルクラブはすごいわ」と会のメンバーになる人もいた。そういう人が多かった。
ミルクラブを抜けてから、私以外にもアレルギー症状があった子のことを知ったけど、あの頃は、私以外のみんなは蕁麻疹を出さず楽しそうに牛乳を飲んでるようにみえて…
牛乳嫌いなのは私だけなのか、私がオカシイのかと自分を責めた。
皆の尊敬を集めている亘先生からも
「私が子どもの頃はまずい脱脂粉乳しかなかったんですよ。こんなおいしい牛乳が飲めるなんて貴方は本当に恵まれてますね。親に感謝しなさい。」
と諭され、さらに何も言えなくなった。
学校は給食に牛乳が出るから、ミルクラブの方針にとって問題はない。ただ遠足や球技大会の後などにジュースが配られる時がたまにある。
クラスメートは大喜びだけど、私には地獄。だってみんなの前で「私はジュースを飲みません」って断らなければならないから。
みんなに不思議そうな顔でみられ浮くし、先生にも「みんな喜んでいるのに、水を差さないでほしいわ」ってため息つかれるから、そんなこと言うの嫌だし、本当はみんなが美味しそうに飲むジュースも飲んでみたい。
ジュースは健康に悪く身体がボロボロになって死ぬと親はいうけど、ジュースを飲んでるクラスメートは、蕁麻疹でいつも身体中掻きまくってる私より元気そうにみえるんだけどな…
隣のクラスにいるミルクラブの子のミッちゃんが、学校ではシレっとジュースを飲んでること、私は知ってる。親には秘密にしてあげてるけど。あの子の親、厳しいしな…。
ミッちゃんは、「ミルクラダンス」という、子どもだけやらされる変なダンスを一番張り切って踊ってて、大人のメンバーから絶賛されてる。私はダンス下手やから、上手いミッちゃんはちょっと羨ましい。まーどちらにしろミルクラダンスは恥ずかしすぎて踊りたくないけど。
ミッちゃんはダンスは得意やけど、勉強はちょっと苦手みたいで、小1から挑戦してるサポーター5級の試験にずっと合格できず、小4でも落ちたみたい。
それもきっとあるんかな…私がサポーター1級に合格して表彰されると、急に「いい子ぶりっこ、いつもお高くとまってる」と陰口言うようになり、ダンス練習や畑の共同作業で何かと私にだけ当たりがキツくなった。
あの子のお母さん、同学年の私といつも比較してるみたいやからな。ミっちゃんとは同い年なこともあって昔はけっこう仲良かったし、気持ちは分からんでもないけど…
でも私だって好きで1級合格したわけちゃうんやけど。私だってお母さんがウルサイから試験受けただけやし。うちのお母さん、最近離婚して、さらにミルクラブ一筋になって…
「アドバイザーになって一緒に全国飛び回ろう!」
って私に泣きながらいうから、なんか可哀想になって試験頑張っただけ。
でもこんなんになるんならもうアドバイザーの試験なんか受けたくない。
もう一学年上にもえっちゃんというミルクラブの子がいて、その子はジュース飲んでないみたいだけど、ジュースを飲むクラスメートのことすごい見下してて、なんかお母さんみたいなこと言うからちょっとしんどい。
「本当の仲間に恵まれて、あなた達は幸せね。」
といつも大人のメンバーから羨ましがられるけど、ミルクラブの子たちとはあんま友だちになられへん。
「ほんまに牛乳好きなん?」
「ジュース飲んでみたくない?」
そんな本音トークで語り合ってみたい気はするけど、あの子たちとは本音で話されへん。常にどこかに親の眼を感じ警戒しちゃうせいかな。
多分お互い、心を開けない。
…ま、学校のことは親には言わなきゃバレないし、私もミッちゃんみたいに、ちょっとくらいジュース飲んでもいいかな。
そう思って恐る恐るジュースに口をつけたけど、一口飲むとものすごく悪いことをした気分になった。
初めて飲んだジュースの味は美味しいかどうかも分からなかった。
私の身体は後でボロボロになるかもと急に恐ろしくなり、その夜は眠れなかった。
明け方少しウトウトすると、身体がナメクジのように溶けてなくなる夢をみて飛び起きた。
…ミッちゃんは大丈夫なんやろか。
怖くて聞けない。
私は学校の友だちの方が一緒にいて楽しい。
学校で仲良くなった友だちのクミちゃんに誘われ、親に「クミちゃん家に遊びにいきたい」というと、「添加物いっぱいの市販のお菓子やジュースを飲まないなら遊んでもいいよ。」とお許しが出た。
そして水筒に水を入れて持たされた。
クミちゃん家に遊びにいくと、クミちゃんのお母さんがお菓子とジュースを出してくれた。とても美味しそうだったけど、私は水筒の水だけを飲んだ。
クミちゃんのお母さんは「お口に合わなかったかしら」と悲しそうな顔をしたけど、私はどう答えたらいいか分からなくて、言葉が出てこなかった。
次の日学校に行くと、クミちゃんに無視された。声をかけてもクミちゃんも、クミちゃんの友だちも誰も答えてくれない。
後から、クミちゃんたちが私のことを影で「KY」って呼んでハブってることに気づいた。
つらい。苦しい。消えたい。私の居場所は世界中のどこにもない。
こんなつらい人生が続くなら今すぐ消えてしまいたい。
どんな死に方がいいか、死ぬ方法ばかりずっとずっとずっと考えて、そのうちにまた朝がくる。
眠ったまま、そのまま、もう目が開かなければいいのに。
そんなある日、ミルクラブのメンバーのお兄ちゃんが、突然大暴れして牛乳を撒き散らして捨て、ジュースを飲みだしたと噂になった。
「あの子は堕落したの。あんな子になっちゃだめよ、ジュース飲む子は身体が毒に蝕まれ一生健康になれないのよ」
と母に恐ろしい顔で言われた。
でも大人のメンバーは少なからずショックを受けたようで
「子どもにはもっと楽しみが必要だった」
と言いだし、
「レモン水であれば水だから許可してもいいのでは?」
「いやレモン水もジュースだから駄目」
そんな話し合いか連日繰り広げられてた。
そこへ亘先生の
「レモン水?爽やかですよね。僕も好きですよ。」
の鶴の一声でレモン水は許可された。
こうしてレモン水は、ミルクラブの集まりでも「爽やか水」として出されるようになった。
なんやねんソレ、アホちゃうか…
母は
「やっぱりミルクラブは子どものことを本当によく考えた温かい会だわ、あなたも感謝しなさい。」
と言ってきたけど。
まぁ私もレモン水なら蕁麻疹出ないから、集まりの場にレモン水置いてくれてたら助かりはするけど…
ただ、突然暴れ牛乳を撒き散らしたお兄ちゃんの叫びは、レモン水なんかで解決する問題じゃないでしょーに。
ミルクラブ、やっぱなんかおかしいよなと思い、母に疑問点を伝えても
「世の中の情報は間違ったものばかり。そんなものに騙されてはいけません。あなたはまだ若くて騙されやすいから、他の栄養系の本を読むのは禁止します。亘先生の本をもっとちゃんと読んで勉強しなさい。あなたは勉強不足なんです。」
と叱られた。
母の背丈と変わらなくなった私は、母の意に反することを口にしてもベルトで叩かれることはなくなったけど。
(絶対オカシイ!)
その気持ちが拭えず、図書館のついでに、こっそり栄養学の本もみてみると、牛乳以外にも栄養を摂取できる飲料はたくさんあるし、何より食事はバランスと楽しみが重要、そして牛乳にはアレルギー反応が出る人がいることを知った。目から鱗だった。
私、牛乳アレルギーだったんだ。私だけが変というわけじゃなかったんだ!
母に言っても取りあってくれないから、ミルクラブで一番優しいお姉さんに
「私は牛乳が合わない」
と、相談した。
お姉さんは、優しく話を聞いてくれて、
「私もそう思ってた時期があったわ。」
とニッコリ微笑んだ。
「でもね、それは牛乳の真の美味しさを知らなかっただけだったの。牧場に行って搾りたての牛乳を飲めば良さが分かるはずよ。」
そういってミルクラブが経営してる牧場に連れていかれ、濃い牛乳を勧められて飲んだ。
…お姉さんには美味しいのかもだけど、私には合わず、より酷い蕁麻疹が出た。
私は実家を飛び出し、ミルクラブの支部がなく、誰も私のことを知らない地域で一人で暮らすことにした。
しばらくは牛乳を見るのも嫌だった。
どこからか田畑の土の匂いや牛乳の匂いがすると、懐かしいような気持ち悪いような胸の奥がギュゥと締め付けられるようなわけもなく泣きたくなるような気分になった。
私の居場所を知った母から
「牛乳を飲みなさい、あなたの身体が心配です。お酒なんて飲んでないでしょうね!?お酒はもっとも毒です!!」
という手紙が何度もきた。
最初は手紙を無視してたけど、あまりにも手紙がくるので、
「小さい頃、牛乳を無理やり飲まされてつらかったです。私は牛乳を飲むとアレルギー反応でるし、牛乳じゃなくても他に栄養豊富な飲み物はあるからそれを飲んでます。牛乳を飲まなくても私は健康に過ごしています。」
とだけ返信した。
すると
「無理やりって…それはあなたのためを思ってしたことよ。あなたは結局何も分かってなかったのね。身体の弱かったサキちゃんは牛乳を飲んで強くなった、お母さんのおかげってこの前いってたわ。小さい頃に骨折が多かった洋ちゃんは、親がいろいろ調べて牛乳が良いと分かってたくさん飲ませてくれて骨折しなくなり遊べるようになったと親に本当に感謝してたわ。なぜあなたには分からないのかしら。私はこんなに貴方のことを愛してるのに。」
という手紙が返ってきた。
私の気持ちは親には全く伝わらない。
私は牛乳そのものを否定したいわけじゃない。私を本当に愛し、子どもの健康を願っているというなら、私の状態をもっとちゃんとみてほしかった。牛乳が誰かにとって良いものだとしても、私には合わず、アレルギー反応に苦しみ、私の健康にはよいものではないことを、ちゃんと分かってもらいたかっただけ。
お母さんは私のこと全然見えてない!
だけどそれでも母なりに私のことを想ってくれてることは分かる。だからしんどい。
だから…サヨナラ。
私は私が選択する人生を生きる。
そんな頃
「牛乳は牛の赤ちゃんの飲み物であり、人間の飲み物ではない。人間には毒で、あなたは小さい頃から牛乳を飲み過ぎて身体中その毒素に侵されている。それを洗浄しないと貴方は前には進めないよ。」とか、
「牛乳を子どもに飲ませるのはGHQの陰謀で、ミルクラブはその支配を受けている。早くミルクラブを潰滅させないと大変なことになる。」とか、
「人間に本当にいいのは豆乳なの、牛乳なんかに騙されてかわいそうに、これからは美味しくて健康によい豆乳を飲み続けましょう。」
なんて言う人もあらわれ…
ごめん、牛乳はいらんけど、そういうのも私はいらんねん。
たしかに私は皆でワイワイ料理を作るのはミルクラブの集まりを思いだすから今でも苦手だ。でも今の彼氏と一緒に料理を作って食べるのは楽しいし、好きだ。
心許せる人と一緒に料理を作って食べる。美味しくてホカホカ幸せ。
私はもうそれだけで十分。
身体に毒素溜まってようがなかろうが私は私やし、それでいい。
私は自分の飲みたいものを、その日の気分や食事に合わせて自分で決めたいねん。誰と食べるか飲むかも自分で選択する。
酒もジュースも水も茶もココアも牛乳も豆乳も何でも、まだ飲んだことない飲み物が世界中にあるから、いろんなとこ旅していろんなもん飲んで、自分にとってこれは合う、これは合わない、これはアレルギー反応出るから飲まないとか、これは味は好きやけど飲み過ぎると気持ち悪くなるからちょっとにしようとか、これは味はあまり好きじゃないけと健康のために少し飲もうとか、そういうの全て自分で選んで決めたいねん。
時に不味い飲み物にあたっても、自分で選んだものやったら、それはそれでいいねん。
私は蕁麻疹が出なくなり、今は食事が、ひいては生活そのものが楽しいねん。あちこち旅して、こんな美味しい飲み物もあったんやーって発見するのも楽しいねん。彼氏や友だちと一緒に、あれは美味しいとか辛すぎとか、いろいろ批評し合うのも楽しいねん。
だからいろいろあったけど、なんだかんだ私は今の人生に満足してる。
こういったら無責任かもしれんけど、牛乳が身体によかろうが毒であろうが、私にはどっちでもいいねん。
昔は「良い」とされてたものも、後々「良くない」とされるものもあるし、私は栄養学を研究し続けたいわけでもないし、そういうのはその研究してる人に任せるわ。
私は牛乳を好んで飲んでる人のことを邪魔するつもりないねん。
ただ、アレルギーや牛乳を苦手とする子に無理に飲ませるのは絶対反対やし、これからの子どもには、ジュースを飲むのを禁じて一般社会との疎外感を植え付けるのではなく、バランスよく何でも取り入れ育ってほしいだけ。
いまだミルクラブでアレルギーに苦しみながら飲み続けてる子には、「牛乳は無理やり飲まんでいいで。他にも健康によい飲み物はあるで。」と伝えたいねん。
あの会を抜けても、ジュースを飲むのに抵抗があったり罪悪感を抱える人たちとは、その気持ちを「分かる分かるー」って共有したいねん。
会を抜けたら、その反動で酒に嵌り依存症で苦んだり、牛乳を無理やり飲まされたトラウマから、会を抜けても、牛乳はもちろん、飲料全般を受け付けず、脱水症状を起こして命の危険さえある離脱者のケアを、社会ぐるみで何とかしていきたいねん。
ただそれだけやねん。
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牛乳のみで描いたミルクラブのストーリー。ちょっと無理あるかもやけど、こういう系統のケースも、全部当てはまるといわなくても部分部分ではある気が…まぁかなりエホバの証人2世な私の原体験要素入りまくった創作になったけど。
宗教要素が入った方が、人間を超越した神の代弁者と権威づけできるので、指導者の発言はより絶対支配性を持ちやすく、熱狂的に信奉する集団になりやすいと思う。
「宗教2世」にとっては、まず親が絶対的存在で、その上にさらに神が、親のいうことに従わなければ滅ぼすという恐怖をもって服従を強いる神がいるので、たやすく教化されやすく、その分の弊害も大きいようには思う。
ただ、「宗教2世問題」は「カルトに騙された親から産まれた子ども」の問題、そのカルト信者は、「金儲けや悪巧みを企図する教祖や奇異奇天烈な教義を掲げる宗教に騙され搾取されている哀れな信者」というイメージのみで語られやすい気がして、それがもどかしい。
カルト団体でも伝統宗教でもなく、指導者に悪意や金儲けの意図がなくとも、特定の強いイデオロギー教育をする集団はある。
何であれ、結果的には「搾取」になるにしろ、組織の指導者や親の動機は、「悪意」や「利己心」や「搾取」ではなく、「それが子どものためには最善」という善意の動機で教化を施すことが多い。
与える方は自分たちの教育内容は絶対正しいとの自負から、それぞれの子ども自身のことを見ようとしていないので、歪みが生まれ、そのズレはどんどん膨らむ。
もっとも力を持たない子どもたちは、その集団の価値観や偏りに対する判断能力を全く持たないまま違和感を感じてもその集団に呑み込まれ、教化の弊害を受けやすく、それこそが「宗教2世問題」の本質に近いのではないかと思う。
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